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第19回行動モデル夏の学校2020は、コロナウイルス流行を受け本年度はオンラインにて、2020年9月12~15日にかけて行われました。

このセミナーでは、ネットワーク上の選択理論の基礎となる行動モデルとフローモデルの講義を下敷きに、スマートフォンによるプローブパーソンデータを用いたプログラミングスタディにチームで取り組みます。都市計画や交通計画、土木計画における立地選択、目的地選択、経路選択、交通手段選択などの様々な需要予測の中での位置づけと事例紹介を行ったうえで、道路空間の再配分や観光、中心市街地再生、マーケティングなどへの応用と、プローブパーソン調査などの新たな行動調査とデータプラットフォーム手法についての最新事例を学びました。以下にその内容をまとめます。

The special seminar was held during this summer (Sep. 2020). This series of 4 days lectures and exercises will be an insight in Model Estimation. This annual event has been held since 2002 and this is the 19th time. Outstanding researchers showed the case studies on demand estimations of location choice, route choice, and transportation mode choice used in the fields of: Civil planning, Urban planning, and Transportation planning. We learned the brand-new methods of individual behavior survey like Probe Person, and thought about how to apply it practically in real world such as: Redistribution of Road Usage, Tourism Planning, Renewal of City Central Area, and Marketing optimization.


基調講演 Keynote lectures / 講義 Lectures / 研究奨励賞受賞者講演 Invited lecture / 演習 Group work / 表彰 Award


基調講演 Keynote Lecture


合原一幸(東京大学)
複雑系数理解析の基礎と応用


講義 Lectures


倉内慎也 (愛媛大)
行動モデルの導出

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佐々木邦明 (早稲田大)
行動モデルの推定

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山本俊行(名古屋大学)
行動モデルの最新研究

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円山琢也(熊本大)
ネットワークモデルと行動モデル

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石井良治(計量計画研究所)
モデルの実務への展開

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Arnab Jana(IITB)
Introduction of Behavior Modelling

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Giancarlos Troncoso Parady(UTokyo)
Statistical Test and Validation Practices in Discrete Choice Modeling

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Hideki Yaginuma(Tokyo University of Science)
Machine Learning and Estimation

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Makoto Chikaraishi(Hiroshima University)
Mechanism Design and Behavior Modelling

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Yuki Oyama(Shibaura Institute of Technology)
RL model and Advanced Behavior Modelling

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Muhammad Awais Shafique(University of Central Punjab)
Machine Learning in Travel Behavior Analysis

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第二回行動モデル優秀論文賞基調講演 Invited Lectures


Yan Tran(Nagoya University)
The effects of environmentalism and attitudes toward physical activity on travel behaviors


Jiangbo Wang(Nagoya University)
Exploring Subscribing Behavior of Customized Bus (CB) Users




演習 Group work


課題:プローブパーソンデータを用いた行動モデル推定
プローブパーソンデータ(ロケーションデータ、ウェブダイアリー)・土地利用データ・交通ネットワークデータを用いて、離散選択モデルをはじめとした行動モデルの構築と推定をグループごとに行い、成果を発表しました。




01. IITB   pdf

発表概要: MODE ESTIMATION : TOUR BASED APPROACH



02. University of Central Punjab & University of Peradeniya   pdf

発表概要: EVALUATION OF BEST CHOICE MODE OF TRANSPORTATION



03. 芝浦工業大学   pdf

発表概要: 豊洲プローブパーソンデータを用いて,江東区内のトリップを対象とし,シェアサイクルの利用推進に着目した分析をした.シェアサイクルが選択可能か決定するシェアサイクルシステム登録可否モデルと,サイクルポート容量を変数とした交通手段選択モデルの2つをロジットモデルでモデル化を行った.

感想: 豊洲地区はシェアサイクルを推進している地区であり,今後シェアサイクル利用を推進していくための政策を検討しました.モデルやデータに対する理解が足りず,政策を提案する段階まで進められませんでしたが,政策分析を見据えて説明変数を検討することができたと思います.最後になりますが,ご指導いただいた先生・TAの方々,運営に尽力いただいた皆様に感謝申し上げます.



04. 愛媛大学   pdf

発表概要: 私達のチームは、COVID-19により世界的な流れとなっている在宅勤務への転換が居住地選択に与える影響の分析を試みました。神奈川県内でも比較的通勤時間の長い横浜市西区勤務者を対象に、多項ロジットモデル(MNL)を用いて42ゾーン居住地選択モデル推定を行った結果、地価や所要時間が有意な値となっており、在宅勤務への転換が進むと、郊外の人口減少地域へ居住地が分散することが示されました。

感想: メンバーのほとんどが初めて実際にモデル推定をするという状況でしたが、最終的には数値を出すことができました。途中では、モデルの組み立てやエラーに悩まされ、自分たちの理解がまだまだ足りていないことを痛感しました。テーマ設定にかなり時間を費やし、中間発表では進捗に大きく遅れをとった形となりましたが、結果的にはDavis賞を頂くことができ、非常に貴重な体験をすることができました。運営の皆様、講師の皆様、TAの皆様、ありがとうございました。



05. 熊本大学   pdf

発表概要: 私たちは、食事や買い物などの消費活動は様々な要因で変動し、現状の消費活動の把握することは重要であると考え、消費活動時間に着目した分析を行いました。具体的にはkitamura(1984)の時間配分モデルを用い、地理的および時間的要因と社会経済属性が、消費活動時間の配分に与える影響の分析を行い、勤務猶予時間や居住地から駅までの距離などが大きく影響していることが分かりました。

感想: 今回の夏の学校は修士4人、学部生4人の計8人という今までで一番多い人数で臨みました 。最初は一人一人意見を持ち寄って議論するというところから始まり、徐々に方向性を定めていくというところで、大人数で取り組む難しさというものも実感しました。しかしながら、作業を行う際には役割分担を決め、わからないところは修士が積極的に後輩の手助けを行うという形で進めたため、効率よく作業を行うことができ、またチームの結束力も一段と高まりました。この夏の学校を通して、チーム全体で行動モデルに対する理解を深められたと思います。最後にご指導いただいた講師の先生方、運営の皆様ありがとうございました。



06. 広島大学A   pdf

発表概要: 横浜市を対象に、「公共交通利用ポイント制度」導入による交通手段分担率の変容分析を交通手段選択モデルであるMNLを用いてパラメータ推定し、シミュレーション評価を行った。具体的に、環境負荷と健康被害の2つの要素を貨幣換算し運賃割引額に適用した。環境負荷や健康被害といった外部性をポイント制度導入によって内部化しても大幅な分担率の変化が見られないことが明らかとなった。

感想: 交通機関分担率の変容を見る際に、公共交通機関の費用に焦点を当てて運賃割引を適用したが、例えば自動車の費用に関して、駐車料金による負効用を導入するなど、さらなる議論の余地があった。しかし過去、参加した際に結論を出すまでに至らなかったこともあり、行動モデル分析において一連の算出過程を勉強することができ、非常に有意義な時間を過ごせました。夏の学校で得られた知見を今後の研究の発展に生かしていきたいと思います。最後になりましたが、夏の学校の運営に携わったすべての方、そしてご指導頂きました講師の先生方に感謝申し上げます。



07. 広島大学B   pdf

発表概要: To know whether the environment affects the mode choice of Yokohama citizens or not in the slope point of view, we used some variables, e.g., age dummy, male dummy, travel time, slope, and fare. The results show that male and distance significantly affects the choice of bike in overall mode. It also shows that slope has negatively significant to mode choice walk. Besides, we also made another two models based on age, below and above the ’40s. Travel time has negatively significant in all models. However, in this model, we found a strange result that is significantly positive in fare, indicates that if fare increases, people likely to use public transportation.

感想: The strange result that we found in the model may be avoided if we use the interaction between fare and travel time. However, we have to check and rerun the model, and unfortunately, we cannot made it since we are still learning how to make a suitable model in a short-time period while also participating in class. It is good to learn the behavior model across university and country. Furthermore, there is some new knowledge that we got from sensei, which makes the summer school even more interesting. Even so, it is a little bit difficult to join the ‘online’ summer school. The technical problem cannot be avoided, and it is a little bit difficult to make acquaintance with other participants from another university. Nevertheless, the summer school has been going very well. Thank you for all participants and sensei for meaningful experience and knowledge. Hope next summer school we have a better condition and can be done offline.



09. 東京工業大学   pdf

発表概要: オフピーク定期券の価格設定とその影響を分析することを目的に通勤の到着時間選択モデルの作成を行った。まず、時間価値を計算するために交通手段選択モデルを作成し、1分当たりの時間価値を44円と推計した。次に、到着時間選択モデルを作成し、変数には混雑度や理想時間との乖離費用などを設定した。3倍の運賃を設定したとしても、行動変容は大きくは発生しないとの結果が得られた。

感想: 初めて参加させていただきました。行動モデルはほぼ触れたことのないものでしたが、エスキスやTAの方々に助けていただき、最終的にはモデルを完成させることができました。サポート体制が充実していて、非常にありがたかったです。次回以降の課題としてはモデルの精緻さや、変数の設定方法などにもこだわって分析を進めたいと考えています。ありがとうございました。



10. 山梨大学   pdf

発表概要: 新型コロナウイルスの影響を 考慮した交通政策シミュレーション



11. 名古屋大学A   pdf

発表概要: According to the basic analysis of the Yokohama City dataset, mode choice behaviors appeared to be different related to the travel purposes. The road network information was added to each trip through map matching method, and NL model was utilized to ascertain the significant factors. Based on the result, adjusting the maximum speed of the link was simulated as an input policy and reflected certain influence to people’s mode choice. Finally, the model was discussed to be improved in some potential ways.

感想: This year’s summer school was held online which was a special experience for all of us. We took part in the lectures from our own laboratory and received the advice and comments from professors through zoom meeting. At first, we struggled to decide our research objective and changed it several times, so the time left for us became quite limited. If we could find some interesting topics earlier, I believe it would be completed better. Overall, thanks to the technology that we still be able to join the summer school under this circumstance, and the knowledge and exercises we gained from these days will help our study in the future.



12. 名古屋大学B   pdf

発表概要: 豊洲におけるシェアサイクルの経路選択モデルをCNLによって構築した.その過程で一般の自転車とシェアサイクルの経路の違いを明らかにするとともに,得られた結果から,政策にどう利用できるかを検討した.

感想: 班員内でのモデル構築の経験に差があったものの講義やグループワーク,エスキースを通じて,先生方からのアドバイスを頂いたり,班員同士での助け合いもあり,演習で2位という結果を得られたことは大変喜ばしく思います.経験の少ない班員もこの演習を通してモデル推定の流れやデータの扱い方を学ぶことができ有意義な4日間となりました.ここで得た経験は大学内での研究のみならず社会に出た後にも十分に活きてくると思います.最後になりますが,運営の方々,講師の先生方に感謝申し上げます。



13. 早稲田大学A   pdf

発表概要: 三密を避けられる移動手段としてコロナ禍で利用が増えている自転車に関して、横浜市における通勤時の自転車の利用促進に着目し、交通手段選択モデルの構築に取り組みました。

感想: 私たちは、横浜市における通勤時の自転車利用促進に向けた交通手段選択モデルの構築を行いました。政策としては鉄道とバス、自動車の料金の値上げを行い、相対的に自転車の選択確率を上げることを試みました。途中、横浜は傾斜が多いというご指摘を頂き、傾斜を考慮してモデル推定を行いましたが、結果として自転車の利用率を上げることができませんでした。しかし、モデルに関して実際に触れ、様々なことを学べたのは良い経験であったと思います。関わってくださった方々、ありがとうございました。



14. 早稲田大学B   pdf

発表概要: 松山市街地中心部の公共交通の推進に向けた交通分析



15. 東京大学A   pdf

発表概要: Analysis of Travel Behavior by the “Color” of the Cityと題して、継続的な入手が容易な航空写真や衛星画像を用いた推定方法をRecursive Logit Modelを用いて構築した。

感想: 画像のRGBや他の波長など説明変数の取り方について議論を重ね多くのパターンについて計算をした結果、従来手法に近いモデル精度が得られることを確認し、本モデルの有用性をある程度示すことができた。一方でグリッドのネットワークを用いたことと碁盤目状の松山の道路網は相性がよかったこともあり、この手法が他の地域にも有用であるかは議論の余地があると感じた。



16. 東京大学B   pdf

発表概要: 通勤定期制度の在り方が問われる中で、私たちは人々の移動が定期券経路の範囲内か否かを調べ、移動と定期券の関係について示した。さらに時空間制約付きgRLモデルを用いて、活動選択の特性を分析し、定期券制約をなくした時の活動の変化をシミュレーションしようとしたが失敗した。NLで試みるもうまくいかず、最終的にはMNLモデルで交通機関選択のパラメータ推定を行った。

感想: 私達は定期券の有無が行動にどのような影響を与えるのかを豊洲PPデータを用いシミュレーションによって検証しようとしました。最終的にシミュレーションまで到達できませんでしたが、基礎集計やデータ抽出を行う中でプログラミング能力や分析力が培われ、また推定においてはトライし改めてモデルについて考えられる良い機会だったと思います。今回の経験をこれからの研究に活かせられるよう精進していきたいと思います。ご指導いただいた先生方、ありがとうございました。



17. 東大・東工大合同チーム   pdf

発表概要: アフターコロナに向けた新しい個人属性による交通モデルの検討をした。コロナ以後の社会では同じ社会経済属性でも行動パターンが多様化するという仮説のもと、新たな個人属性として人の行動パターン(行動目的選択確率と退勤出勤時刻の平均,標準偏差)によるクラスタリングを行った。コロナ以前のデータである2018年豊洲におけるPPデータにてその有効性を確認し、アフターコロナで得られるデータでのクラスタリング結果がどのようになるかを考察した。

感想: 「現実の社会問題分析から始め、その解決のために交通モデルを用いる」という一貫した方針で取り組んだ。アイデアがいくつか得られたが、限られた時間と我々の技術力により、最も実装が簡単なアイデアの採用に至った。研究や授業を通して技能を身につけ、来年の夏の学校ではより複雑なモデリングに挑戦したい。




表彰 Award

行動モデル夏の学校には例年、数理的にモデリングをつめられていたグループには、故・上田孝行先生にちなんだ香住賞が、行動分析によって興味深いfact findingを実現したグループには、故・北村隆一先生にちなんだDavis賞が送られます。今年度の受賞チームは以下の通りです。

香住賞:10. 山梨大学

Davis賞:04. 愛媛大学

 

1位:15. 東京大学A

2位:12. 名古屋大学B

3位:04. 愛媛大学

4位:03. 芝浦工業大学 & 05. 熊本大学

6位:09. 東京工業大学


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