東京大学 羽藤研究グループ > 講座 > 2015 > 行動モデル夏の学校2015 > 当日のまとめ

第14回行動モデル夏の学校2015は,東京都・文京区の東京大学本郷キャンパスにて,2015年9月25日から27日にかけての3日間,講師14名,参加者102名(うち若手研究者セッション講演者3名・TA4名)によって行われました.

このセミナーでは,ネットワーク上の選択理論の基礎となる行動モデルとフローモデルの講義を下敷きに、スマートフォンによるプローブパーソンデータを用いたプログラミングスタディにチームで取り組みます.都市計画や交通計画,土木計画における立地選択,目的地選択,経路選択,交通手段選択などの様々な需要予測の中での位置づけと事例紹介を行ったうえで,道路空間の再配分や観光,中心市街地再生,マーケティングなどへの応用と,プローブパーソン調査などの新たな行動調査とデータプラットフォーム手法についての最新事例を学びました.以下にその内容をまとめます.

During this summer (Sept. 2015), we organized a special seminar. This series of 2-3 days lectures and exercises will be an insight in Model Estimation. This annual event has been held since 2002 and this is the 14th time. Outstanding researchers showed us the case studies on demand estimations of location choice, route choice, and transportation mode choice used in the fields of: Civil planning, Urban planning, and Transportation planning. We learned the brand new methods of individual behavior survey like Probe Person, and thought about how to apply it practically in real world such as: Redistribution of Road Usage, Tourism Planning, Renewal of City Central Area, and Marketing optimization.


基調講演 Keynote lecture / 講義 Lectures /
若手研究者セッション Earlybird Session /
演習 Group work / 表彰 Award







基調講演 Keynote Speech


Masahisa Fujita ( Konan University / Kyoto University / RIETI )
Diversity and Cultured in Knowledge Creation -The Story of the Tower of Babel Revisited-

ICT(Internet&Communication Technology)や交通サービスの発展に伴い,コミュニケーションのあり方が大きく変わろうとしている.そうした知 識創造社会への変化を背景として,知識の多様性・文化と知的生産力の関係を,「バベルの塔」の物語を引き合いに出しながら講演をされた.バベルの塔では知識を共有する人々が協力し,神に挑んだ結果怒りを買い,コミュニケーションが初期化されて多言語・多地域の社会が生まれたとされる.藤田先生はこれを天罰に見せかけた天恵だと考える.実際,東京に人口が集中しすぎた日本の知的生産力は低下し始め,研究機関でも外国人研究者の割合や外部協力がアウトプットにつながっているなど,知識の多様性の重要度が伺える.
さらにこうした動学的な創造力の変化を理論的なモデルによって記述し,知識の増幅と衰退の構造を示した.結果として,コミュニケーションの障壁となる物理的距離や言語の壁は,知識の多様性を確保し,創造力を生む天恵なのだと結論づけた.(PDF Document coming soon.)
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講義 Lectures


Arnab Jana(IIT Mumbai)
Theory of Behavior Model

The contents of this presentation is 1.Four-step modeling, 2.Choice Models, and 3.activity based modeling approach. Four-step modeling is by each model (gravity model in distribution step, etc.). To improve the travel demand estimation, choice model based on the random utility theory is used. Activity based modeling is focusing on the sequence of behavior in time-space matrix, and the better understanding and prediction of travel behavior.  (PDF Document)


Giancarlos Troncoso Parady(Univ. Tokyo)
Estimation Methods and Behavior Model

離散選択モデルでは意思決定主体,選択肢,説明変数,意思決定ルールを定 義しなくてはならない.基本的にはルールとしてランダム効用最大化理論が用いられ,誤差項の分布を仮定することで選択確率が算出できる.パラメータの推定手法としては最尤推定法が最も一般的である.また,離散選択モデルは個人の交通行動を予測する一方で,政策分析では集計的な行動の評価が必要となる.需要変化の評価としては弾性値(elasticity)が代表的に用いられる.また,予測のための集計化としては代表個人法などの手法が存在する. (PDF Document)



Makoto Chikaraishi(HiroshimaUniv.)
Advanced Behavior Model

クローズドフォームな離散選択モデルはMcFadden(1978)によるG関数から導出できるという特徴を持つ.誤差分布を特定せずに選択肢間の相関構造を記述できる一方で,加算型の効用関数で多変量極値分布(MEV)のモデルにしか適用できないという限界がある.Li(2011)は分散安定化の手法を用いることで,MEVに限らないさまざまな分布へと一般化した.また,Mattson et al.(2014)はMEVからGEV(一般化極値分布)へと拡張した一般化G関数を提案し,選択肢間の統計的な依存関係を扱えるようにした. (PDF Document)


Hideki Yaginuma(Univ. Tokyo)
Open-form discrete choice models

open-formのモデルは推定に膨大な計算量が必要になるが,closed-formのように IIA特性を持っていない点で優れる.東京 の鉄道ネットワークは経路重複が大き な課題であり,この相関をどう表現するかが重要である.そこで,ODペアごとの 共分散行列の各値は経路重 複割合で与える構造化プロビットモデルを用い,結 果を改善し18号答申の需要予測に用い,精度の改善を行った.また,Mixed logit modelは誤差項に2つの分布を仮定するモデルで,そのパラメータの設定次 第で他のGEVモデルを表現できるという特性を持つ. (PDF Document)



倉内慎也(愛媛大学) 行動モデルの基礎と推定

前半:行動モデルの基礎
離散選択モデルで一般的なロジットモデルにはIIA特性があり,選択肢間の誤差相関が記述できない.MMNL(ミックスドロジットモデル)は誤差項を分離することで,ロジットモデルの操作性を保ちつつ,柔軟な誤差構造を表現することを可能にする.NLやCNLを近似することや,個人間の嗜好異質性を記述することも可能である.特に,分析者が操作的に構造を仮定することを通して誤差相関を発見探索的に考えることができる点において意味を持つ.(PDF Document)


後半:行動モデルの推定
~シミュレーションによる推定とidentificationの問題~
行動モデルには基本的にパラメータが含まれ,モデルの選定,効用関数の特定化,パラメータ推定,結果の考察という一連の流れのことをモデル推定と呼ぶ.推定には一般的に最尤推定法を用いるが,誤差相関が存在する場合は積分計算が必要になるため,シミュレーションによる推定を行なう.MMNLの場合は誤差項から分離したηに乱数を与えて選択確率を計算するという操作を繰り返し,その平均値を用いてパラメータを算出する.ベイズ推定やMCMC法による推定といった手法も存在し,選定するモデルに適した推定法を選択する必要がある. (PDF Document)


山本俊行(名古屋大学) 行動モデルの応用

選択肢集合が充たすべき条件は,1)相互排他的,2)網羅的,3)有限個で あること.多数の選択肢を似通った特徴を持つグループにまとめることもあり,その場合は効用関数の定義が難しいためネステッドロジットモデルを適用することが多い.モデルによっては「行動をしない」という選択肢が必要となる場合があるが,選択タイミングの設定に注意が必要である.また,国 ごと調査ごとにトリップの目的分類が異なるなど,分析者が評価したいことと選択肢集合の設定は密接に結びついている.(PDF Document)



井料隆雅(神戸大学) 行動モデルと均衡

day-to-day dynamicsを考慮したモデルは,連続時間か,離散時間か.意思決定 プロセスをどう仮定するかで分類される.離散時間モデルのexponential smoothingで連続時間モデルが作成できるが,関数fの設定が重要である.特に, 時点tで選択aからbへ変更する比率ρabの設定方法 についてImitative Dynamics, Excess Payoff Dynamicsなど,種々検討されてきた. (PDF Document)



円山琢也(熊本大学) 行動観測と分析

交通調査と郵送による予備交通調査について.PT調査の回収率は70-80%から最近 は25%に落ち込んでいる.これに対しスマート国勢調査 はインターネット上で回 答でき,回答のなかった世帯に対し調査票を配布することで回収率の改善を試み ている.また,熊本での2012PT調査 では一部モニターにスマホPP調査を実施 し,参加者の傾向分析から調査参加選択モデルの構築を行った.居住地別のPT参 加率や用途地域別参加 率もモデルに組み込み,高齢者や低層住居地域の居住者 が参加しやすいという結果を得た. (PDF Document)






若手研究者セッション Early Bird Session   ...Detail reports in English here



Ryo Fukuda (Univ. Tokyo) / Firms’ location choice based on trading and financing relationship

都市の発展過程において限られた大都市への人口集中が続いてきた一方で, 近年の企業の立地行動としては中小企業の,地域内での移転が目立ってい る.そこで,帝国データバンクの企業情報を用いて,取引ネットワークに着目した企業の立地選択行動モデルの構築を試みた.選択の単位は地方自治体 とし,地域を大分類とするネステッドロジットモデルを形成し,パラメータ 推定を行なった.結果として,中小企業の地方都市への立地行動について高 い的中率を得た.企業間の時系列的・継続的な関係性に 着目することで,よりよいモデルの構築が可能だと考えられる. (PDF Document )
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Varun Varghese (IIT Mumbai) / Activity Opportunities and Changing Travel Paterns: A case of Developing Nations

発展途上国における公共交通ネットワークの整備やICT(Internet& Communication Technology)の進展を背景に,活動参加機会と交通行動の変 化を対象として研究を行なった.特にICTの普及は情報獲得を通じて個人の 交通行動に大きな変化を与えることが予想されるため,社会経済属性と同様 にICTの使用を考慮したモデルのフレームワークを提示した.さらに地域間 差異を考慮した目的地選択モデルの構想を示した. (PDF Document)
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Yuki Oyama (Univ. Tokyo) / A context-dependent scheduling model considering measurement errors in pedestrian network

歩行者の活動は空間特性や活動履歴といった文脈に依存して移動の中で発生 し,スケジューリングが動的に決定される.そこで滞在のみならず歩行も 「活動」=「特定空間への時間配分行動」として扱うことで,連続的な移動− 滞在の系をモデル化した.さらに,プローブパーソンデータのもつGPS観測 誤差を考慮し,位置座標の羅列データから確率的に活動列を生成しデータ・ セットとして用いた.推定結果として歩行や時間消費によるエネルギーの減 少のみならず,活動同士の相互作用や空間の影響を把握した. (PDF Document)
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演習 Group work


課題:プローブパーソンデータを用いた行動モデル推定
プローブパーソンデータ(ロケーションデータ,ウェブダイアリー)・土地利用データ・交通ネットワークデータを用いて,離散選択モデルをはじめとした行動モデルの構築と推定を,4~7人での班ごとに行い,成果を発表しました.





English program




Aチーム(東京工業大学チームA) Returning home or Recreation?   pdf / code

Abstract: In those days, early morning activity and after work activity is catching eye, thus we analyzed effect of before and after work activity to the worker’s wellness and economics and estimate binary choice model : going back to home straight and after work activity. In addition , they indicated that the information about the location of the home, workplace and each activities would improve the accuracy of the model. In those days, early morning activity and after work activity have an cathcing eye, thus we analyzed

感想: 夏の学校に参加させていただきありがとうございます。英語での発表だったのでとても大変でした。準備期間も夏の学校の前日からでしたのでチームでの頑張りがなければ間に合いませんでした。チームのみんなに感謝申し上げます。時間の都合上、肝心のモデルは簡単なものしか考えられませんでした。もう少し複雑なモデルを考えても良かったかなと思います。




Bチーム(東京工業大学チームB) Difference of Leisure behavior between sunny day and rainy day   pdf / code

Abstract:Focusing on the behavior difference between rainy days and sunny days, they estimated the number oh trip chain model(choice alternative : 1trip, 2trip, and more than 3) with rainy dummy. As a result, it was shown that weather dummy is significant when one trip. moreover, policy simulation that the fare discount in the case of the probability of precipitation is 20% or more.

感想:今回夏の学校に参加させていただき、普段は同じ大学内でしか自分の研究発表をする事も,他の方の発表を聞く事もありませんでしたので、大変良い刺激をいただくことが出来ました。演習では、行動モデルについて普段から福田先生に教えて頂いているにも関わらず、簡単なモデルしか用いることが出来なかったのが大変心残りです。来年も参加させていただくことが出来ましたら、より良い結果を残せる ように頑張りたいと思います。ありがとうございました。




Cチーム(インド工科大学(IIT)チーム) Study of Clustering Modes based on Choice of Transport across Space :a case study of Tokyo Metropolitan Area   pdf / code

Abstract:Their contribution was detailed analysis in relation to the spatial distribution in transportation choice between different attributes and estimated transportation selection model . They mapped the choice probability of each transportation mode and showed the difference of distribution of selection probabilities .

感想:       == Coming soon. ==




Dチーム(東京大学都市工学科チーム) Transportation model of Trip Characteristic on Companionship    pdf / code

Abstract:they estimated NL model with assumption that there might be behavioral difference weather going alone or accompanied: first level is going alone or with someone, second level is transportation mode choice.Their model was reviewed as for either with multiple people or individual is under different circumstances , there is a need to rethink the structure of the model..

感想: 非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。普段、研究の際に個人プレーが多くなっている中、チームプレーを行う機会は非常に貴 重な機会となりました。ただ、自分達の班の結果が悔しい結果に終わったのは残念でした。 先生方の講義やコメント、他チームの成果発表など大変勉強させていただきました。この度の経験を生かして、研究の方も励んでいきたい と考えております。 誠にありがとうございました。




Eチーム(東京大学生活研チーム) Dynamic route choice behavior   pdf / code

Abstruct: Focusing on walking trip around Kannai Station , we estimate the dynamic sequential path selection model after creating a network data . Nevertheless introducing the store number and street trees that are likely effectiveness in behavior as an explanatory variable , we used for the estimation was a link transition data all within the target area ( without limitation by trip purpose and actual OD), significance was not strong .

感想: プローブパーソンデータの最大の特徴であるスケールの小ささに着目し,経路選択問題に取り組むこととしました.モデル自体は,期待効用を考慮した逐次的ロジット選択型としました.マップマッチングやデータセット作成に想像以上の時間がかかり,正しくパラメータ推定ができないまま最終発表を迎えてしまったため,政策の議論が深められなかったのが残念です.班員同士団結はしていましたが,良いアイデアが出てこなかったのが敗因でしょうか.基礎を養生するべきだなと痛感しました.




Fチーム(英語合同チーム) Variable Time and Cost Estimators based on Distance Segmentation    pdf / code

発表概要:       In this year’s summer school of behavior modeling, the foreign students’ group focused their study on the application of various logit models based on distance segmentation, featuring the dataset in Yokohama city. Within several travel distance range, it was found that certain trip mode dominates people’s choice decision with significantly high alternative specific constants, while the value (parameter) of time and cost fluctuate within different distance groups. It is also suggested that the lack of notice of real out of pocket cost of several travel modes, namely private cars, and cycling, in fact disturbs the use of behavior model and would even lead to some confusing results.

感想:       The outcomes of this study were not inspiring enough, but it do provide some critical thinking towards the use and structure of PP data, as well as the behavior models.









Japanese program




Gチーム(芝浦工業大学Aチーム) アクセス・イグレスにに着目した交通手段選択   pdf / code

発表概要: アクセス・イグレスに着目した交通手段選択モデルを構築しています.元データのクリーニングから始めてアクセス・イグレス距離を説明変数に加えたMNLモデルの推定を行い,どちらも負に効いていることがわかりました.

感想: 与えられたデータにもう一歩突っ込んでアクセス・イグレスの交通手段を特定し、より真実に近い行動が捉えられたと思います。集計分析、行動モデル推計結果ともに、イグレス交通手段がアクセスと同等に評価されていることを示せた。悔いが残った点は、バスを利用したサンプルに偏りがあり、アクセス・イグレス交通手段として徒歩と自転車の選択でしか評価できないモデルであり、よりユニークな政策の発案に至らなかったことである。




Hチーム(芝浦工業大学Bチーム) 通勤・移動時間短縮に伴う自由時間の増加を考慮した余暇行動有無モデルの構築   pdf / code

発表概要: 帰宅時間の曜日別のバラツキを考慮して水曜日ダミーを組み込み,帰宅時の寄り道をする/しないの二項選択モデルを推定しました.残り可能滞在時間が有意に効き,鉄道所要時間の半減を行うことで寄り道を行うサンプルが3%増加することがわかりました.

感想: 今回の演習では、モデルを推定して政策シミュレーションまでたどり着くことは出来ましたが,基礎分析などにおいて議論が足りなかったこともあり,発表のシナリオが薄くなってしまったという点で課題の残る結果となってしまいました。しかしながら,先生方の講義や他大学の発表などを聞いて学ぶ点が多くあり大変有意義な時間を過ごせたこともまた事実です。このような機会を大切にし,今後に生かしていきたいと思います。




Iチーム(愛媛大学チーム) 環境の変化による交通手段選択モデル   pdf / code

発表概要: 雨量に伴い移動の危険度が増すことに着目し,前日の降水確率を説明変数に加えた交通手段選択モデルを推定しました.前日の降水確率と当日の天気を組み合わせてダミー変数を組み込むと,当日急に雨になったときに公共交通を選択しづらくなる,予想と真逆の結果になってしまいました.

感想: 演習目的がなかなか決まらず,事前調査が進んでいなかった.しかし,当日に先生方に頂いた意見をもとにメンバーで仕事を分担し合い,無事 完成させることが出来た.研究室のメンバーと1つの課題に取り組むというのは初めてだったので,よい経験になった.今後は,推定結果が予想していたものと異なっていたためその原因を解明してみたいと思う.




Jチーム(名古屋大学チーム) 非仕事系トリップにおける交通手段選択に影響を及ぼす要因の分析   pdf / code

発表概要: 名古屋大チーム.出勤・業務以外の非仕事系トリップに着目しました.トリップチェーンの中で,直前トリップの交通手段の与える影響が大きいことに気づき交通手段選択モデルを推定しました.前と同じ交通手段のダミー変数が有意に効いていることがわかりました.

感想: 非通勤系トリップの定義や出勤トリップの影響をどうモデルに組み込むかを考えるのにかなり時間がかかったが、最終的には先生方のアドバイスもあり、通勤の影響を受けたコストや前トリップの交通手段の影響を考慮したモデルを作ることができた。全体を通して、素晴らしい先生方の講義を受け、素晴らしい仲間と切磋琢磨することができ、大変有意義な時間を過ごすことができた。




Kチーム(山梨大学チーム) 自転車に着目した交通手段選択モデル   pdf / code

発表概要: 雨天時の交通手段の変更を同一個人で分析し,公共交通機関への転換があることを発見しました.晴れ/雨ダミーを組み込んだ男女別交通手段選択モデルを推定し,料金が効いていることに着目し電車料金の割引により電車利用が促せることを確認しました.

感想: 夏の学校は2日間と短い期間でしたがデータの集計から作図,モデルの推定,これらを踏まえた具体的な政策の提案まで,データ分析を一通り体験させて頂きました.事前分析では天気に着目して交通手段のMNLモデルを推定しましたが,最終発表までに各先生方からの貴重な意見やアドバイスを上手く活かせなかったので,次回は更にレベルアップして臨みたいです.




Lチーム(熊本大学チーム) ジニ係数を用いた交通行動特性の把握    pdf / code

発表概要: day-to-dayの移動圏域の変動に着目し,ジニ係数を用いた指標化を行いました.回帰分析で居住地の利便性,交通手段の影響がジニ係数に与える影響を分析し,利便性の高い中心部でジニ係数が高くなり,移動圏域がばらついていることを確認しました

感想: 今年度の行動モデルでは,ジニ係数を用いた指標化を試みましたが,期待した結果が得られず,悔いが残る形となりました.また,独自の着眼点からモデル構築を行う難しさを痛感いたしました.しかし,一部解析結果において,ジニ係数と移動圏域の関係性が見られたこと,チームで団結して解決する楽しさを感じられたことは大変有意義でした.先生方や運営委員会の皆様には大変お世話になりました.本当にありがとうございました!




Mチーム(広島大学Aチーム) 内生性を考慮した目的地選択モデル   pdf / code

発表概要: 中心市街地のにぎわいを内生変数としてモデルに導入して,中心市街地と郊外の目的地選択モデルを構築し,他者の行動に影響される相互作用の推定に取り組みました.推定結果は算出できなかったものの,モデルの着眼点に関しては好評でした.

感想: 内生性や相互作用を扱いたいというコンセプトは強かったものの、データセットを丁寧に見る過程が不足してしまい、モデル推定を最後まで終わらせられなかったのが反省点です。しかし、それを通じてデータを丁寧に見ることの大切さといったことを痛感できました。また、広島大学は他大学の方々と関わる機会が少なく、今回の夏の学校は刺激を受けられる良い経験でありました。是非来年度はリベンジができるよう努力をしたいと思います。ありがとうございました。




Nチーム(広島大学Bチーム) 自転車交通に関する分析   pdf / code

発表概要: 広島大学Bチーム.標高差が大きくなるほど自転車の利用率が減少するという分析結果から,坂ダミーを説明変数として導入して交通手段選択モデルを構築しました.自転車から電動アシスト自転車に転換するシミュレーションを行ましたが,電動アシスト自転車の導入効果は大きくないという結果でした.

感想: 今回行動モデル夏の学校に参加したことは、自分含めチームのメンバーにとってとても良い経験になったと思います。先生方の貴重な講義や、他大学の新しい発想や分析案を知れたことで、良い勉強になりました。また5位という結果を頂けたことに驚きを感じましたが、チームで頑張ってきて良かったと思いました。ここで学んだことを、今後各自の研究に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。




Oチーム(東京理科大学チーム) 定期券が私事目的の交通手段選択に与える影響   pdf / code

発表概要: 定期ダミーの有無を考慮して交通手段選択モデルを推定し,定期を持っている人は鉄道を利用しやすいということ,また鉄道運賃の説明変数を,定期を反映した料金設定に変更することで,より有意なモデルを構築することができました.

感想: 全員初参加であり,行動モデルについての基礎から学ぶことから開始したため大変でした.事前演習により着眼点を定めてモデルの構築までを行ったものの,考察と政策シミュレーションが間に合わなかったことが反省点となりました.先生方の講義,指導とともに,他のチームの発表からもモデルについて勉強させていただきました.学んだ知識と経験を今後に生かしていきたいと思います.ありがとうございました.




Pチーム(株式会社道路計画チーム) 個々の移動データから行動モデルの構築   pdf / code

発表概要: 道路計画チーム.自動車トリップに着目し,サンプル毎のベースルートを設定し,経路変更の二項選択モデルを推定しました.所用時間や天気が有意という結果で,変更可能性が高くなるということが明らかになりました.代替経路や経路重複,出発時間の影響に関して講師陣から講評がありました.

感想: 昨年は芝浦工業大学との混成チームで参加し、Davis賞を受賞させていただきました。そして、今年は香住賞を受賞することを目標に参加し、経路選択モデルに挑戦したものの適切な設定ができず、経路変更の二項選択モデルを推定することにシフトすることになり、満足な結果を得られませんでした。データの条件を早い段階から確認する大切さを改めて感じ、モデルを推定すること以外の勉強にもなり、大変有意義な2日間でした。ありがとうございました。




Qチーム(神戸大学・金沢大学・東京海洋大学合同チーム) 降雨と平日・休日に着目した交通手段選択モデルのの推定   pdf / code

発表概要: 降雨と平日休日に着目し,説明変数として,天気ダミー,曜日ダミーを組み込んだ交通手段選択モデルの推定を行いました.基礎分析の結果でバスの利用者が極端に少ないことから,バスの所用時間を減少させた場合,料金を割引した場合に関してシミュレーションを行いました.

感想: メンバー全員が初参加の上,混成チームだったので戸惑うことも多くあった.個々が行った事前分析を基に課題分析や背策提言の方針を決める際には,意見の集約が上手くいかず苦労も絶えなかった.夜遅くまでメンバーで集まり,バス停に着目した行動モデル作成という最終的なアウトプットが定まったものの,分析方針の誤りを事前に見抜けなかったなど反省の多い結果となった.今回の反省点をバネに,行動モデルの知識をより深めていきたい.




Rチーム(個人参加者合同チーム) コンパクトシティの交通への影響分析   pdf / code

発表概要: コンパクトシティ政策が交通に与える影響を分析するために,通勤トリップに着目して分析を行いました.着眼点は良かったが,PPのままで政策シミュレーションが可能だったのでは,という講評をいただきました.

感想: 夏の学校初参加ということで、終始右往左往しながら取り組みました。結果としては政策効果の検討までたどり着かず、モデル変数の適切さも十分に吟味できず残念でした。しかし、多組織との混成チームでしたので初対面のメンバーとの議論や、懇親会での他組織との交流などを通して有意義な時間を過ごすことができました。主催者の先生方、TA、事務方の皆様ありがとうご ざいました。






表彰 Award

行動モデル夏の学校には例年,数理的にモデリングをつめられていたグループには,故・上田孝行先生にちなんだ香住賞が,行動分析によって興味深いfact findingを実現したグループには,故・北村隆一先生にちなんだDavis賞が送られます.今年度の受賞チームは以下の通りです.

香住賞   :該当なし

Davis賞:Cチーム インド工科大学チーム (Team IIT)


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