講義の概要


  災害が起こったあとには物理的な空間の再建や再生が求められる。しかし必ずしも適切な方法論が構築されているわけではない。 「復興災害」という状況する生まれている。防災や事後を想定した事前復興も含めて、郷土のある研究が求められている。特に実践に基づいた個別の事例ごとの知見は蓄積しつつあるものの、それらを学問体系として整理する必要があると考えている。 そのような問題意識のもと、復興デザイン研究体では「復興デザイン学」を開講している。 2016年度の構成は、首都直下地震を対象に加えている。また多面的な分野から復興デザインを考える講義を用意している。




講義の記録

ARCHIVES


ガイダンス:2016年4月11日 April 11th, 2016

「東日本大震災からの復興まちづくり」竹之内優(国土交通省)
「首都直下地震の被害像と復興デザインのポイント」廣井悠(東京大学)

要約 SUMMARY
「東日本大震災からの復興まちづくり」
東日本大震災からの復興の過程について、情報収集と整理を行っている。発災後、復興まちづくりの取り組みの流れを振り返ると、発災直後は「安全な街」をつくることへの住民からの要望が強く、高い防潮堤の整備や、全額国費で負担する復興交付金などによる事業が進められた。このことについては反省点もあり、次の災害の教訓としていく必要がある。一方、防災集団移転事業、区画整理事業、津波復興拠点整備事業など多様なスキームが用意されたことで、各自治体の事情に合った事業を実施できるといった点で評価できる。

「首都直下地震の被害像と復興デザインのポイント」
首都直下地震は、東日本大震災と比較して被害予測が難しいという特徴を持つ。また、単に人命の問題だけでなく、首都機能、行政機能、経済被害なども発生し得る。また、住まいの再建を考えると、首都圏で応急仮設住宅やみなし仮設住宅を十分に確保することは困難である。疎開も視野に入れた計画が必要となってくるだろう。首都災害の歴史を見ると、災害復興を経て都市は大きく作り変えられてきた。来る首都直下地震からの復興においても、今後首都がどうあるべきかといったビジョンを描く想像性が計画者に求められる。

      

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第2回:2016年4月18日 April 18th, 2016

「協働復興模擬訓練から事前復興へ―新宿区での取り組み」佐藤滋(早稲田大学)

要約 SUMMARY
現在の都の復興計画において、被災した人々は協議会を作り復興を進めていく。そのために「地域力」というものも極めて重要だとされているが被災した後から動くのは遅いのではないだろうか。阪神淡路大震災の時、復興が早かった地域は事前にまちづくり協議会などの団体を作り、復興を進めるにあたり必要となるような共同建て替えなどを進めていた地域だった。首都直下に備えるには、こうした小さな単位で事前に復興しやすいような体制が進められるような土壌を作り、各々の活動を統合的にマネジメントするような立場を専門家が担っていくことが求められていくだろう。

      

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第3回:2016年5月16日 May 16th, 2016

「これまでの復興とこれから」室崎益輝(兵庫県立大学防災教育研究センター)

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第4回:2016年5月23日 May 23rd, 2016

「復興デザインと地域看護」永田智子(東京大学)

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講義資料 DETAIL

      


第5回:2016年5月30日 May 30th, 2016

「復興デザインと地震防災工学-今後の地震・津波災害対策のあり方」目黒公郎(東京大学)

講義資料を希望される方は以下までご連絡ください。
imoto@arch.t.u-tokyo.ac.jp


第6回:2016年6月6日 June 6th, 2016

「首都直下地震に備える事前復興」中林一樹(明治大学)

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講義資料 DETAIL

      


第7回:2016年6月13日 June 13rd, 2016

「持ち場の希望学」中村尚史(東京大学)

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