研究室TOP講座2019理論談話会2019

概要

B4,M1を中心に,都市・交通理論に関する研究論文を精読し,輪講形式で発表,議論をおこないました.

場所:工学部1号館347号室

日程


番号発表者内容論文著者
第1回
4/19
1-1出原 都市経済モデルFujita, M., & Ogawa, H. (1982).
1-2石井 Route choice with observation (DDR) Bierlaire, M., & Frejinger, E. (2008).
第2回
4/25
2-1 飯塚 グローブスメカニズムGroves, T. (1973).
2-2 須賀 マルコフ配分モデル佐佐木綱(1965)
第3回
5/10
3-1 熊野 Simplitial decompositionLawphongpanich, S., & Hearn, D. W. (1984).
3-2 小関 都市間資源配分モデルFajgelbaum, P. D., & Schaal, E. (2017).
第4回
5/16
4-1 渡邉 アクティビティモデルRecker, W. W., McNally, M. G., & Root, G. S. (1986).
4-2 米澤 包絡分析法と確率フロンティア分析Cullinane, K., Wang, T. F., Song, D. W., & Ji, P. (2006).
第5回
5/16
5-1 石井 Recursive Logit modelFosgerau, M., Frejinger, E., & Karlstrom, A. (2013).
5-2 出原 モンテカルロ木探索松原仁,美添一樹, 山下宏(2012)
第6回
5/31
6 飯塚 RL-based activity modelZimmermann, M., Vastberg, O. B., Frejinger, E., & Karlstrom, A. (2018).
第7回
6/4
7 米澤 ロードプライシングMaruyama, T., & Sumalee, A. (2007).
第8回
6/7
8-1 出原 混雑理論と交通課金Vickrey, W. S. (1969).
8-2 高谷 network-GEVDaly, A., & Bierlaire, M. (2006).
第9回
6/11
9 渡邉 カーシェアリングにおける利用権取引制度Hara, Y., Hato, E.(2018)
第10回
6/14
10-1 熊野 EMアルゴリズムBhat, C. R. (1997).
10-2 小関 都市形態学Antrop,M. (2004).
第11回
6/18
11 出原 供給者-利用者多段階モデルMa, X., & Lo, H. K. (2013).
第12回
6/25
12 米澤 OD推定Bierlaire, M., & Toint, P. L. (1995).
第13回
6/28
13-1 飯塚 転移学習Daume III, Hal.(2009)
13-2 須賀 多目的最適化に基づくネットワークデザイン大山雄己, 羽藤英二(2017).
第14回
6/30
14-1 石井 ZDD湊真一(2015).
14-2 米澤 MDCEVモデルBhat, C. R. (2005).

発表

実施済みの回について,発表概要と資料・議事録をまとめています.

1-1:都市経済モデル

Multiple equilibria and structural transition of non-monocentric urban configurations. Regional science and urban economics.

従来,CBDのような単独の中心を与え,労働者と居住者の分布を明示的に記述していた都市経済モデルについて,本論文ではこれらを内生化する土地利用モデルを構築し,一極型/分散多核型など,様々な都市構造形成のメカニズムを解析した.

Fujita, M., & Ogawa, H. (1982). Multiple equilibria and structural transition of non-monocentric urban configurations. Regional science and urban economics, 12(2), 161-196.

発表資料
議事録

1-2:Route choice with observation (DDR)

Route choice modeling with network-free data.

GPSやアンケートデータなど,ネットワークに紐づいていない位置データを,マップマッチングといったネットワークに紐づける操作を行わずに,経路選択モデルを推定することが可能な枠組みを提示した論文.通常ネットワークに紐づける際,観測誤差に関する情報は切り捨てられてしまうが,本論文が提示するDDRという枠組みは,観測誤差に関する情報も推定のフェーズまで残したまま,推定を行うことができる.

Bierlaire, M., & Frejinger, E. (2008). Route choice modeling with network-free data. Transportation Research Part C: Emerging Technologies, 16(2), 187-198.

発表資料
議事録

2-1:グローブスメカニズム

Incentives in teams.

ペイオフなどの情報が不明な不完全情報下において,組織に所属する個人が個別に持つ目的関数を最適化しようと行動することで,組織の目的関数が自然に最適化されるようなインセンティブ構造を与えるグローブスメカニズムの提案を行った.
Groves, T. (1973). Incentives in teams. Econometrica, 41(4), 617-631.


発表資料
議事録

2-2:マルコフ配分モデル

吸収マルコフ過程による交通量配分理論.

大都市の交通流を吸収マルコフ連鎖と考え、各交差点間に1個ずつ発生源・吸収源を置いて交通量を求める。遷移確率行列を考え、各ゾーンでの発生・吸収交通量が等しい、各発生源から任意の吸収源の交通量がOD交通量を満たす、の2条件を満たせすように立式すると、交通量を求められる。全体を一つのマルコフ連鎖とみる考え方では各ODに最短経路に配分する考え方と対照的で、可能な最長経路まで残らず配分されるため、交通量が非常に多ければ全体を一つのマルコフ連鎖と考えられる。逆行列を求める計算が煩雑であり、大きなゾーンや主要交差点を取り上げて実際に適用するのが実用的である。
佐佐木綱:吸収マルコフ過程による交通量配分理論, 土木学会論文集, No. 121, pp. 28-32, 1965.


発表資料
議事録

3-1:Simplitial decomposition

Simplical decomposition of the asymmetric traffic assignment problem.

交通量配分問題の変分不等式計算のために,確率的利用者均衡配分の解法の一つであるSimplicial Decompositionアルゴリズムを提唱した.これは,条件つき凸最適化問題を反復的一次最適化によって解いていくFrank-Wolfe法を非対称な問題に一般化したものである.Simplicial Decompositionのアルゴリズムを紹介したのち,その収束性を証明した.従来の方法と比較して,ネットワークの複雑さにかかわらずSimplicial Decompositionの方が短い時間で最適解を得られることを示した.

Lawphongpanich, S., & Hearn, D. W. (1984). Simplical decomposition of the asymmetric traffic assignment problem. Transportation Research Part B: Methodological, 18(2), 123-133.

発表資料
議事録

3-2:都市間資源配分モデル

Optimal transport networks in spatial equilibrium.

現実のインフラ投資は地域間の軋轢や利権にも左右され,最適でない交通ネットワークが築かれ,貿易や発展を阻害することもある.社会基盤投資の地域的配分と全体の利得とを最適化するフレームワークを構築するため,新古典派経済学を空間的に展開し,輸送による混雑を考慮した最適輸送問題を解く.輸送コストが輸送量(混雑)とインフラ投資の大小とによって内省的に決定され,経路選択に反映される点,また,交通ネットワークへの投資問題,需給問題,輸送のフロー問題を同時に解く点が,本論文におけるモデルの特徴である.

Fajgelbaum, P. D., & Schaal, E. (2017). Optimal transport networks in spatial equilibrium (No. w23200). National Bureau of Economic Research.

発表資料
議事録

4-1:アクティビティモデル

A model of complex travel behavior.

アクティビティモデルを導入し,その実装例としてSTARCHILDモデルを提示している. 四段階推定法に代表されるような従前のトリップベースの需要予測手法に対して,アクティビティモデルでは,移動は活動の派生需要であると捉え,アクティビティを明示的に扱う.すなわち,移動を生じさせるアクティビティについて,様々な時間的,空間的,家庭的制約の中で,いつ,どのアクティビティをどの順番で行うかを予測する理論を構築している.

Recker, W. W., McNally?, M. G., & Root, G. S. (1986). A model of complex travel behavior: Part I—Theoretical development, Part II—An operational model. Transportation Research Part A: General, 20(4), 307-318, 319-330.

発表資料
議事録

4-2:包絡分析法と確率フロンティア分析

The technical efficiency of container ports: Comparing data envelopment analysis and stochastic frontier analysis.

本論文では様々な指標がある生産性を総合的に評価する方法としてDEAとSFAを紹介している.コンテナ港の効率性を題材として生産性に関して,包絡分析法(DEA)と確率フロンティア分析(SFA)の2種類の方法で分析を行っている.これらの方法では,Decision Making Unit(DMU)ごとに効率性を比較することができるため,相対的に効率性のよいものを示すことができ,政策の意思決定が定量的に可能となる.

Cullinane, K., Wang, T. F., Song, D. W., & Ji, P. (2006). The technical efficiency of container ports: Comparing data envelopment analysis and stochastic frontier analysis. Transportation Research Part A: Policy and Practice, 40(4), 354-374.

発表資料
議事録

5-1:Recursive Logit model

A link based network route choice model with unrestricted choice set.

従来のMNLやNLといった経路選択モデルとは異なり,経路の選択肢集合を列挙することなく,経路の選択確率を求めることができる逐次的離散選択モデルを提案した論文.選択者は,次に進むリンクをマルコフ性を持つ確率的な過程で選んでいき,結果的に経路の選択が行われる.現状態から次の時点での状態へ移行する際,次の時点への状態へ移行することに関する効用と,次の時点から目的地へ到着するまでに得ることのできる期待効用の両者を考えるという仮定の下,価値関数が設定されている.

Fosgerau, M., Frejinger, E., & Karlstrom, A. (2013). A link based network route choice model with unrestricted choice set. Transportation Research Part B: Methodological, 56, 70-80.

発表資料
議事録

5-2:モンテカルロ木探索

コンピュータ囲碁 モンテカルロ法の理論と実践.

2000年代後半にかけてコンピュータ囲碁の大幅な強化をもたらしたモンテカルロ木探索アルゴリズムについて述べている.原始モンテカルロ法と木探索を組み合わせたモンテカルロ木探索では,ランダムな手を互いに実行するプレイアウトにおいて,機械学習などで用いられる多腕バンディット問題の解法アルゴリズムであるUCB1アルゴリズムを用いることで,効率的に“良い手”を選び出している点に大きな特徴がある.

松原仁,美添一樹, 山下宏: コンピュータ囲碁 モンテカルロ法の理論と実践, 共立出版, 2012.

発表資料
議事録

6:RL-based activity model

Capturing correlation with a mixed recursive logit model for activity-travel scheduling.

時空間NW上の経路選択としてactivity-travel schedulingを記述する際,activity, location, timing, transportation modeの選択を統一的に表現するには,multi-state networkを用いるのが良い.その際,経路の選択肢集合が膨大になってしまうため,選択肢集合を必要としない経路選択モデルとしてRLモデルの適用を考える.本研究では,経路相関を考慮するため,mixed recursive logit modelを提案している.RLモデルの推定には膨大な時間を要するが,本研究ではこれを,選択肢サンプリングによる推定で解決している.

Capturing correlation with a mixed recursive logit model for activity-travel scheduling. Transportation Research Part C: Emerging Technologies, 93, 273-291.

発表資料
議事録

7:ロードプライシング

Efficiency and equity comparison of cordon-and area-based road pricing schemes using a trip-chain equilibrium model.

ロードプライシングに関して,コードン型・エリア型の2種類に対して社会福利・公平さの観点で比較している. 均衡ベースのモデルを用いることで,単純には比較できないコードン型・エリア型を比較している点が本論文のポイントである.適用した結果,エリア型のほうがコードン型よりも社会福利の向上がおおきく,不公平性も大きくなっており,長距離移動に対して選好があることが示された.

Maruyama, T., & Sumalee, A. (2007). Efficiency and equity comparison of cordon-and area-based road pricing schemes using a trip-chain equilibrium model. Transportation Research Part A: Policy and Practice, 41(7), 655-671.

発表資料
議事録

8-1:混雑理論と交通課金

Congestion theory and transport investment.

本論文では混雑(congestion)のメカニズムを定式化し,混雑への対処として容量拡幅などのハード的な施策から,経路課金施策などのソフト的な施策による対応策を検討し,評価を行った.適切な混雑課金を行うことで,ドライバーの出発時刻選択を変化させ,ボトルネックにおける混雑が解消されることが示された.

Vickrey, W. S. (1969). Congestion theory and transport investment. The American Economic Review, 59(2), 251-260.

発表資料
議事録

8-2:network-GEV

A general and operational representation of generalised extreme value models.

MNLやNL,CNLなどの離散選択ロジットモデルの一般形たるGEVモデルは、解析的に簡明なclosed-formであるため計算・推定が容易で応用に幅が利く反面、関数の仮定が難解であるためGEVモデルを利用した選択肢の相関を考慮したモデルの構築が困難であった。本論文では、GEVモデルの核であり、各選択肢の合成効用を表す「G関数」を一定の規則のもと帰納的に生成可能であることを数学的な定理として厳密に証明した。また、選択肢同士の誤差相関をネットワーク構造と対応させ、その「GEVネットワーク」上で末端から順にG関数を定義することで、GEVモデルの構築を簡単に行う方法を提案した。

Daly, A., & Bierlaire, M. (2006). A general and operational representation of generalised extreme value models. Transportation Research Part B: Methodological, 40(4), 285-305.

発表資料
議事録

9:カーシェアリングにおける利用権取引制度

A car sharing auction with temporal-spatial OD connection conditions.

カーシェアリングにおける利用権取引制度(オークション)を提案している.これにより,One-way型カーシェアリングにおいて問題となる,車両の需給の時空間的なミスマッチの解消を図っている. オークションにVCGメカニズムを援用することで,評価値の正直表明を促していること.また,オークションの勝者決定問題が組み合わせ最適化であり,NP困難であることに対して,LP緩和や切除平面法,分枝限定法などを利用して対応していること.これらの二点がポイントである. また,双対問題を考えることで,利用権への支払価格の意味を経済学的に解釈可能であるという点も興味深い.

Hara, Y., Hato, E.: A car sharing auction with temporal-spatial OD connection conditions, Transportation Research Part B, Vol. 117, pp. 723-739, 2018.

発表資料
議事録

10-1:EMアルゴリズム

An endogenous segmentation mode choice model with an application to intercity travel.

旅行モード選択モデルにおいてマーケティングの概念である内生セグメントの考え方を用いた.また,セグメンテーションモデルにはEM法と準ニュートン法の最大化アルゴリズムを組み合わせた推定方法を提案した.それらによって個人ごとのモードの好みの異質性と,モードのサービスレベルへの反応の異質性をMNLに組み込んだ.内生セグメンテーションモデルを実データに適用して考察し,都市間の交通渋滞緩和戦略の効果を評価する重要な方法論であると示した.

Bhat, C. R. (1997). An endogenous segmentation mode choice model with an application to intercity travel. Transportation science, 31(1), 34-48.

発表資料
議事録

10-2:都市形態学

Landscape change and the urbanization process in Europe.

ヨーロッパにおいて都市化は地方の農村部にまで浸透し,それに伴って伝統的で個性的なランドスケープが変化している.城壁によって明確に周囲と隔てられた中世ヨーロッパ都市は特権的な地位を与えられ,アクセシビリティと独自性によって都市のアイデンティティを保持していたが,人口増加,産業構造の変化と交通インフラの発展によって都市はスピルオーバーし,均質な空間が拡大しつつある.都市化には都市化,郊外化,反都市化,再都市化の4段階のフェーズがあり,それぞれ社会的変化と生活スタイルの変化によって移行してきた.アクセシビリティの悪いremote rural areaは放棄され,地方に固有の伝統的景観は細分化されているのが現状であるが,変化する景観の価値をどのように評価し,維持していくかが課題となっている.

Antrop,M. (2004). Landscape change and the urbanization process in Europe. Landscape and Urban Planning. 67(1–4), 9-26.

発表資料
議事録

11:供給者-利用者多段階モデル

On joint railway and housing development strategy.

本論文では付け値地代(bid-rent)理論に基づき,均衡条件制約付き数理計画問題(MPEC)として供給者-利用者の多段階モデルを記述し,鉄道+住宅供給の複合戦略のシナジーを明らかにした.鉄道開発と住宅開発を単独事業者が一体的に事業を行う場合において,鉄道サービス水準の改善はそのまま住宅収益の向上に結び付くため,事業者には鉄道サービスを向上させるインセンティブが自ずから働くということが示されている.

Ma, X., & Lo, H. K. (2013). On joint railway and housing development strategy. Transportation Resaerch Part B, Vol. 57, pp. 451-467.

発表資料
議事録

12:OD推定

An origin-destination matrix estimator that exploits structure.

ODの推定法として,従来のデータが持っている行列構造を考慮したモデルMatrix Estimation Using Structure Explicitly(MEUSE)モデルを提案している.事前OD表(全体が分かるが精度が低い)とトラフィック数(部分的な情報だが正確)によるモデルに,駐車場調査の結果を合わせることで,推定の精度を向上させることにつながっている.

Bierlaire, M., & Toint, P. L. (1995). Meuse: An origin-destination matrix estimator that exploits structure. Transportation Research Part B: Methodological, 29(1), 47-60.

発表資料
議事録

13-1:転移学習

Frustratingly easy domain adaptation.

転移学習の一種であるドメイン適応を,非常に簡単な実装で,従来の手法よりも良い性能を発揮する手法を提案した.本研究で提案した手法は,特徴空間を,ソースドメイン固有のもの,ターゲットドメイン固有のもの,両方に共通するものという3つの特徴に拡張し,通常の教師あり学習を行うというものである.

Daume III, Hal. "Frustratingly easy domain adaptation." arXiv preprint arXiv:0907.1815 (2009).

発表資料
議事録

13-2:多目的最適化に基づくネットワークデザイン

多目的最適化に基づく歩行者の活動ネットワークデザイン.

歩行者の活動を主眼に置いた外部空間デザインが都市政策上の関心を集めている.歩行者の回遊行動は高解像度な空間選択行動を基本とし,また時間配分的な性質を持つ.本研究では街路空間再配分政策を対象として取り上げ,歩行者活動への影響を明示的に考慮した政策決定問題,すなわち歩行者の活動ネットワークデザイン問題を提示する.需要サイドから回遊行動モデルの理論的展開は見られる一方,歩行者政策を扱う供給サイドの研究がこれまでに進んでいなかった.大山・羽藤(2016)の活動配分手法を需要モデルとして用いて,地区の総滞在時間あるいは期待効用を最大化させる歩道幅員拡幅街路の決定問題を考える.一方で投資額は可能な限り抑えたいという政策課題に対応するため,多目的最適化問題による定式化を行い,ネットワーク更新法を用いて求解する.これにより,投資額に応じた最適ネットワークのヴァリエーションを提示する.結果として,トレードオフの関係が明確に見てとれるパレート解の集合を得た.また,目的関数の選択に応じた街路の配置パタンが明らかとなり,商店街・百貨店・地区のエントリーポイント等の間の接続方策についての示唆を得た.

大山雄己, 羽藤英二, 多目的最適化に基づく歩行者の活動ネットワークデザイン, 都市計画論文集Vol. 52(3), pp. 810-817, 2017.

発表資料
議事録

14-1:ZDD

超高速グラフ列挙アルゴリズム.

論理関数をグラフ表現した二分決定木を省略や接点の共有を行うことにより,ネットワークを圧縮した表現方法.BDDとの違いはグラフの省略の際,1-枝が0-終端を指している場合に取り除くという点.作成の仕方にはトップダウン的方法とボトムアップ的方法がある,前者はフロンティア法呼ばれる.経路選択モデルの文脈では,各選択肢の効用を逐次用いる場合も多く,ZDDの形で保存しておくと,ネットワークが疎であることが多いこともあり,計算速度が大幅に早くなることが期待される.

湊真一編: 超高速グラフ列挙アルゴリズム, 森北出版, 2015. (1-4,7章)

発表資料
議事録

14-2:MDCEVモデル

A multiple discrete-continuous extreme value model: formulation and application to discretionary time-use decisions.

本論文は離散連続モデルを提唱したものである.人は活動を選ぶときに活動を選択する(離散)と同時に選んだ活動に費やす時間(連続)も決定していると考え,両者を考慮したMDCEVモデルとして定式化している.行動をアクティビティベースで選択し,時間を資源制約として考えている点がポイントである.

Bhat, C. R. (2005). A multiple discrete-continuous extreme value model: formulation and application to discretionary time-use decisions. Transportation Research Part B: Methodological, 39(8), 679-707.

発表資料
議事録