横浜低炭素地域づくりフォーラム | 第2回モビリティデザインヨコハマ会議 | モビリティカフェヨコハマ |
第1回モビリティデザインヨコハマ会議 | くるまto自転車de風景散歩

横浜低炭素地域づくりフォーラム

概要

2009年10月6日(火),横浜市にあるtvk future cafeにおいて,横浜低炭素地域づくりフォーラムが行われました.中村文彦教授(横浜国立大学),小林光氏(環境省),柳川健一氏(クリオシティ),枝廣淳子氏(イーズ),原加代子(日産自動車),羽藤英二准教授(東京大学)の6名を迎え,18時から行われました.はじめに,今年度の横浜市におけるカーシェアリングなどの社会実験の紹介があり,そのあと,東京大学都市工学科4年生によるモビリティデザインの提案,柳川氏によるバイクフィルムフェスティバルなどの活動の紹介が前半の部で行われました.後半の部では,中村教授,小林氏,枝廣氏,柳川氏,羽藤准教授によるトークセッションがあり,今後の取り組みや目指すべき姿などについての意見が交わされました.

モビリティデザインの提案

東京大学都市工学科の4年生によるモビリティデザインの提案が行われました.内容は,横浜のみなとみらい地区を中心とした半径1.5km程度の地域を対象として,まちをつなぐ,モビリティをつなぐ,楽しくをコンセプトにプランを考えました.いくつかの線により移動が分断されてしまっている横浜のまちをつなぐために,観光バスやコミュニティバス,シーバスを有効利用できるネットワークが提案されました.また,市民がより使いやすく,親しみやすいコミュニティサイクルのデザインがアンケート分析結果より考えられており,それと合わせた自転車道のデザイン・整備計画のプランも提案されました.また,いくつかの公共交通機関が集まる駅などにおける乗り継ぎや空間の快適性を考えた空間デザインも提案がなされました.

発表内容

1.現状分析
2.コンセプト(まちをつなぐ・モビリティをつなぐ・楽しく)
3.提案
・公共交通(バス再編・シーバス活用・コミュニティバス)
・共同利用自転車(システムの分析・自転車ネットワーク整備計画)
・結節点デザイン(日本大通り・日ノ出町・桜木町駅・ゾウの鼻公園)

発表内容スライドをこちらからダウンロード頂けます.

バトルトーク

中村教授,小林氏,枝廣氏,柳川氏,羽藤准教授によるバトルトークでは,自動車依存の社会からいかに他の乗り物の魅力を高め,小さな個人個人を考えたモビリティを考えていかなくてはならないといった提案が中村教授や枝廣氏からなされ,柳川氏からは使い捨てのように扱われるママチャリ文化ではなく,愛着をもった自転車との付き合い方を考えていってほしいという言葉がありました.小林氏は,環境都市づくり,CO2削減のためにはいかに利用量やエネルギー効率といった様々な要素を組み合わせて減らしていくのかが大事であるとおっしゃっていました.羽藤准教授は社会構造が変化していく中でそれを受け止める都市構造や生活文化をどのように提示していくのか,誰が提示していくのかを考える必要があると呼びかけていました.最後には,低炭素や25%削減といった大きな目標を達成するためには,大きなアイディアや思いきった空間の再配分が必要であるという議論になり,そういったことをするために頭も手も足も動かせる人をという原氏の呼びかけでバトルトークは幕を閉じました.

第2回モビリティデザインヨコハマ会議

概要

東京大学の花木教授から持続可能都市に関する世界動向についての報告を受けて,横浜市の柏崎氏が環境モデル都市ヨコハマの概要報告を行いました.パネルディスカッションでは,環境モデルの選好委員でもある筑波大学の石田教授によるモビリティの未来についての論点提示に基づいて、横浜市の信時氏,ステップチェンジ株式会社の奥澤氏がバトルトークを行いました.さらに後半部では,聴講者も交えたテーブルワークショップを開催し,環境モデル都市のモビリティについて掘り下げた議論が展開されました.

各テーブルの議論内容

テーブルA

会議横浜市では環境モデル都市に選定されたことで、数多くのプロジェクトや社会実験を行っています。しかし、現在の社会実験は小規模であり、大規模化する上で壁があると同時に、社会実験そのものが成功を義務化されている歪んだ形になっています。そもそも社会実験は成功・失敗を試すための「実験」であるはずなのに、本格実施の前にお墨付きをもらうための調査になっており、萎縮したあまり冒険できない社会実験になっている、という議論は大学関係者として非常に注意すべき点であると感じました。

また、横浜市はプランの特徴として「市民力」を挙げていますが、果たして「市民力」とは何なのでしょうか?「市民力」における市民とは行政、企業、市民とセグメント分けした後の市民ではなく、 文字通り「横浜市に住む民」であり、行政や企業という垣根はありません。その市民が抽象的な議論ではなく、より具体的でリアリティのある図面にまで落とし込んでいく。それこそが市民力を真に体現していく唯一の方法であると思います。

会議の最後に出た言葉「気付いた人には(行動する)責任がある」。この言葉の体現こそが今、横浜市に求められている市民力であり、そして、当日の参加者全員に求められている責任なのだと思います。
(東京大学:原)

テーブルB

行政の視点から温暖化対策を考えるときに、それは未来を見た取り組みなのか、それとも今を見た取り組みなのでしょうか。今か未来のどちらかではなく、見込み(未来)のある技術を使う(今)ことが行政の役割といえるでしょう。現在の行動は小実験の段階にあり、大規模化に向かうためには市民のレベルへと落とし込むことが必要になります。それは、行政の負担を分散化させていく過程であり、参加してもらう中で、市民の中で(周りの人や過去の自分と)比較し、どうしたらいいか気づきを与える必要があります。

ただ、はたして市民へ広げるとは、どうやればできるのでしょうか。行政がやりたいことと市民がやれることのすれ違いはたびたびあります。すれ違いの解消には、エコを行う楽しさ、生活の不満足解消のためのエコを考えていくべきだと思います。また、活動が浸透することが大事であるが、浸透といっても100%の浸透ではなく、あと2,3割のセグメント変化があればいいのではないでしょうか。
(東京大学:浦田)

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モビリティカフェヨコハマ

概要

本年度,ヨコハマにおいて,自転車共同利用システムの実験が行われることになりました.これは横浜市,日産自動車,東京大学が検討することとなった,ゼロエミッションを目指した次世代交通システムの実現に向けた取り組みの一環です.そして今回のモビリティデザインヨコハマ会議開催に伴い,参加者に横浜市の魅力を理解してもらい,環境に関する意識を高めるために,モビリティカフェヨコハマが開かれました.

モビリティツアー体験を通して

セグウェイ横浜市と日産自動車(株)のゼロエミッションを目指した次世代交通システムの検討を調印したことを受け、東京大学が協力をしながら検討を進めていくことになりました。本年度、この取り組みの一環として、GPS携帯を使った実態調査、レンタルサイクルシステムを実施して行くうえで、それらの参加者に横浜市の魅力をより理解してもらい、環境に関する意識を高めるため、カフェを開催しました。当日は、みなとみらい地区にて、自転車を使ったミニツアーを行ったり、セグウェイ・ベロタクシーの試乗を行いました。

 

レーダーを搭載した携帯電話を持って,ポートサイド地区〜横浜ベイクォーター〜マリノスタウン〜パシフィコ横浜〜臨港パーク〜ぷかりさん橋〜新港パーク〜ハンマーヘッド 〜海上保安庁(資料館)〜横浜赤れんがパーク〜象の鼻パークという,いわゆる横浜ベイエリアコースをサイクリングしてきました.レーダーというのは,あらかじめ設定したコースにしたがって次の目的地への案内や地図を出してくれるもので,私のように土地勘のない人も手軽にツアーをする手助けとなりました.立ち止まって携帯電話の画面を確認するという多少の手間がかかるため,レーダーを使わず同行者の元横浜市民にナビゲートしてもらってしまう場面も多々ありましたが….

 

天気もよく,海沿いは人も少ないので風を感じながら気持ちよく走ることができたのですが,少し街中に入ると道が狭かったり歩行者が多かったりして,まだまだ自転車が走りやすい環境とはいえないな,と感じました.東京で自転車に乗るのに慣れている自分としてはそんなに苦にならないですが,安全面の考慮や,観光資源をつなぐという観点からすれば,自転車だけでなくほかのモビリティとの組み合わせも考える必要がありそうです.
(東京大学:藤井)

ミニワークショップ

実際にMM21地区においてベロタクシー、コミュニティサイクル、セグウェイを体験した市民の皆さんが、これらパーソナルモビリティをどのように横浜にインストールしていくかについて議論しました。各モビリティを体験した感想として、ベロタクシーはガイド付きでゆっくり回遊するため横浜の理解が深まった、コミュニティサイクルは気持ち良い海風を感じながら行動範囲が広がることで新しい魅力が発見できた、セグウェイは搭乗者と周辺にいる人がコミュニケーションするきっかけとなった、といった声が多く聞かれました。その一方で、異なるモビリティには適切な情報提供の仕組みが必要であることや市民にモビリティを認識してもらう拠点の整備が必要であることが問題点として浮かび上がりました。これらの改善案として、情報提供にはGPS携帯を使う、ベロタクシーの拠点は赤レンガ倉庫を用いる、といったより具体的なプランが活発に議論されました。
(東京大学・北川)

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第一回モビリティデザインヨコハマ会議

概要

5名のパネラー2008年9月13日(土)、横浜市のYOKOHAMA MBCにて、北沢猛氏(東京大学)、中村文彦(横浜国立大学)、二見徹氏(日産自動車株式会社)、信時正人(横浜市)、羽藤英二(東京大学)の5名を迎えてモビリティデザインヨコハマ会議が行われました。北沢先生、羽藤先生による基調講演後、パネラーの方々からお話をしていただきました。 各テーブルにて、それぞれ「環境モデル都市のモビリティ論(信時)」、「公共交通に未来はあるか(中村)」、「クルマはどう変われるか(二見)」、「第三のモビリティ戦略(羽藤)」というテーマでグループディスカッションが行われました。

各グループの発表

【自転車チーム】
横浜の第3のモビリティとしての自転車のあり方についてこのテーブルでは議論しました。まず、現在の自転車の取り巻く雰囲気として、あえて自動車から自転車に乗り換えようとは思わない人が多いものの、自動車を持たないという選択肢が存在しないことは良くないという認識でした。欧州のコミュニティサイクルのような利便性と快適性を備えた移動手段が横浜にあることは望ましいが、そのためには横浜を走り慣れた人たちによる自転車マップや各ステイクホルダーを繋ぐコーディネーター役が必要であるという議論になりました。最後になぜ横浜に新たな自転車施策を考える必要があるのか、という議論を行い、高齢化や交通弱者の存在を後向きではなく、時代の転換期に新しい挑戦ができる機会だと前向きに捉えて、移動の楽しさを発見することが目的だろうという結論になりました。(東京大学・原)

【公共交通チーム】
公共交通チームでは横浜国立大学の中村文彦先生を中心に、「公共交通に未来はない?」という問いに対してディスカッションを行いました。参加者が自己紹介をしつつ、それぞれの公共交通に対する問題意識を発表し、その意見に対し、中村先生が様々な事例を紹介し、議論するという形で話し合いが行われました。総括としては、公共交通には、移動制約者の足であったり、観光客が楽しんで乗る乗り物であったり、地域住民のコミュニケーションの場であったりと土地によって様々な役割があり、それぞれ異なる問題を抱えているということが言えます。そこでまずは、それぞれの土地において公共交通が担うべき役割を見極め、目標を定めた上で問題解決を図っていくことが重要であるという結論が出ました。(東京大学・渡辺)

【環境モデル都市のモビリティ班】
歩くこと、セグウェイ、LRTなど多くの人が楽しめる交通手段を提供することがこれからの都市空間には必要ということがメンバーの共通した意識であり、そのなかで、空間の密度・速度をマネジメントすること、またこんなモビリティがあったらいいなぁと話すだけでなく、協働性や利益を考えた実現のためのガイドラインが、これからは必要になっていくであろうということでした。後半には、何のために動くのかというテーマで議論を行いました。(東京大学・浦田)

【自動車チーム】
クルマを生産する社会から、クルマを資産として利用して行く社会にシフトして行くことが求められる中で、主に自動車会社の立場からどのような施策が必要かというテーマで話し合いました。また異なる主体間での合意形成がはかれるようなプラットフォームづくりが必要であるとの意見も出ました。(東京大学・松村)

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くるまto自転車de風景散歩

黄金町バザール散歩

黄金町の様子違法な特殊飲食店が軒を連ねている地域にてアートイベントを行われています。ご存知でしょうか。2008年9月11日から横浜市黄金町(こがねちょう)にて行われている「黄金町バザール」もそんな試みのひとつです。2008年9月13日、第1回モビリティデザインヨコハマ会議が行われる前に9みなとみらいから西に向かって歩くこと約20分。日の出町の駅前にあるガードをくぐったあたりから、街の様子の変化に気づきます。黄金町バザールでは川沿いにあるガード下や元風俗営業店だった空間を利用し、カフェやギャラリーを展開していました。大岡川沿岸では水面近くまで階段で降り、ボートに乗ることも出来ます。

みなとみらいのクリーンなイメージに比べ、通りの北側の地域はごみごみとしたダウンタウン、といった表現があてはまるかもしれません。この地域の形成の歴史に着目してみますと、現在の横浜中心部は吉田新田という埋め立て地で、これが出来る前は、横浜村(今の本牧辺り)より北部側は広い浅瀬の海でした。黄金町はその北東部に位置する湊で、ヒト、モノの流れが通過する拠点でした。古くから人々が集まって職にありつこうとした地域が、戦災や天災による被害を免れて残った地域において、このような風俗文化が共通してみられるように思います。そういった意味では、とてもプリミティブな形で都市化が起こった場所、空間的な性質上必然的に都市化した場所ということで 、黄金町の持つポテンシャルは大きいと言えるでしょう。今回は人数制限の為にボートにのることは出来ませんでしたが、大岡川を下りながらみなとみらいの街へと向かう舟からの眺めはきっとそんな黄金町の地理的オモシロさを私たちに教えてくれるはずです。(東京大学・松村)

しまなみ風景散歩

しまなみシーカヤックこの夏の学校そのものはごく短い間の開校ですが、皆さんの活動、あるいはそれがもたらす記憶が少しずつ波止浜に蓄積していくことで、やがて風景として立体的に立ち上がっていく、そんな可能性を感じ取れたように思います。また、ひたひたと岸壁に寄せる波、潮流の速さ、造船所から漂う鉄が焼ける匂いは、海とともに生きる日常をまざまざと感じさせ、翻って、港町を標榜しながらもその機能は外延化し、まちの中では海の存在が希薄な横浜の風景を考える機会を与えてくれました。波止浜と違い、かつて港だったという記憶をまちのアイデンティティとして漸うつなぎとめている横浜で、今後起こりうる風景の変遷に対して何が出来るのか…目の当たりにする波止浜の風景が私のフィールドである横浜を相対化する、そうした体験も「移動」がもたらす「まなざし」の一つの機能なのかもしれません。(横浜市・黒田)

風景づくり夏の学校 2008のウェブサイトはこちら。

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