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中学・高校生による事前復興学習の進め方
0. はじめに
防災地理部でどう活動を進めていくのでしょうか?そもそも事前復興とは?何をすればいいの?ということに関する資料です。
1. 過去から現代まで地形図を重ね合わせてみる
近代から現代にかけて移り変わっていく地域の土地利用の変遷を、色鉛筆でトレーシングペーパーに重ね合わせていきます。 複数の年代の(旧版)地形図、ハザードマップ、トレーシングペーパー、色鉛筆を用意しましょう。 トレーシングペーパーを地図に重ね、1枚ずつ、施設の配置や宅地の造成、道路と鉄道の位置、港や駅の立地と災害の履歴を写しとります。 災害の履歴と宅地の造成のペーパーを重ねてみると、災害危険度の高い/低い場所にまちが発展していくことがわかるかもしれません。 そこに道路のペーパーを重ねてみると、幹線道路ができたことでまちがその方向に発展していったことがわかるかもしれません。 このように鳥の目で俯瞰して見た分析は、実際に地域を歩いて見た虫の目の観察と結びつくことで、新たな気づきを生みます。 実際に自分の足で地域を歩くことで初めてわかる地域のよさみと特徴、課題と合わせて、みんなで議論してみましょう。
今昔マップというサイトを使うと昔の地図を現在の地図を比較することができますし、地理院地図というサイトでもさまざまな地図を比較できます。
- レイヤー分析の説明(PDF)
- 分析例の動画はこちらから
2. 家族や親戚の人に話を聞いてみる
自分の両親やお婆ちゃんやお爺ちゃん、近所の人に昔起きた災害について話を電話などで聞いてみましょう。災害が起きたら、どこに避難するか、家が壊れたらどこに住みたいか、どんな町にしていきたいかを尋ねてみてください。それぞれごとの事前復興のイメージを聞き取り、どのようなことが出来るか議論してみましょう。
3. 他の地域の復興事例を調べてみる
自分たちの地域と似たような地形、歴史を持つ町の計画や、全然異なる地域のことを調べて、参考になる事例を探してみましょう。 訪れた町でもいいし、まだ行ったことのない町や隣町のことを知ることも大切です。高台移転や、防潮堤整備、避難路の確保、商店街や漁業の活性化、地域の計画とその実践を調べてみましょう。
以下は、事前復興を考える際の、視点をまとめた資料です。過去の災害復興を見て回るのもいいでしょう。
復興デザイン会議 復興政策賞・計画賞・設計賞
防潮堤の計画、仮設住宅や災害公営住宅の建築計画、復興計画、公園の設計など様々な復興の好事例がまとめられています。
災害後に出てきた課題に対してどう工夫して解決したかの参考にしてみてください。
4. 自分たちの事前復興プランを考える
いよいよ自分たちの町の事前復興プランを考えてみましょう、段差のある避難路や、倒れそうなブロック塀や住居をどうするか、防潮堤の整備や、被災された方の受け入れはどこにするか、町から人々が離れてしまわないか、どうやって事前に進めていくのか。みんなで地図を広げたり、Zoomで画面共有して、議論を進めることがポイントです。
5. 大学生の先輩に尋ねてみる
さまざまな地域で災害と都市計画の歴史や、避難行動の研究や計画づくりに取り組んでいる大学生の先輩や先生に質問してみましょう。 地域の歴史の読み解き方や、現地ヒアリングの方法、プランのつくりかたについて悩みを相談して、SlackやZoomでアドバイスをもらって、プラン作成に活かしてください。
6. 地域の人たちにプランを話してみる
自分たちでつくったプランを周りの人たちに話してみましょう。わかりやすくプランを地図に表現したり、図面に描くことが大切です。ボードに印刷してプランをわかりやすくまとめて説明してください。事前復興プランの動画をつくるのも有効です。意見をもらったら、議論して、自分たちのプランを修正してみましょう。
7. プランを実践してみる
自分たちで実践できることをプランの中に盛り込んで、地域でできる小さな活動はないか、みんなで議論してみましょう。自分たちでつくったプランの展示や、ハザードマップの公開、地域の人たちと議論の場をつくったり、後輩や家族に説明して何かできることはないか考えてみましょう。