次世代が描く地域復興:中高生による復興・事前復興の取り組み


愛媛県立南宇和高校

コメント 国土交通省 菊池 雅彦様

発表にあった「自分の命は自分で守る、自分は必ず避難する」ことを家族で話し合うことは非常に大切です。 津波てんでんこという言葉は、実際にはとても難しい。お父さんやお母さんは自分の子どもがどうしても気になってしまう。 家族の中で、個人個人が自分のことだけを考えて避難するには家族への強い信頼感が必要なので、「私は絶対に避難するから、お父さんお母さんも必ず自分のことだけ考えて避難して」と普段から伝えておくことが大事です。
 「戻ってきたい、戻りたい街にする」という言葉も被災地の視察から得た重要な気づきだった。 災害が起こると少子高齢化が一気に進む。 災害が起こった後に、多くの大人は愛南町でもう一度借金して生業を再生するか、廃業して子どもの住む松山や大洲に出ていくかの判断を迫られる。 そのときに、どうやったら戻ってきてもらえるかを事前にしっかり考えておかないと、一気に人口が流出してしまう。 東日本大震災でも、事情があって地元から出ていく多くの人を見たから、ぜひそのことを地域で考えていってほしいと思いました。


浪江町立なみえ創成中学校

コメント 福島大学 鈴木 敦己様

まず、地域でそこに住む中学生が活動されていることに価値があると感じました。 どうしても研究者は、地域を外から見ることが多くなってしまいますが、現に今地域に住んでいる生活者である中学生の皆さんが、内側から学び考えることで、より地域に根ざした知見や将来像が見えてくると思います。
 また地域を学ぶ上で、そこに暮らす人に注目されてることにも強く共感しました。 震災を知らない世代に何を伝えていくべきか、という課題の難しい点の1つは、伝えるべき教訓が決して1つではないということだと思います。 その点で、教科書などの資料だけではなく、実際に1人1人のお話を伺うことはとても重要です。 是非これからも多くの方からお話を伺い、それぞれの思いを受け取って欲しいと思います。 もしかしたら、あなたも明日あるいは数年後に災害被害者になるかもしれません。 その時自分ならどう行動できるか、1番のお手本となる地域の方々にお話を聞きながら、是非自分自身についても考えるきっかけとしてもらえればと思います。 これからも学びを深めていかれることを期待しています。


愛媛県立宇和島東高校

コメント 日本工営 小関 玲奈様

東北の視察に行かれたということで私も共感するところが多かったです。 私は山形出身で中学校1年生の時に震災がありましたが、その時は同じ東北で近いけど自分にできることはないなと思っていました。 その後、大学1年生になった2016年に初めて三陸に大学のプログラムで行き、皆さんと同じように陸前高田で語り部の方のお話を聞きました。 その時はまだ嵩上げの工事中で、復興ってこんなに長く続いてて、まだ自分にもできることがあるんじゃか、何かやりたいなという気持ちになったのをすごく思い出しました。 皆さんが東北で現地で感じた直感、新鮮な感情、考えたことと、疑問に思ったことをこれからも持ち続けて、今度は自分たちの街で災害が起こった時に、皆さんが住み続けたい街を考えて欲しいと思いました。 また、コンクリートの研究もすごく先進的だと思いました。 地元の貝殻を使うコンセプト自体の価値が高いので、どういう建物だったり構造物に使っていきたいかについてもこれから考えていくと面白いと思いました。 私も皆さんも実際に被災したわけでもないし、あの復興に関わったわけでもないですけど、やっぱり現地に行くことですごく実感として当事者意識みたいなものが持てるようになったのかなと思いました。 その気持ちをどんどん伝えていって欲しいなと思いました。これからも頑張ってください。


静岡県立浜松工業高校

コメント 東京都立大学 益子 智之様

発表の内容も構成も素晴らしかったです。 図面もパースもダイヤグラムも書いて、レイヤ分析、アンケート調査も行った。 いろんな調査の方法と建築を表現する手法をうまくかけ合わせたプレゼンテーションでとても素晴らしかったです。 建築の内部に縦方向にドマ空間を挿入をして、商店街という細長いドマの空間と、複数の軸線が交わるような提案でした。 建築内部から商店街に直行する形ではなく、少し軸線をずらしていて、軸線をずらした先には新たに計画している防災広場を計画されていました。 1つの敷地内の中に完結するのではなくて、通りの反対方向の敷地まで含めて面的な商店街の中で交流と経済の循環を生むような素晴らしいプランだったと思います。 このプランだと建物の中しか使用することが考えていないが、もし災害発生後3日目以降に商店街の通りをどのように使えるかについて、もし皆さんで話し合ったことがあれば教えていただきたいです。 また、経済のダイアグラムを書いてくれたが、平時の商店街の方々の賃金を上げることによって、新しい人が商店街の中に入ってくるのではないかということを感じさせるダイアグラムで驚きました。 継続的にこのような建築提案を地元の商店街の方と共有できる機会があれば、より良くなると思います。 今後の活動も楽しみにしています。


愛媛県立八幡浜高校 文化財保護チーム

コメント アジア航測 牧 澄枝様

高校生ができること、というテーマで、心の復興・デジタル支援・情報発信に着目し、それらを八幡浜サービスエリアの設置と心のミュージアムにより実現する提案でした。 八幡浜サービスエリアについては、災害時も平常時も使えることや、収益についても考慮するなど持続性についても考えられていて、非常に素晴らしかったです。 またボランティア講習会に参加されたり、熊本城の復興視察にも行かれたりしていて、実際に様々な体験をされたということが、提案の根拠となっていて、素晴らしい活動だと思いました。 テーマに挙げられていた、心の復興という言葉に皆さんの優しさを感じます。 熊本市民にとっての熊本城のように、今までずっと残してきているものと、今後作っていくものが融合して、新たな心のよりどころとして残していければいいと思います。
 私からの提案が1つあります。 発表の中で文化財のデジタル化に触れていましたが、これに加えて、今の八幡浜の町をアーカイブして残すことができないかと思いました。 この大会の初日に関東大震災の被害状況を追体験しながら、災間をいかに伝えるか、当時の経験を事前復興にいかに活かせるかについて、現地ツアーを行いました。 関東大震災は、100年前ということもあり、ツアーの準備の際に、資料が分散しており、現在の場所と過去の資料を位置づけることに非常に苦労しました。 もし現在の街と、将来経験するかもしれない災害時の街と、復興した街の記録を残すことができれば、災害を経て復興するまでの街の記録は、次の世代が事前復興を考えていく際の根拠になるのではないかと考えました。 これを行政がやるのは難しいと思いますし、私たち企業がやろうとするとま膨大な費用がかかるので、学生の皆さんを中心としたボランティアで地元の取り組みとして記録を残す取り組みをできればいいなと思いました。


愛媛県立八幡浜高校 ハザードマップ班

コメント 復建調査設計 板村 祐汰様

八幡浜市で、南海トラフで想定される津波被害に対して、高台である愛宕山へ車で迅速かつ円滑な避難ができるように、避難地と避難路の基本設計を行っております。 避難経路の危険性の評価について、避難経路の安全性を細かく評価するアイデアが非常に興味深いと思いました。 私たちも、業務において交通シュミレーションを実施しております。 交通シミュレーションとは、ある一定の場所から避難先まで、渋滞などの交通状況を設定して、目的地までに何分で到達するかなど科学的に分析を行うことです。 愛宕山プロジェクトの交通シミュレーションでは、ある道を通行不可としたり速度を落としたりすることで混雑区間を表現していますが、提案にあった通行を控えた方が良いと考えられる道は、私たちの交通シミュレーションに反映すべき点があると思いました。 次のステップとして、八幡浜の地で育った皆さんに避難経路について意見をいただきながら、それを交通シミュレーションに踏襲することでより安全側で避難検討を進めることができると思います。 その際に、定量的な分析により避難経路が作成されていたら、より安全な避難を実現させることが可能だと思います。 また、避難路・避難地が完成するには年月を要するので、その間は避難ルールを決めてソフト対策で補いながら、それを地域の皆様とワークショップを通して共有していくことが今後考えられると思います。
 2つ目に、皆さんも危惧されていた夜の避難、想定の難しい事象についての考え方は、私たちも難航しています。 避難経路の問題点としてあげられている、発災時は住民以外の人・車があることや、発災の時間帯などあらゆる災害シナリオに対応できる避難準備は、難しいと思っています。 そこで、まずは最悪のシナリオを想定した準備から始めて、その準備が整ってから様々な災害シナリオを作成して準備のあり方を考えるのがいいと思います。 最後に、若者の避難訓練への参加率が低いというコメントがありましたが、自分ごと化してもらうのは難しいことだと私も実感してます。 ただ設計技術者の立場からは、どれだけ科学的な根拠を持った検討に基づく成果を作成しても、避難する方々が適切な行動に移さないと想定の結果に至らないと思っています。 皆さんが防災地理部としての活動を行うことで、より多くの方々に関心を持っていただき、住民の防災に対する意識が向上すると思います。 今後もより一層の勢力的な活動を期待しております。


大阪教育大学附属高校天王寺校舎

コメント 東京大学 渡邉 萌様

私自身、実は熊本地震で被災してるので。その経験を元に一被災者として発表を聞いていました。 非常に、当時の状況に沿った提案だと思いました。 発表の前半で、飲料水の備蓄、食料の備蓄の話がありましたが、熊本地震の当時何が困ったかを思い出してみた時に、水が足りなかったんですよね。 水から真っ先になくなっていくわけです。 コーラやイチゴミルクなど甘い飲み物はたくさんありましたが、僕はあまり甘いものが好きじゃないから、こんなのが残ってもなと思ったり、コンビニに行っても お酒が残ってるわけですよね。 でもお酒もあんまり好きじゃないし、当時は水を探し求めて、それこそ自動販売機を回った記憶があるんですよね。 なので、水が多くストックしてあると、絶対に災害が起こった時に非常に役立つだろうと当時思ったんですけど、それをうまくアイデアとして綺麗に形にしてくれたってのがまずとても嬉しいです。
 2つ目に、先ほど僕が自動販売機を回ったと言いましたが、水を探して点々とするのは、もったいないわけです。 被災者の行動として、みんな自転車でぐるぐる自動販売機を回って、非常に時間も無駄にしたなと思いますが、QRコードを読み込んで、防災情報にアクセスできれば、ただ単に水を探し求める行為が意味のあるものになると思いました。 加えて、今の時代SNSに情報が溢れ返ってる中で、正しい情報にアクセスできない問題がありますよね。 その中で、災害後デマや間違った情報が流れて、一被災者として、すごく困った経験があるんですよね。 なので、QRコードを読み込んで正しい情報にアクセスできるアイディアは、非常に素晴らしいと思いました。 是非こういうのが実現できるように、一緒に企業に働かけていけたらなと思います。

<