第4回海の手線シンポジウム|
海の手線フィールドレクチャー2026
東京アパラタス
本フィールドレクチャーは、東京臨海部の各会場を巡りながら、 アーティスト、プランナー、実務家、学生といった多様な登壇者が、それぞれの立場から語ることで、オルタナティブな東京のあり方を作り上げるツアー形式のプログラムです。山手線に対する海の手線・都市と建築・理論と実務・文化振興と商業主義・過去と未来の間にある揺れ動く境界線、すなわち「汀」を、1日かけて体験していただきます。
前夜祭である建築家の浅子佳英氏と主催の羽藤英二による対談では、品川と高輪ゲートウェイを舞台に、商業建築の現在と東京の移動する重心について語ります。
ツアーの最初のサイト、豊洲市場では演出家の高山明氏とアーティストの青柳菜摘氏が、舞台としての都市、公共空間としての都市のあり方について身体芸術の観点から対談します。
二番目のサイト、八重洲では国土交通省関東地方整備局 河村英知氏から自動走行と東京都市構造の変化、品川開発の今と東京臨海部について実務家の観点からレクチャー頂きます。
三番目のサイト、門前仲町では東京大学の学生が「東京臨海部」のインフラ・水辺・暫定空間を扱う都市設計に関するプロポーザルを発表いたします。東京臨海部を新たに見つめ直す契機になるでしょう。
三番目から四番目のサイトの間では、江東区で大規模氾濫が起こったと想定した防災避難訓練を想定して、より海抜の高い臨海部へと各自移動いただきます。
四番目のサイト、新豊洲では写真家の上原沙也加氏と建築家の青木淳氏による対談では、AS設計による上原氏の写真を展示した“海の手線仮設美術館”としてギャラリートークを実施します。
※雨天決行です。
※登壇者・会場等は追加・変更になる可能性がございます。
※当日は記録撮影を行い、講義の音声は後日公開されます。映像・音声への映り込みや録音について、予めご了承をお願いいたします。
メインビジュアル写真:上原沙也加《横網町公園》©Sayaka Uehara
A Plan for Tokyo 1960東京計画1960
https://www.tangeweb.com/works/works_no-22/
Lecture Tour TimeTable
レクチャー・ツアー行程
日時:2026年3月21日(土曜日)
時間:レクチャー|9:30〜17:30 アフターイベント|〜20:30
| 9:45–10:00 | 竹芝桟橋 ウォーターズ竹芝前(竹芝地区船着場)集合 |
|---|---|
| ↓船による移動 | |
| 10:30–12:15 | 豊洲市場|ミチノテラス豊洲 (「豊洲場外マルシェ」にて各自昼食可) |
| ↓バスによる移動 |
|
| 12:45–13:45 | 八重洲 レクチャー:河村英知 |
| ↓バスによる移動 | |
| 14:15–15:30 | 門前仲町|深川東京モダン館 |
| ↓防災避難訓練 | |
| 16:30–17:30 | 新豊洲|サイタブリア |
| ↓各自移動 | |
| 18:30–20:30 | 潮見|アイランドストーン アフターイベント(別会費になります) |
※雨天決行です。
※時間等は進行上の都合により変更になる可能性がございます。公式サイトおよびSNSをご確認下さい。
戦災概況図東京 国立公文書館より
https://www.digital.archives.go.jp/gallery/0000000113
Prologue対談 (事前収録)
東京アパラタス構想は、固定された会場から始まらない。0章は事前収録のポッドキャストとして配信され、都市を“汀”として読むための導入となる。なぜ海の手なのか。なぜ移動なのか。境界の開閉によって世界の可到達性が変わるとは、どういうことか。本編に先立ち、都市を完成した構造ではなく、切り替わりの連続として捉える視点を共有する。都市は与えられた空間ではなく、条件が変化するたびに立ち上がる場である。その揺らぎに耳を澄ませることから、このフィールドレクチャーズは始まる。
0章|商業建築の現在と、都市の重心の移動
1960年代、前川國男は高層建築の競争が都市の連続性を損なうと警鐘を鳴らした。一方、ミース・ファン・デル・ローエのシーグラムビルを契機に前面広場が評価され、POPS(民有地内公共空間)制度が普及した。日本でも容積率緩和により高層化と公共空間の両立が図られてきた。2026年、品川を新たな重心とする東京の再編が加速する中、AIやインフラ再編、スマートシティ構想が進行し、都市の垂直化と公共空間の在り方が改めて問われている。海の手の新たな玄関口となる高輪ゲートウェイの構造的挿入を下敷きに、変容する東京の“汀”と新たな都市装置としての品川について対論する。
※対談は事前収録のPodCastとなります。当日の登壇はございません。
浅子佳英|Asako Yoshihide
1972年神戸市生まれ。建築家、編集者。2021年PRINT AND BUILD設立。建築作品に八戸市美術館(2021年:西澤徹夫、森純平との共同設計)、NEWoMan TAKANAWA(2025年:sinatoとの共同設計)など。「TOKYOインテリアツアー」、「TOKYOデザインテン」、「百貨店の歴史」、「パブリック・トイレのゆくえ」など商業空間を通した都市のリサーチとデザインを継続的に行なっている。
Comment
大量の人々が決まった時間にオフィスに押し寄せては消えていく。リモートワーク、週休3日制、女性の社会進出、AIの普及は相互に補完し、群衆が同時に同じ行動を取る社会から個人が適当にバラバラに過ごす社会へと変化させていくだろう。大きな単純な動き(大波)から小さな複雑な動き(微細な波)へ。コルビュジエの輝く都市は住居、ミースとそのフォロワーはオフィスだった。現在は商業施設が都市をつくる。巨大な吹抜のある商業施設ではなく、様々な方向に分岐する道の途中に小さな居場所が点在する立体的な都市のような空間へ。
羽藤英二|Hato Eiji
1967年、愛媛県生まれ。愛媛大学助教授、MIT客員研究員、UCサンタバーバラ客員教授を経て2007年に東京大学工学部都市工学科准教授、2012年より東京大学大学院 工学系研究科 教授。専門は都市工学・交通計画。人や物の移動データの分析を基盤に、モビリティと都市構造の関係、公共交通政策、国土・都市の空間計画などを研究。国や自治体の交通・都市政策にも多数参画し、都市の将来像の構想と実装の両面に取り組む。
第1章|演出された水辺と身体―「間展」と「亡船記」を巡って
磯崎新の円環都市構想と都市破壊業KKの思考を重ねると、都市は完成形ではなく生成と断絶のプロセスとして現れる。高山明の演劇は劇場外の隙間で都市秩序を攪乱し、隠れた断層を身体的に露出させる実践であり、青柳菜摘の詩は消えた船や閉ざされた越境の痕跡を言葉の中に保持する。両者は都市破壊業KKの継承として、消去された境界や未遂の構想がなお作動していることを露出させ、未完の円環・閉じきらない島々として都市を再想像する周縁の芸術の可能性を示す。
Photo:奥祐司
高山明|Takayama Akira
演出家・アーティスト。演劇ユニットPort B主宰。都市を舞台としたツアーパフォーマンスや演劇プロジェクトなど、多岐にわたる活動を国内外で展開している。いずれの活動においても「演劇とは何か」という問いが根底にあり、演劇の可能性を拡張し、社会に接続する方法を追求している。近年では、新しい「劇場」構想を始動。劇場を芸術鑑賞の場から解放し、「プロジェクトの孵化装置」として機能させる実験を進めている。
Comment
磯崎新の『間展』は20年ごとに都市を移動しながら立ち上がる展覧会で、2024年はイランで開催されるはずであった。実は実施されたのだが、磯崎の構想とは全くの別物であり、その意味でイランの『間展』はアンビルトである。磯崎から演劇部門のディレクションを依頼された高山が、仲間と共に三度タブリーズに赴き、バザールを舞台に準備していたプランを紹介する。それは東京やベルリンで準備中のプロジェクトに接続されるだろう。
青柳菜摘|Aoyagi Natsumi
映像メディアを用いた同時代芸術のアーティストとして、フィールドワークやリサーチをもとに、プロジェクトベースに主題を立て作品を発表している。近年は個展「亡船記」(十和田市現代美術館, 2022)、詩集『そだつのをやめる』(thoasa, 2022)が第28回中原中也賞受賞など。「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」に選出され、2026年にポルトガルで作品発表予定。コ本や honkbooks主宰。
Comment
海のない十和田市内で発表した作品《亡船記》を手がかりに話す。複数の地点に散在する「亡き(在らざる)船」として作られた作品は、空間や時間、物語や記憶を、人を回遊させながら解体していた。船を辿ることで、海が、水際が、領地領海や思想を繋ぎとめる。そこに起こる小さな波を間(MA)と呼ぶとしたら、間とは“インプロヴィゼーション”である。当日は詩の断片を即興的に朗読として交えながら、汀に立つ「間」を浮かび上がらせる。現在ポルトガルでのリサーチを進める自身にとって、そこに浮かぶ汀は新しい航海のかたちを知る一歩になる。
第2章|道路が都市を再接続する
日本橋は五街道の起点として到達可能性を制度化してきた都市の原点である。E2E型AIによる自動走行や地下物流網の構想は、道路を固定インフラから動的システムへ転換しつつある。首都高の地下化は地上空間の公共への返還であり、築地再開発と連動して都心と湾岸を結ぶ新たな構造線を形成する。震災復興の記憶と未来技術が交差するこの地点から、生成AIが都市を覆う中での偶有性や余白の行方を問い、海の手線を新たなモビリティ動線として読み替える議論が求められる。
河村 英知|Kawamura Hidetomo
平成9年建設省入省、東北地方整備局企画課長、道路局企画課課長補佐、関東地方整備局相武国道事務所長、道路局高速道路課企画専門官等を経て、令和元年7月 総合政策局交通政策課企画室長/令和3年4月 道路局企画課道路事業調整官/令和5年7月 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構企画部長/令和7年7月より現職(関東地方整備局道路部長)
Comment
関東地方の道路整備を担当する現職の立場から、「首都東京の道路の未来像」と題して、海の手線エリアから首都圏域まで広がる人流・物流のシームレスなネットワーク像を概説するとともに、自動物流道路や自動運転をはじめとした多様なモビリティの導入や、緑化・賑わい空間整備など道路空間の高度化・多機能化に関する取組を紹介する。あわせて首都直下地震に備えた臨海部の拠点整備や発災時の道路啓開の考え方を示す。
第3章|都市のアプロプリエーション 海の手都市スタジオ講評会+欧州調査報告
アプロプリエーション(代用・流用)を都市設計の操作概念として再定義し、根津から洲崎への移転のような都市機能再配置の歴史的作法として捉える。海の手線沿線は流用の連鎖で形成された周縁であり、交通・制度・資本が重層する可変的装置として都市を読み替えることは、事前復興の設計知にも接続する。建築的引用と都市的再配置の往還から海の手不動産の形成原理を議論する。
加藤耕一|Kato Koichi
東京大学大学院工学系研究科・教授。専門は西洋建築史・近代建築史・建築理論。東京大学工学部建築学科卒業、同大学大学院博士課程修了。博士(工学)。2018年より現職。主著に、『建築のラグジュアリー 物質と構築がつむぐ建築史』(東京大学出版会、2025年)、『時がつくる建築 リノベーションの西洋建築史』(東京大学出版会、2017年)など。歴史的な時間軸のなかで変化する建築や都市の研究に取り組んでいる。
中尾俊介|Nakao Shunsuke
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻および次世代都市国際連携研究機構・助教。博士(工学)。専門は都市史。とくに神奈川・横浜を対象とした伝統的な湊と条約港の近代化に関する研究。共同研究として、国内の都市の文化的景観の研究、オランダ・フリースラント、イタリア・ヴェネト、フランス・ラングドックの建築・都市・領域に関する研究、南予地域の復興デザイン(事前復興に関わる教育、実践)等に携わる。
第4章|「海の手ミュージアム」をつくる―光と影のあいだの都市
青木淳と上原沙也加による「海の手ミュージアム」は、再開発が進む水際に、静謐なホワイトキューブではなく都市の喧騒のなかで感覚をひらく展示空間を構想する試みである。ヴェネチア日本館「IN-BETWEEN」の「あいだ」の思考と、上原の写真が可視化する過去と現在の重層する時間の汀を手がかりに、制御と再開発の論理が加速する都市へ偶有性と感覚の場を穿つ可能性を探る。
Photo:前谷開
青木淳|Aoki Jun
1956年神奈川県生まれ。東京大学工学部建築学修士修了。1991年、青木淳建築計画事務所(現在はASに改組)を設立。 主な作品に「青森県立美術館」、「大宮前体育館」、「三次市民ホールきりり」、西澤徹夫との協働による「京都市美術館(通称:京都市京セラ美術館)」、ルイ・ヴィトンの一連の店舗など。1999年及び2021年と2度、日本建築学会賞、2004年に芸術選奨文部科学大臣新人賞、2020年に毎日芸術賞を受賞。京都市美術館館長。
Comment
「中立点」について話したいと思っています。これは「汀」と関連することですし、また昨年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展・日本館展示のキュレーターとして挙げたテーマなので、具体的にはその展示やその背景で考えたことが中心になるでしょう。もっとも「中立点」は、私のこれまでの設計に貫通するテーマでもあり、より大きな広がりのなかで対話できるといいな、と思っています。
上原沙也加|Uehara Sayaka
1993年沖縄県生まれ、同地在住。写真家。2022年、写真集『眠る木』(赤々舎)を出版。近年の個展に「たとえすべての瓦礫が跡形もなくきれいに片付けられたとしても」横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川、2026年)、「前の浜」MISA SHIN GALLERY(東京、 2026年)がある。第36回写真の町東川賞新人作家賞、「VOCA展2024」で奨励賞、大原美術館賞を受賞。
Comment
私は風景のなかに立ち現れる記憶や傷跡、場所や事物が保持している時間の層を捉える実践として、 写真作品を制作しています。今回は一日限りの海の手美術館に、沖縄、東京、福島の“汀”でうつした写真を、それぞれが隣り合うように並べます。風景の周縁を辿るように歩きながら、波打ち際でゆらぎ続ける時間や生活について、考えてみたいと思います。
戦災概況図東京 国立公文書館より
https://www.digital.archives.go.jp/gallery/0000000113
Participation Fee
参加費
| 一般 |
3000円 |
|---|---|
| 学生 |
1000円 |
| 参加費に含まれるもの | 船・バスの運賃/ツアー保険/ノベルティ |
※全行程参加の費用です。
※別途飲食費がかかります。アフターイベントの会費は含まれておりません。
※各会場に直接お越しになる場合、参加費は不要ですが保険の適用外となります。
Registration
参加申し込み
(全行程参加/個別レクチャー参加)
Peatix にて募集(後日公開)
URLは本HPに掲載するとともに、募集開始時に改めてお知らせします。
①全行程(ツアー)への参加(要申込)
| 集合: | 9:30 竹芝 |
|---|---|
| 解散: | 17:30 新豊洲 |
※ツアーへの参加には個別レクチャーへの参加も含まれます。
②個別レクチャーへの参加
| 第一章;ミチノテラス豊洲 対談:高山明×青柳菜摘(10:30-12:15): |
申込不要 |
|---|---|
| 第二章;東京ミッドタウン八重洲 レクチャー:河村英知(12:45-13:45): |
要申込 |
| 第三章;深川東京モダン館 海の手都市スタジオ講評会(14:15-15:30): |
要申込 |
| 第四章;サイタブリア 対談:青木淳×上原沙也加(16:30-17:30): |
要申込 |
※申込不要の会場のみへの参加希望の方は各会場に直接お越しください。
ご注意
※本イベントは記録撮影・録音を行い、その内容を後日、記事・Podcast・広報資料等に使用する場合があります。映像・音声への映り込みや録音について、予めご了承をお願いいたします。
※登壇者の体調不良や悪天候など、やむを得ない事情により中止または変更となる場合があります。イベント詳細ページおよび公式Xでお知らせしますので、ご来場前にご確認ください。
※当日、予期せぬトラブルが発生した場合、イベントを中断または中止することがあります。あらかじめご了承ください
About us
第4回海の手線シンポジウム|海の⼿線フィールドレクチャー2026 「東京アパラタス」
主催|
東京大学 交通・都市・国土学研究室
BinN Studies Unit (BinN:Behavior in Networks)は,2006年東京大学に羽藤が赴任したことを契機に14号館で発足した都市生活学研究室を母体とする研究グループです.現在は都市工学専攻,社会基盤学専攻,復興デザイン研究体の学生さんや様々な企業,国内外の大学研究者・エンジニア・建築家や都市計画家と連携しながら,都市生活学とネットワーク行動学に関する理論研究を中心に都市サービスの実装と国土・地域計画や都市空間計画と都市設計,モビリティデザインの実践に取り組んでいます.
ツアーコーディネート:清水建設株式会社
協力:次世代都市-交通デザイン共同研究2025(株式会社IHI、清水建設株式会社、東京ガス不動産株式会社、三井不動産株式会社)
豊洲石炭埠頭に隣接した埋立地 ©️ 社団法人東京都港湾振興協会