羽藤のメモ
2010.05.03
- 神宮にいってきました.野球観戦はいいですね.ちょっとまだ寒かったですけど.
- 尾鷲に行ってきました.雨上がりの森は美しいですね.ダニなんかもいますけど(笑).
- まちづくり大学院の講義を担当しているのですが,まとめはこっちです.
協力いただいた講師の先生ありがとうございました.twitterの方でupさせていただきました.
- アーサーCクラークのなんだっか作品の中で「テーマは何事も三つ一組にしないと気がすまない」という台詞があります.
学習曲線を考えれば,最先端の分野では常にいろんなことを勉強し続けないといけないのは明らかですが,
しかしやっぱりいつかは結果を作品(コード,論文,作品?)にしてなんらかの形でリリースしないといけない.
だったらできるだけ早く試作品をつくるべきだし,そのことによって学ぶことが多いはずです.
試作は兎に角なんであってもいろんなリスクを減らします.正しくやってる時間がないときに切羽つまってつくる
システムが正しいし,想像力を刺激するそういうシステムこそが重要だと思うのです.
そういうシステムであれば,次の時間が与えられるのではないでしょうか.
-
2010.04.27
- 変化と差異というタイトルで
北村シンポジウムで話しました.北村先生から本当に多くのことを学びました.
病気を押して最後の夏に本郷に来ていただいたこと,短い時間でしたが,一緒に研究できたことに心から感謝しています.
ありがとうございました.
- 効率がいいから,プロだから,仕事だから,論文書きやすいから,そんな言葉で思考停止になりたくない.
そんなのは大人じゃない.ただの聞き分けのいい子供だと,僕も思っています.
2010.04.18
- アイスランドの火山が爆発しました.
- ノート01.スケールの
問題に関心があっていろいろ考えています.アボガドロ数はシミュレーションできないのでBEC,でもって量子
統計というあたりから都市のスケールをずっと考えています.都市というのは関係性の定義だと思っています.
重なりあう関係を行列計算でみていて,式ですけど,紙と鉛筆でどこまで考えられるかみたいなことをやって
います.
2010.03.23
2010.03.10
- こいうのやりました.
川俣さんとの対談ですが,東京を題材にしたアートやモデルがあるんだけど,
やっぱりちゃんとしたリサーチをしてないものは揮発性に終わるというような,研究と同じような話を
しました.未来を語る,東京2050みたいな話のなかでは,アートや実践,モデルや理解みたいなものが互いに
連鎖するようなもう少し立体的なアプローチが必要なんじゃないかという話になりました.芸術言語論みたい
な話に関連付けるとじゃ何はアートなんだ.揮発性のものこそ自己表出の本質じゃないかという話になるわけ
ですが,自己表出と自己表出をつむぐのではなく,その土地との対話をどういう精度で考えるかという
問題かもしれません.わりと楽しかったです.
- 神戸の科研の研究会で「動的相互関係におけるボーズアインシュタイン凝縮的振る舞いとその考察」と
いうタイトルで話してきました.何を話してきたんですか.みたいなことを言われたので,,
- 私の興味は,ネットワーク形成とその連鎖,および動的発生メカニズムにあって,
ミクロの単純な積み上げで説明できないマクロ現象をどう記述すべきかに向いているところがあります.
パラメータ推定したり空間解析したりして得られる「結果」が分析結果としてはわかるけれども,
それが顕れる理由が知りたい.その結果がいったいどこからやってきているのかに関心があるといったら
いいでしょうか.台湾の集集地震の大規模化(1999年)なんかでは長距離相関が原因で広域連鎖破壊が
発生することが知られていたり,ルビジウム原子,ナトリウム原子のレーザー冷却に
よるボーズアインシュタイン凝縮を起こしたり,こういう現象は何で起きるのか.
- そもそも,分子挙動を考えたいとき,分子間相互作用をいちいち計算してシミュレーション
で解いてもいいのですが,アボガドロ定数:6.02×10~23は多すぎるので,量子統計でやったほうがよい.
ある分子が運動エネルギー1/2mv~2と速度vを持つ確率を考えると,Prob(ε)∝exp(-ε/kT)で,
温度が上がるほどε=大(高エネルギー準位)の分子が増える.しかしこれは高温の話(マッ
クスウェル-ボルツマン統計)です.高温では粒子はバラバラの動きを示しますが(人が自由度の高い状態で
動いているのと同じで),一方低温では非常に多くの粒子にひきつけあう力が働き,同じ状態に陥ることで,
マクロレベルで確認可能な状態に遷移する.なので,そいうボーズ粒子の特徴を踏まえた量子統計が必要になってきます.
今回はこの概念を平衡ネットワークの遷移確率に帰着させ,分子の動きを考える際に,低温になると波長が
伸びる性質(λ=h/(3mkT)^1/2)を利用することをまず考え,低温の状況下で,ド・ブロイ波長が伸びて
だんだんと原子間距離に近づき,終いには個別識別できなくなる(量子力学的には同種粒子化という)わけですが,
結果としてこのことは超流動のようにエネルギー準位がひとつに集中してしまうことで,すべての粒子が同じとなり
摩擦そのものが喪われてしまう現象を生み出します.このことに着目して平衡ネットワーク解析の
枠組みをGEV型のロジットモデルで整合的に記述できること,いくつかの数値計算例を示しました.
敢えて平衡ネットワークという言い方で抽象的な話にしているのは,超長期観測結果に発展させたいという考えがあるからなんです
が,協調現象として平衡ネットワークを考えるなら,ゲーム的量子統計の枠組みの整理がそろそろ必要かなという気がしてきました.
- 16日と17日に,交通まちづくり そのデザインと実践と
東京2050のフォーラムを本郷でやります.
- BCALsをクラウドに組み込む話ですが,Android版はバッテリー問題があるんですが,iPhone版と同時開発に大坪さんと着手しました.
- いろいろ時代の変わり目ですが,変わ目だからこそ,変わることをことさらに強調して 右往左往するような軽佻浮薄な
矢鱈な実践に走るのではなく,俯瞰的に現実を眺めた抽象度の高い理論研究が必要という気がしています.レベル
の高い国際Journalはもちろんですが,メーカーの技術者や金融,プログラマな人やマーケティングなんかを
やってる人たちといろいろ話していると,今まで制約条件だと思っていたこと,前提条件になっていたことが,
情報技術や社会システムの変化の中でぐらぐらと動き出していますので,(やってみました的なお手軽なことではなくて)
そいう制約を軽々と飛び越えていくような研究が今求められていて,だからこそそれを体現し得る現場での実践の
重要度が増している.いくつかの地域で関わっている仕事の精度を現場で高めていく中で,いろんなことを考えてみたいと思っています.
- ニューヨークのハイラインを次年度は研究と実践で取り上げてみようと思っています.
2010.02.20
- 尾鷲で設計領域な人たちと一緒に森のプロジェクトに関わっていて年度の仕事は
終了しました.あとは実施設計を詰めて,次年度施工に入ります.
- 卒業設計って記憶に残るよね.いや卒論が記憶に残らないとかそいうことではなくて(笑).
その先にあるものが大切なんだと思います.講評とかまとめてみた(こっちです→).
- モビリティクラウドのシステム設計ですが,オークションを基本においたシステムを考えています.需要が疎なときと,
ネットワークの不確実性をどう考えるのかがキーだと思いますが.代替性は既存のネットワークを機会損失リスクを計算すれば
担保できると思っているので,,というような話を3月20日に某所で堅苦しい格好でするつもりです.
- 修士論文の指導がようやく収束しつつある.何がいい修論なのかって難しいわけだけど,
表面的にまとまりがついているとか努力したとかそいうことではなくて,
学問的にどれだけ挑戦があったかということではないかと思います.
あくまで僕の価値基準ですけど.いい年齢なので徹夜はもう止めたいんですが,兎に角
終わってよかった.みなさんごくろうさまでした.
- まちづくりにおける対話の研究-風景を媒介とした動的言語モデルを用いて-(松村草也)
関係性の研究.空間に落とすということは実は考えていなくて,インタラクティブ
な景域をくりぬくように記述したかった.ウィトゲンシュタインの言語ゲームを取り扱おうとした研究.
アイデアはよかったんだけど,さっぱり進まなかった(笑).言葉に顕せないものまで
辿り着けなかったのは残念だったが,方向性は見出せたのではないか.
- 豪雨災害避難時における微視的な相互協調作用とネットワーク複雑性(浦田淳司)
ボーズアインシュタイン凝縮からηを引っ張り出して確率分布をn-GEVタイプでモデリング
するアイデアまではよかった.パラドキシカルな現象に集約させて現象を確認するところ
まで追い込まないと理論研究を普通の人があーそいうことかと理解するには至らない.
ただこういう研究を最後まで攻めきったのはよかったと思う.
- ハバナ旧市街・密集市街地における二層の街路空間システムの再開発とその評価(樋口智幸)
志村研究で一定の成果をあげていたハバナ研究に正面から切り込んで,建築から都市へとまなざし
を向け,キューバが選択しようとしている人の暮らしを支える仕組みの改変に着目した.職業を
持っているのによくあれだけの期間ハバナにいた(笑).そして歴史家事務所恐るべし.夕暮れ
のMalecon通りの美しさが忘れられません.スペイン語は難しい.西夏さんに感謝ですね.
- 長期観測データを用いた都市空間上の移動-活動パターン分析(武智環)
スケールフリーまではGonzalesでも確認できていたと思うが,空間内変動と空間間変動,個人間
変動と個人内変動に着目してPPデータを丁寧に分析しようとした.拘り過ぎたところを北村先生の論文に救
われたわけだが,なかなかアイデアが出ないでスタックすることも多くて苦労したような(笑).
工学的なインプリケーションはPPの今後にかかってるなあ.
- 選択肢の認知-学習過程を考慮した都市空間における経路選択機構の分析(山川佳洋)
基礎研究.基礎研究は最も応用的なことを考えている人には役立つけど,茶番を演じている
人には無価値.という点で,どこまでも基礎を突き詰め,実証を積み重ねられるかが勝負だった.
バーチャルネットワーク何処は兎も角としてマルタで国際学会デビューもしたし,システムに落と
す上でアルゴリズムでもう一押しあってもよかったが,忘却関数をひねり出して学習モデルもなん
とかしたのは立派だった.
- 都市空間における移動-活動類型に着目した自転車共同利用事業の評価分析(藤井敬士)
データは一番ストックされていたが,なかなか研究としては深まらず,でも最後に評価までいけて
よかった.自転車の共同利用は個人的にはここ数年で一番実験も多くて拘ってやったんだけど.モ
ビリティクラウドみたいなことを考えるとまだまだこれからの都市システムだと思う.オペレーシ
ョンサイドが課題だな.
- 移動空間の更新に伴う歩行者と自動車の相互規範の変化(北川直樹)結構
時間と空間が生み出す規範というところから出発して,実際に道後温泉の駅前広場の設計協議めがけて
ゲーム理論的なアプローチで規範の形成メカニズムを考えようとした研究.よく空間を眺めて,
そこから理解できることを理論的に積み上げていくことが,何のためにとかって考えることよりも
はるかに大切な場合もあるんじゃないかと思います.
- 2010年がやってきた.