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第11回行動モデル夏の学校2012は、東京・文京区の東京大学本郷キャンパスにて、2012年10月26日(金)~10月28日(日)の3日間、講師8名、参加者74名、博士課程セッション講演者3名、TA1名によって行われました。以下にその内容をまとめます。

講義 Lectures

ガイダンス 羽藤英二(東京大)

まず、行動モデル研究者からネットワークモデル研究者までの夏の学校の講師陣が紹介され、交通分野と基礎物理・化学などの分野が融合的に関係をもともと持っているという背景があること、そして行動モデルの発展の中で、今回演習課題で扱うGPS携帯電話によるプローブパーソンデータが位置づけられることが述べられた。

The Future of Activity Model and Behavior Data, Harry Timmermans (Eindhoven University of Technology)

Slides

これまでの4段階推定法に対して、1970年代からアクティビティモデルの開発が発展してきている。4段階推定法では目的、目的地、手段、経路と4段階で独立したモデルとなっているのに対して、アクティビティモデルは複数の選択の相互依存を考慮し、制約の中での行動選択を高い解像度で統合的に表すことが可能なモデルである。行動理論をもとにした一貫性を持つ細かな表現ができることがアクティビティモデルの特徴である。講義では、アクティビティモデルの中で制約ベースモデル、離散選択モデル、計算機過程モデルのそれぞれの発展の経緯をたどり、現在進めているアイントホーフェン工科大でのソーシャルネットワークの時間遷移とその影響を考慮した動的相互作用を含むスケジューリングモデルが紹介された。技術的に新しいデータが得られつつある中で、そうしたデータを用いるためのモデリングや、不確実性や変動を考慮できるアクティビティモデルに関する理論についても議論された。

Impact of Model Uncertainty on Predicted Traffic Flow Volumes in Large-Scale Computational Multi-Agent Simulation Model of Activity-Travel Behavior: Case Study of Rotterdam, The Netherlands, Soora Rasouli (Eindhoven University of Technology)

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交通需要モデルについては従来,データ収集やモデル推定,シナリオ評価の書く局面において発展してきた.しかし依然としてデータの正確性や不十分性,仮定の妥当性,シナリオ予測のと現実との整合性といった点で課題が残る.本研究では,ロッテルダムの移動活動データを用いてモンテカルロによるサンプリングとアクティビティベースドモデルであるAlbatrossを用いた計算を複数回行い,得られた結果における傾向分析から不確実性の影響を分析する.その結果,車のスピードの不確実性が活動開始とその時間,活動参加に影響を与えることや,mandatoryな活動とflexibleな活動において異なる傾向が見られること等が明らかとなった.しかし,研究対象エリアにおける旅行時間の不確実性は,ひとつの幹線道路における条件を満たすものであり,全ての個人がこの不確実性に直面するわけではないといった課題もあり,今後は空間的なばらつきに関する分析や個人レベルでのスピードに関する不確実性の影響を明らかにすることが課題といえる.

Development of The auto human tracking method integrated the pedestrian behavioral model, Wataru Nakanishi (The University of Tokyo)

Slides

近年、駅改良事業などで構内の旅客流動の詳細把握が必要になるなど人物のミクロな挙動観測に対する関心が高まってきており、それに対する人物追跡技術も高まりを見せるものの、複雑なものは手動での計測にとどまっているものが多い。システムモデルと観測モデルを組み合わせた一般状態空間モデルを構築し、ベイズ型で計算することを試みた。これによって時系列過程を分布から分布への確率過程として操作できる。駅改札で起こる歩行者の挙動にこのモデルを適用したところ、方向転換・遮蔽・近接に対応するなど画像処理的観点ではかなりの適応度を見せており、人々の位置と速度、動線、改札の選択行動を把握できる。しかし、システムモデルにはRobin(2009)のモデルを用いて目的地志向のパラメータが有意に働いたが、実際にはビデオ観測の時点で個人の目的地を判断することは難しい。今後は観測とモデルの構造を比較しながら、システムモデルを向上させることで、追跡技術の正確性向上をはかっていく。

Travel-Activity Choice Set Generation within the Discrete-Continuous Extreme Value Models using Probe Person data, Sachiyo Fukuyama (The University of Tokyo)

Slides

中心市街地の活性化に対する有効な方策が求められる中、都市空間のリノベーションに注目が集まっているが、実際にその場所に人が訪れて利用するかどうかを考える上では場所と日常生活行動パターンとの関係を考える必要性がある。ここではactivity-based approachにより、目的地選択のモデルを構築した。日常生活の中での目的地として効果的で現実的な選択肢集合生成の方法を提案し、日常行動圏域の分析から滞在時間の長い場所の特性を探ることを目的とする。PPデータを用い、得られた位置座標をVirtual Networkによって経路としたあと、トラジェクトリーベースで分析を行う。多肢同時選択と時間配分を扱えるMDCEVを選択モデルとして適用し、松山都市圏における平日の会社から家までの間の立ち寄り行動を分析する。選択肢集合は経路全長に対する立ち寄り場所の分布位置について個人ごと、全モニタ、ランダムでサンプリングした3つの場合と経路を考慮しない場合の4パターンを比較した。距離やリンクコストを説明変数として推定した結果、経路を考慮しない場合のほうが良い結果になった。しかしその場合は結果が安定せず妥当なモデルとはいえない。論理的に整合性のあるモデルが構築できたが、今後モデルの精度を高める必要がある。

講義1 行動モデルの基礎理論と推定手法 羽藤英二(東京大)/ 佐々木邦明(山梨大)

Slides(羽藤先生)

都市の放射道路を走る自動車や鉄道などの速い交通から、舟運や歩行回遊などの遅い交通が最近のトピックになってきた。そのような背景を踏まえて行動モデルは今後の交通分析にどう適応できるのだろうか。行動モデルは人が行動することによって得られる効用について確定項と誤差項にわけ、その効用が最大になる選択肢を選ぶものとしている。この誤差項にガンベル分布を仮定することで手計算で導けるclosed formの選択確率が得られる。また確定項はいくつかの説明変数とそのパラメータによって表現されこれを推定することになる。重要となるのが説明変数に何をいれるかということ。自分が評価したい変数、政策変数として使えるものを逆算して入れることが必要。今後は道路から公園をつくることや、視 点場、座れるスペースをつくることなどが注目されているが、どういう政策をおこなえば促進できるかやそのための選択肢は何かを考えなければいけない。

Slides(佐々木先生)

離散選択モデルの母数、ランダム効用モデルの分散と期待値を求める。推定アルゴリズムとしては最尤推定法というのがある。データが得られたときにそのデータが得られる確率を掛け合わせて(尤度関数)、一番大きいときのパラメータと採用する手法である。山登りに例えるとその頂点を探すのに似ている。初期値を与え一次微分を利用して次の推定理の方向を決め最終的に収束基準を満たした時の値を採る。パラメータ推定がうまくいかないときは初期値の問題、変数に相関がある、そもそも推定不可能とか、プリグラムに誤りがあるなどの原因が考えられる。モデル構造は経験則や推定後の知識などにより修正する方法がある。観測変数をきちんと取ることが大事。ベイズ推定は事前分布とデータからパラメータ(事後分布)が更新されるので更新型データの推定に適している。

講義2 行動モデルの応用事例 山本俊行(名大)/ 中山晶一朗(金沢大)

Slides(山本先生)

本講義では,オーダードレスポンスモデル,頻度モデルが紹介された.オーダードレスポンスモデルとは,離散値として観測される非説明変数の裏に,連続的な潜在変数を想定したモデルであり,自動車の保有台数や交通事故の損傷度(軽傷,重症,死亡)などの事例に適用される.モデルの制約として,個別の観測変数値にのみ影響を与えるような説明変数を導入することが難しいという点がある.離散選択モデルを適用すればこの制約を考慮せずにすむが,序数性(観測変数間の大小関係)を表現することが難しい.序数性を保持するための対応として,閾値の構造化,観測変数値別のパラメータ設定,繰り返し二項選択モデルの適用などが紹介された.頻度モデルとは,オーダードレスポンスモデルと同様に連続的な潜在変数を仮定するモデルである.交通事故分析やアクティビティ分析において適用され,例としては各リンクの交通事故回数,一週間のトリップ頻度を対象とする.頻度の要因が複数事象に渡る場合に用いる多変量頻度モデルと,事象の相関を考慮した定式化について紹介された.

Paper(中山先生)

ネットワーク均衡分析の分野では,旅行時間関数設定,リンク交通量推定,OD交通量推定,といったパラメータ推定が非常に重要である.従来は,リンク交通量を利用し,最小二乗法を用いてこのようなパラメータ推定が行われてきたが,各リンク交通量の独立性を前提としているため,適切とはいえない.そこで,最尤推定法を用い,リンク間の相関を考慮したパラメータ推定手法について紹介された.最尤法には,一致性,漸近有効性,漸近正規性という優れた性質がある.リンク交通量の独立性については,相関がリンク間の距離により異なるという,平均距離減衰性を仮定し,そのもとで上記の性質を満たすかについて証明を行った.結果として,一致性,漸近有効性は満たすが,漸近正規性を満たすとは限らないことが示された.最尤推定法を用いる利点としては,統計学的に厳密である点,推定パラメータ,モデルの信頼性が分かる点,確率・統計理論を適用するのが容易という点などがあり,最尤法の有効性が紹介された.

講義3 ネットワーク上の行動モデルと観測理論 井料隆雅(神戸大)/ 円山琢也(熊本大)

Slides(井料先生)

利用者均衡配分(UE)のよい性質としては、均衡解が必ず存在すること、均衡解が唯一であること、均衡解が安定であることがあげられるが、交通量の非保存性、混雑の時間軸方向の外部性、利用者の出発時刻選択については動的な混雑モデルでないと表現できない。動的配分の基本的な枠組みは2つで、出発時刻を固定し経路のみ選択する場合と、出発時刻・経路ともに自由に選択する場合がある。出発時刻固定の場合、均衡解が存在することは明らかになっており、1起点1ボトルネック、1起点1終点のものに関しては均衡解の一意性が示されているが、最近では一意性への反例も発見されている。1起点多終点ネットワークの解放についてもいくつかの研究があるが、一般ネットワークで確実に解を出す解法は知られていない。出発時刻選択問題は、1経路1ボトルネックの場合、ボトルネック容量の各車両への配分問題という線形計画問題に置き換えられ、双対変数の解が遅れ時間になる。ボトルネックコストを渋滞でなく、混雑料金により回収する方策をとれば、均衡状態が最適状態となり、市場原理により最適状態を実現できる可能性がある。具体的な方策としては、道路の利用権を市場で取引させる方法がある。

Slides(円山先生)

4段階推定法に替わる需要予測手法として、ABMだけでなく需要統合型のネットワーク均衡配分も注目されている。ネットワーク均衡配分モデルは、需要サイドとネットワークサービスの相互作用を表せる。全てのドライバーが単純に最適な経路を選択するという仮定の下で、すべての経路の旅行時間が等しくなった状態を分析していく。利用者均衡配分(UE)はWardrop均衡を表現したもので、目的関数と制約条件を置くことで、非線形の連立方程式である元々の配分モデルを、数理的最適化問題として解くことができる。代表的な計算法としてFrank Wolfe法があげられるが、数百倍から数千倍近い速さで均衡解を算出できる最近の研究成果がある。また、講義では利用者均衡配分の応用として、利用者が最短経路以外も確率的に選択すると仮定した確率的利用者均衡配分(SUE)や、政策によるOD需要の変化を記述した需要変動型利用者均衡モデル等が紹介された。

 

演習 Group work

課題:プローブパーソンデータを用いた行動モデル推定

プローブパーソンデータ(ロケーションデータ、ウェブダイアリー)・土地利用データ・交通ネットワークデータを用いて、離散選択モデルをはじめとした行動モデルの構築と推定を、4~9人での班ごとに行い、成果を発表しました。

ここでは、各班の発表の概要と、講師の方々の質疑・コメントをまとめます。

Aチーム(熊本大) PPデータを用いて鉄道に着目した交通手段判定モデル

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概要: 熊本都市圏で実施中のスマホ調査で得られるプローブパーソンデータ(緯度、経度、時間)から判別函数で記述するモデルを作り、鉄道の利用判別モデルの提案を行った。パラメータは鉄道の事前選択確率(MNLモデルで算出)と速度差(鉄道の平均速度-10点間)とした。

 

感想: Rが初めての経験でモデルを回すことに時間がかかり、パラメータを試行錯誤しながら推定することができなかった。また、パワポの作成時間がとれず、上手く伝えるプレゼンができなかったことが反省点としてあります。しかし、先生方の質問やコメントは今後の研究のアイディアとして参考になった。

 

講師陣のコメント:

同一個人の判定モデルは,場所によって用いる交通手段が決まってしまうので,判定の識別が容易にできる.実際は,同じ場所で異なる手段が混ざっているときの判別モデルであるとよい(羽藤)

緯度経度だけでも,速度データを算出して,それを利用することで交通手段選択の判定が可能になると思う(羽藤)

佐々木先生の講義のように,ベイズ推定の手法を用いて,土地空間の情報を用いなくても,移動データの蓄積によって空間情報を入手する方法もあると思う(羽藤)

鉄道の手段判別で速度を用いると,駅周辺の速度低下の影響を受けてしまう.駅の位置の情報を用いると精度が向上すると思う.(福田)

土地情報を使わないのであれば,速度変化に着目して,駅周辺の加減速の情報を補完する方法があると思う.減速開始の説明変数を入れるなど.(山本)

Bチーム(神戸大) 乗り換え抵抗に着目して交通手段選択モデル

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概要: トリップ手段の選択について,前後のトリップ手段の「乗り換え抵抗」が手段選択に影響を及ぼしていることに着目し,効用関数に「前回と同じトリップ手段を選択」ダミーを導入してMNLにて推定を行った.結果,都市部より郊外部のほうがトリップ手段を変更する不効用が大きいと分かった.

 

感想: 行動モデルを扱った経験がなかったこともあり,ロジットモデルの基礎の勉強から始めました.人数が十分に居たのですが,作業の役割分担が徹底できておらず,連携が十分でなかったと思います.この夏の学校を通して,新たな知識が増えたことで学会でも発表を興味深く聞けるようになりました.

 

講師陣のコメント:

ひとつの目的が終わった後の交通手段の転換に着目している.ひとつのODでの乗り換え抵抗であれば,待ち時間などの影響が考えられるが,この場合は具体的にどのような要因が影響しているのか.(山本)

乗り換え抵抗の影響はモデルではっきりとでている.乗り換え抵抗に加えて,その次の交通手段の利用希望がその前の行動に影響を与えるという考え方もある(羽藤)

郊外は乗り換え抵抗が大きいので,ということはわかるが,政策的にはどうすべきなのか.例えば,抵抗が大きいことを踏まえて乗換えを進めるのか,無理だからあきらめるのか,それともできそうな地域(移動距離が短いなど)を絞って考えるのか(羽藤)

車の有無だけでなく,バスやその他の交通手段ごとに乗り換え抵抗を見ても面白いと思う(山本,羽藤)

Cチーム(芝浦工業大) 時間のばらつきを考慮した交通機関選択モデル

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講師陣のコメント:

サービスを想定した転換を政策評価にいれたほうがいい.(山本)

所要時間には平均所要時間を用いて,30日分の平均所要時間とその標準偏差としてやったほうがいい.(福田)

鉄道の標準偏差は定時と考え,説明変数として用いずにやったほうがよい(福田)

鉄道はやはり標準偏差はないので,鉄道選択のモデルには説明変数として加えなかったほうがいい.自動車と比べるのにも適していない(中山)

普段,自動車(鉄道)を使っていない人はその標準変化はわからないので,注意して使う必要がある(円山)

鉄道は移動時間が読めるから,出発時間の分布は小さいという基礎集計は面白い.このデータから,希望到着時刻を逆推定するようなこともできると思う(円山)

標準偏差は時間信頼性を示しており,それに敏感な人や移動目的が存在する.基礎集計や仮説は面白いので,個人属性等でセグメンテーションをうまくして,有意な結果ができたらよかった(羽藤)

day-to-dayのデータがあるので,標準偏差ではなく,前日の遅れの状況などを説明変数にしてもいい.(羽藤)

通勤だと,遅れ時間などを理解しており,標準偏差の影響が出づらいという研究もある(中山)

Dチーム(名古屋大) 朝の出勤時間帯に着目した交通手段選択モデル

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概要: 通勤時間帯の渋滞解消対策を目指し,ネスティッドロジットモデルの構築を試みたが結果が得られなかった.そこで,時間帯ダミーや駐車場面積を説明変数に入れロジットモデルを構築した.モデルから駐車場面積を小さくしたり,就業開始時間を遅らせると渋滞時の自動車利用者が減少するという結果を得た.

 

感想: 当初予定していたネスティッドロジットモデルが時間内に構築できず悔しい思いをした.しかし,グループで議論し合い一つのテーマに取り組むことはとても良い経験になった.また,他大学の発表から自分たちにはない考え方や発想を学ぶことができ勉強になった.

 

講師陣のコメント:

1時間は長いので,もう少し短い時間区切りにする,到着時刻選択にする等のアイディアがあると思う.サンプル数を考えて,時間の区切りの扱い方は難しい(井料)

事実と仮説のつながりから検討したのはよいが,どのようなモデル・説明変数が欲しかったのかよくわからない(円山)

6時台が自動車が多いのは,混雑だけではなく,公共交通の本数や頻度なども関係してくる.混雑がいやなだけでなく,混雑とはなんなのか(速度低下,所要時間の増大)をもっとつめて考えられれば良かった.(中山)

Eチーム(東京工業大1) 個人のライフパターンに着目した行動選択モデル

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講師陣のコメント:

平均日数は全体ではなく,個人の値を入れて比較したほうがいい.個人間によって間隔の違いがあるので,そこを考慮してほしい.個人のバイアスを除外するにはどうしたらいいかを考えてほしい(山本,羽藤)

頻度や周期に着目するのは面白い.手段の周期性もなにか特徴がありそう(中山)

目的別の間隔頻度の基礎集計は,色々な要因があり,重ねあっていると思う(円山)

同じ目的でも,場所によって日数間隔の周期性があるのではないか.(羽藤)

Fチーム(東京工業大2) 寄り道に着目した行動モデル

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講師陣のコメント:

休日外出時間,前日寄り道の説明変数がプラスということは,寄り道が多いのは個人属性によるということになってしまう(山本)

リア充の定義は休日外出時間となっているが,セグメンテーションに意味はあるのか.(円山)

リア充は様々なパラメータにより影響を受けており,政策に利用できると思う.非リア充は決定計数は高いが,男性ダミーしか効いていないので逆に使い道がない.(羽藤)

非リア充は給料ダミーはもうすこしで有意な変数となりそう.(山本)

Gチーム(金沢大) 距離帯別に評価した交通手段選択モデル

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講師陣のコメント:

しっかりとした手順で行っておりよい.距離帯が長くなるごとに時間価値が高くなっているのでよい(福田)

自動車の定数項が距離が長いほうが大きいのはなぜか.(中山)

各距離帯ですべての選択結果があったのかを確認したほうがいい.手段選択回数が少ない距離帯では,5肢選択から減らしたほうがいい(山本)

費用よりも所要時間を減らしたほうがよいという結果となっている.金沢での皮膚感覚(金沢大のバスでは距離が短くても費用に反応した)と違うと思うが,どう考えるか.個人属性(学生,社会人など)により,費用や時間の影響が異なる可能性がある(羽藤)

きっちりとした結果がでており,良いと思う(羽藤)

Hチーム(東京大) 空間的特性を考慮した回遊行動の動的分析

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概要: 都市での回遊性を高めるために場所同士のつながりを強くするには、つながりを分断しているものが何であるか知る必要がある。湾岸エリアで回遊を行う人がどのタイミングでトリップをやめるのかに注目し、動学的離散選択モデルを用いて分断の影響や回遊をやめることに対する態度の時間的変化を分析した。

 

感想: 先輩方に大きく助けてもらいながらではあるが、動学的離散選択モデルという難しい課題に取り組むことができたのは、非常に良い経験になった。他の班の発表は着眼点やモデルの考え方がどれも新鮮で、考え方は今後の自分の研究の中に取り込んでいけたらと思った。非常に濃密な3日間を過ごせたと思う。

 

講師陣のコメント:

逐次選択モデルと動学的選択モデルは同じという研究がある(Iryo, 2009)なので,簡単な逐次選択モデルでいい.(井料)

動学的選択モデルはトリップの目的地ではなく,次の目的地の価値関数はどのように決めているのか(中山)

動学的離散選択モデルは,割引率は同時に推定できるのか.割引因子が0.42なので,トリップの数が少ないのではないか.(福田)

トリップ単位ではなく,移動距離で回遊停止を判断するという考え方もあるのではないか(羽藤)

トリップを被説明変数とすることで,どのような政策変数となるのか.(羽藤)

やめるか行くかの判定であり,やめない人がどこに行くかはどのように設定しているのか.(山本)

やめるという選択肢の定数項がプラスであるが,回遊するほうがいいのか,しないほうがいいのかという判断材料になりうるのか(中山)

Iチーム(広島大) カーシェアリング需要曲線の検証分析

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講師陣のコメント:

上級財,下級財はCSサービスに加入していれば,CSを下級財としているのではないか.(中山)

CSの普及率が低く,CS不認知という個人もあり,サンプルの絞込みが難しく,分析は難しいが,面白い着眼であると思う.(井料)

費用を所得で割ったものが,高所得者は所得効果が有意,低所得者は有意でないので,仮説(上級財,下級財の所得効果)が正しいと読めるのではないか(円山)

Jチーム(混成1) 出勤時間制御による行動変容の検討

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概要: 通勤の交通手段選択層を対象として、鉄道転換の政策を分析した。データを詳細に分析し、出発時刻と平均出発時刻との差が大きくなる場合に車を利用すると仮説を立てた。出発時刻の偏差を説明変数としてシミュレーションした結果、出発時刻の偏差を小さくすることで、鉄道の選択確率が大きくなった。

 

感想: きちんとモデル推定が出来たときは感動しました。しかし、実感との整合性に疑問が残っています。政策と変数を再検討したかったのですが時間が足りませんでした。政策の観点から変数を考えること、行動の仮説を考えるプロセスについて深く考えたことが、大変勉強になりました。ありがとうございました。

 

講師陣のコメント:

出発時間のズレっていうのは普段と違う行動をとるときであり,違う行動をとるためにずれているのであり,ズレを抑えるというのは違うのではないか(山本,中山)

勤務形態のバラツキにより出発時間のバラツキが大きくなり,出発時間がばらついている場合は,より利用の自由度がある自動車が使われやすくなる.(羽藤)

NLモデルにより,スケールパラメータが有意になっており,よい(羽藤)

出発時刻により交通手段サービスが影響を受けている集計結果もあるので,セグメントわけや出発時刻のダミーをいれて,モデルを精巧にすることもできると思う.(羽藤)

Kチーム(混成2) 目的別交通手段選択の検討

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講師陣のコメント:

行動モデル分析の目的はなんだったのか.使えそうなデータや分析をもう少し見てから,狙いを絞ってやったほうがよかったかもしれない.(羽藤)

サンプル数が少ない(サイクリングn=1)のに結果が出ているのはなぜか(羽藤,山本)

 

表彰 Award

数理的にモデリングをつめられていたグループには、故・上田孝行先生にちなんだ香住賞が、行動分析によって興味深いfact findingを実現したグループには、故・北村隆一先生にちなんだDavis賞がそれぞれ贈られました。

香住賞:Hチーム(東京大) 空間的特性を考慮した回遊行動の動的分析

Davis賞:Eチーム(東京工業大1) 個人のライフパターンに着目した行動選択モデル

   

 

講評 Comment

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