2018基礎プロジェクトⅠ


駅班

文化の交点たりうる池袋駅を対象とし,地下1階の東西に地下広場を設け,そこから東西にスロープを伸ばすことを考えた.これにより,バリアフリー性を向上させながら,方向別に異なる性格を有する駅周辺のまちに向けて池袋駅を開き,更に地下広場に自動運転車を用いた非常設型の可変的なコンテンツを導入することで,人々が交わりながら新たな活動のきっかけとなることを図ると同時に,駅もまちの一部たりうることを示そうとした.

また,改札が撤廃されるという将来も考えながら,池袋駅の地下空間の柱・階段を既存の構造を生かしつつ再編することを考えた.空間設計に当たる現実的な問題(鉄道事業者同士のバランス,スロープの勾配規定など)への対処を考えるに当たっては,現況の模型・将来の模型を作成し,空間設計の提案を行った.

最終発表ポスター(駅班)

演習の流れ


駅まち班

「にぎわいが広がり、憩いがつなぐまち」をコンセプトに、街路の空間設計を中心とした提案を行った。駅から広がる人々の雑踏や多様な商業施設といった、ヒアリング調査や現地調査によって得られた池袋の魅力を残しつつ、駅―商業施設間の歩行者動線の課題を解決するため、南北方向の2つの街路に、行楽客や周辺に住む住人が落ち着いて過ごすことができる「憩い」の機能を付加するプランを、1/100模型を用いて提示した。一方の街路は狭い道幅を生かし、公道の私的利用を可能とするウッドデッキを取り入れた滞留空間として、もう一方の街路はセットバックや適切な街路樹の配置などを行うことで開放感を演出するとともに、歩道と車道の境界に可変性を持たせることで多様な利用形態を実現する空間として両者の役割を特徴付け、周期の短いまちの変化に対応し得る設計とした。

加えて、2つの街路をつなぐサンシャイン通りについても、既存の駅や商業施設との緩やかな接続を試みる設計を行った。さらに、2050年の池袋駅周辺の土地利用や交通モードについての議論を踏まえた上で立案したシェアサイクルのポートの配置計画も同時に盛り込み、遅い交通を活用した商業地と住宅地の接続についても言及した。

内容の詳細

最終発表ポスター(駅まち班)


交通班

「The Mobility」というコンセプトのもと,「様々な場で開かれる時間消費体験へ,誰でも自由に容易にアクセスできる」ことを目指した.

様々な分析から,地区が現在抱える課題として,交通空白地帯の発生,駅による東西の分断,駅まちにおける特定の街路への人の集中などが挙げられた.そこで,短期的な提案として「区西部の交通空白地帯におけるコミュニティバスの導入」・「池袋駅まちにおける歩行者空間の充実とLRTの導入」を提案し,現状の課題の解決を図った.

また,長期的に見ると,自動運転技術の進歩に伴い,将来発生しうる課題として,池袋駅まちへの車の集中が考えられた.こうした課題に対して,長期的な提案として,「既存の駐車場の再機能化」を提案した.

内容の詳細

最終発表ポスター(交通班)


コミュニティ西班

「歩くまち庭 〜広がりの商店街〜」というコンセプトのもと、自らのまちをよくしようと自発的に集まる「ながさきむら村会議」や、街路での自然な交流の核となっている商店街を東長崎の固有性・時代が変わっても守るべきものとして位置づけ、東長崎駅北側の空間設計とプログラム提案を行なった。

まず、商店街と相性の悪い自転車交通が多さや都市計画道路開設による商店街消滅の可能性といった課題を解決するため、歩道の塗装の統一化、駅の北口配置改善、フリンジ部への駐輪場配置によってエリア内での歩行空間の確保と速い交通との共存を目指した。また、レイヤー分析で立地の歴史的根拠が明らかになった現東急ストアやコの字型が特徴的な路地を活かし、地域課題に取り組むコミュニティが集う場、公私の境界となる中庭的な空間を提案した。最後に商店街の見守り的な機能をプログラムとして残していくため、子供の見守りと高齢者の生きがいを生み出す子ども食堂を空き地を利用して創出する提案を行なった。

内容の詳細

最終発表ポスター(コミュニティ西班)


コミュニティ東班

最終発表ポスター(コミュニティ東班)



2018応用プロジェクトⅠ


区役所

池袋の「うら」に存在する旧来の地域資源に着目し、2050年に向けて自動運転の普及を見据えた上で、地区ごとの資源をつなぐネットワーク構造を整備し、新しい豊島区像を描くプランを構想した。ネットワーク構造を形成するものとして、谷端川緑道・都電荒川線を公共の自動運転車網と掛け合わせることを考えた。

谷端川緑道については、かつて川が流れていたころの橋の部分を広場と見立て、近隣の学校や地域施設と繋がる居心地の良い空間の形成を、都電荒川線については、沿線の他区と連携し、商店街などのイベントの場を貸切列車を用いて作り出すことを考えた。そして、利便性の高い公共交通機関として分散的に広がる自動運転網の中で、地域資源を繋ぐネットワーク構造の軸線として機能することを狙いとした。

最終発表パネル(区役所)

演習の流れ


都市計画事務所

最終発表パネル(都市計画事務所)


都市設計事務所(雑司ヶ谷)

開放性・幾何的異常・すきまの表現を軸に、都電雑司ヶ谷駅前広場に雑司ヶ谷霊園の構造を染み出させるようなデザインの提案をした。そこには、駅前広場として最低限のホーム・ベンチ・待ち合わせ場所を配置しながら、完全に完成されたようなものを避けて自然物や人々の営みとの相互作用を生じさせるものを配置する。道幅や道同士の間隔は、霊園内の道幅と墓の幅に合わせて設計されており、墓だけがない空間となっている。

雑司ヶ谷霊園は,はじめから現在のような大きさだったわけではなく、開園から年を経る過程で拡大されている。霊園が拡大される際に、木を避ける形で通路が組まれたため、通路の方向が年代ごと場所ごとに違って形成された。そのため、結果として、墓地として形作られた年代ごとに通路の向きが異なり、場所によって墓の向きや通路の向きが異なるという幾何的な異常がもたらされたのだった。このように形成史を見ると、雑司ヶ谷霊園の幾何的異常は大きなアイデンティティであると言える。

最終発表パネル(都市設計事務所(雑司ヶ谷))

演習の流れ


都市設計事務所(下板橋)

最終発表パネル(都市設計事務所(下板橋))

演習の流れ