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私たちの研究グループは,都市と交通に関する研究に取り組んでいます.街路と広場,駅と街,広域的文化圏と街道といった対象と,さまざまなスケールの都市に着目し,数理的な手法に基づく基礎研究を下敷きに,現実の都市空間の計画や都市設計の実践,大規模な交通管制システムや公共交通などのシェアリングサービス,マルチスケールシミュレーションの実装展開と基礎理論の構築を目指しています.
1. 都市生活学
メンバー:大山雄己,近松京介,庄司唯,羽藤英二
概要: 都市をネットワークとして記述した上で,人々の行動を数理モデルで記述し,行動データと統計手法を援用して実証的な分析に取り組んでいます.都市の生活と行動原理についてよりよい理解を得ることを目指し,移動-活動モデルや,経路選択モデル,交通配分問題を,離散選択モデルやゲーム論的な枠組みで扱うと共に,独自の行動記録システムの開発や10年以上の超長期観測データなどを用いた人間の行動分析研究を試みています.
主な研究論文: ・Shafique, A. and Hato, E.: Use of acceleration data for transportation mode prediction, Transportation: Volume 42, No.1,pp163-188, 2015. ・Itoh, S. and Hato, E., Combined estimation of activity generation models incorporating unobserved small trips using probe person data, Eastern Asia Society for Transportation Studies, 2013. ・Hato, E., Development of behavioral context addressable loggers in the shell for travel-activity analysis, Transportation Research C,Vol18(1), pp.55-67, 2010.
主な研究プロジェクト: ・国際科学技術共同研究推進事業:戦略的国際共同研究プログラム:SICORP, 災害時交通の観測・予測・制御による都市マネジメントシステムの開発(代表:Eiji HATO and Schlomo Becker)2015年度~2018年度 ・科研基盤A ネットワーク上の交通行動を記述するためのデータ統融合理論とその応用 (代表:羽藤英二)2013年度~2016年度(予定) ・基盤A プローブ技術を援用したデータフュージョン理論による総合的交通行動調査の高度化(代表:羽藤英二)2009年度~2013年度 ・基盤A day-to-dayの動的な交通行動調査・解析システムの開発(代表:羽藤英二),2003年度~2006年度
東京2050マルチスケール解析シミュレーション
メンバー:近松京介,Samal Sanjeewa Dharmarathna,後藤 祥孝,大山雄己,福山祥代,羽藤英二
概要:様々なセンサーから収集される膨大な行動データと都市活動情報をもとに,人々 の生活と行動を再現し,東京2050年の実像を明らかにしたいと考えている.センサー情報をもとに人々の生活行動ログを正規化するための理論と,膨大な生活行動選択肢とその選択結果を生成・再現・予測するためのアルゴリズム開発を試みている.こうしたモデルをもとに首都圏の膨大な流動を大規模並列計算によってシミュレートするための技術開発もあわせて行っています.
地域公共交通の設計と実装
メンバー:福山祥代,吉野大介,三木真理子,森田智美,羽藤英二
概要:従前の都市計画や交通計画において用いられてきた需要予測手法を,離散最適化問題として再定式化した上で,都市内回遊のためのシェアサービスや物流-道路維持管理システムとして実装することを試みています.位置データとサービスに対する個人の選好の表明や,ロジスティクスやシェアリングや自動運転を想定した新たな公共交通サービスにおける車種,経路,料金の組み合わせ最適化問題に着目し,料金やポート配置,インセンティブコントロールといった様々な管制システムと公共交通サービスを実装し,理論検証することを指向しています.
防災・減災のトータルデザイン
メンバー:庄司唯,前田翠,羽藤英二
概要:地域における個人社会の浸透に伴う社会的役割の希薄化や都市の縮退が同時進行する中,災害避難のような社会システムのメカニズムデザインについて考えている.被災時の情報集中現象を,ボーズアインシュタイン凝縮のような巨視的動学表現で記述すると共に,人はなぜ自分を犠牲にしてまで他人を助けるのかといった個人の利他的/利己的避難行動に着目し,時間-空間-リスク認知や行動選択肢と期間損失の微視的構造と避難のメカニズムを解明したい.理論をもとに現実の地域の中でフィールド調査と都市形成史研究を行い,防災・減災のトータルデザインを試みている.
2.都市設計・都市形成史
メンバー:大山雄己,柴田純花,山本正太郎,羽藤英二
概要: 土地なりの地形や独自の地域文化を下敷きに様々な空間要素が連鎖し,人々の生活の営みや流動が展開されている一方で,経済,法律,テクノロジーの力は絶大であり,「空間」によって再び地域の生活と文化を発展的に継承していくための空間計画と空間設計を実践したいと考えています.地形図や史料を用いたネットワーク解析による都市形成史研究では,ロンバルディア平野の広域交通と地域経済圏の成立要件,瀬戸内海域物流史に基づく地域形成史の分析,津波常襲地域における空間形成の摂動パターンとその制御といったテーマに取り組むと共に,都市設計についても,駅や街路,建築空間と機能再配分を行うための設計手法の開発を行っており,現実の公共空間の計画と都市設計の実践を試みている.
主な研究論文: ・芝原貴史,羽藤英二:道後地区における都市構造と建築組成の更新が都市組織の変容に与える影響,都市計画論文集,Vol.50-3, pp.531-538, 2015. ・永杉博正,羽藤英二:ネットワークの閉路特性に着目した駅周辺街路の回遊性分析とその適用,都市計画論文集,Vol.49-3, pp.711-716, 2014. ・Kokubun, A. and Hato, E., Incorporating the Built Environment Interaction into Spatial Changes Pattern Models to Understand Urban Metabolism Tokyo's Residential Area, Journal of Civil Engineering and Architecture, Vol. 7, No.7, (Serial No.68), pp.854-866, 2013.
主な空間計画・都市設計:
1) 道後温泉空間計画,アーバンデザインセンター松山
2) 神戸三宮-元町駅地区空間計画・設計
3) 長崎駅の空間計画・設計
4) 三原村-大月町「牧野富太郎の道を歩く」
5) 松野町目黒地区「蛍の畔道」