夏学期ゼミ第16回議事録(c = チャット) 作成者:増田 ============= 小林パート ============= 羽藤c:論文の構成については、基本形があるので型を意識することが、研究を進めていく上で大切です。背景、レビュー、フレームワークという流れは基本と覚えてください。 浦田:スライド8.主体の行動について「最良の場所を選ぶ」とは? >主体hが入札関数に基づいて,最も良い支払額になる入札を行う.つまり土地を買う. 浦田:供給者は売る売らないの意思決定ではない.オファーを選ぶのか. >供給者側は,どのゾーンに対してどの不動産タイプの物件を消費者に対して出すかという選択.ゾーンの供給量を選択するので,供給量0とすると売らないという行動も表現できる. 浦田:消費者は一つの場所を選んで入札するのか. >そう. 浦田:消費者と供給者は完全に別の主体か >そう.消費者が供給者になったり,供給者が消費者になることはない. 羽藤c:交通だと、家計と企業が意思決定者、土地供給者は、交通事業者やネットワークデザインを決定する上位意思決定者。 羽藤c:学習モデルでは均衡の概念を多くの場合欠いていますが、計量経済系やミクロ経済では、均衡の概念が重視されます。 羽藤c:ネットワーク配分やメカニズムデザインでは基本的には均衡が重要な概念になり、数学的に厳密性が要求されます。シミュレーションは均衡は、まいいっかという感じで扱うのが通例ですが、例外もあります。 羽藤c:入札は、鈴木モデルだと価値関数Vの値で代替しようとしていましたね。 羽藤c:Bellmanで書くと、ナップサック問題として同時複数エージェント組み合わせ問題として書こうとしているのが、黛修士論文ですね。 羽藤c:ヘドニックは公務員試験にも出るので、知っておいて損ないです。 望月c:WtPが一番高い値で入札すると思っていたんですが、賃料が決まっているということですか? >賃料は内生的に決まる. 浦田:入札額を賃料に置き換えたのかと,思いましたが,,? >最高入札額が決まるとその期待値が賃料になる.その賃料が供給者側の利益関数に関わる. 村橋c:供給者の異質性がいまいち掴めなかったので少し説明いただけると助かります >例えばJR東日本とダイワハウスと三菱地所では利潤関数が違うということ.建物タイプの違い. 村橋c:ああ,なるほど 羽藤c:価格帯の異なる物件を供給して、全体で最適化する問題は両面市場といいます。前田さんの卒論に近いね。 浦田:スライド15.調整パラメータρはモデル的な調整項の意味か.それとも政策的な意味か. >前者.政策的に調整できるものではないと思う. 浦田:係数をわざわざマイナスにしているのが気になった. 羽藤c:普通は、プラシング=インセンティブπが、調整項だけどね。 羽藤c:式(17)がいいけど、複雑やな。複雑なのは式(19) 羽藤c:スライド22.まあ厳密にやるとこうなるよなー。入札額・立地・賃料・利益が同時計算できるのはカッコいいな。 羽藤c:繰り返しがすごいけど、収束しなささそう。この解法アルゴリズムは既知?新規性があるところですかね。 >そう.この論文が初出. 羽藤c:これだけ複雑だから、新出か。なるほど。 羽藤c:仮想数値計算でまとめてるのかー 羽藤c:解の求め方は多様体の解き方と同じなのでは。固定して解いてを繰り返していますよね。 浦田:外生変数はλとμと効用関数か. >λとμは外生変数ではない?実データで推定するときはλとμは外生的に与えるが,大きすぎると収束しなくなる. 浦田:それをどのように決めるかは頭を使うところ. 羽藤c:までも土地利用ー交通モデルとしては、解法に焦点をあてていて、入札プロセスの記述がしっかりしてるので、いい論文ですね。 羽藤:この論文のダメなところは?ほぼ問題としては書き切っている. >アルゴリズムが複雑. 羽藤:立式して主体が複数になって解がきちんと求まることを示している論文としては抜けがない.解の厳密性もあわせて提案している論文なので完成度は高い.しかし主体が増えると収束しなくなるという問題はある.この後はどういう研究に展開するか. >立地の内部性をどう入れるかという話と,サンティアゴの実データを使って推定して収束するかを見る.後は交通も合わせて記述するモデルに進んでいる.均衡を仮定せずに解法を準均衡という形で解くという方向性にも発展している. 羽藤:集積の経済や外部性の記述はどうなっているか. >効用関数の中に入っている. 羽藤:外部性があるから解の均衡が入れ子になって難しくなる.新井さんの修論でリモートになると集積がなくなる.外部性の記述の仕方が重要.入れ子になってる問題は浦田さんのMPECや石井さんの多様体など研究室の蓄積があるので,上手く解ける可能性がある. 羽藤c:Πが利益で共通という説明がありましたが、異質性の設定してたのに、そこは共通ということですかね?利益は共通だけど、マッチングしている主体は違うという仮定なのかな。。 >業界間で均一ということ. 羽藤:主体グループがあってセグメントの中で均一というならわかるが,全て同じというのがよくわからなかった. >原文ではin the industry 羽藤:ということは業界間では異質性があるから整合している. 羽藤:浦田さんならどう解くか.MPECの得意なところではないか. 浦田:同じやり方はできそう.4つの方程式の変数を全てパラメータとして扱って不等式制約としてとくというアプローチは同じ. 羽藤:もう一段新しくできそう. 浦田c:たしかに,この2017の論文は準動的均衡ですね.Michelがいる..https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/2399808317719071?journalCode=epbb 羽藤c:Environment and Planning Bでこんなの出るんだ。こんなのも書いている。https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191261513001720 これは小関さんのに近いね。MichelはUrbanSimもやってたんだっけ。。 増橋:均衡を仮定せずに,制約条件付きで最適化問題にする方法は想像がつかなかった.違いは何か. >2020ゼミの前田さんと出原さんの資料を読むといい. 増橋:均衡を仮定しても少しずつ均衡に近づく最適化ではないか. >価格に対してどういう仮定を置くかという違い.需給の一致するところの価格と数量が出るというのが経済学的な均衡を仮定するの意味.この問題だと価格を媒介にしないで制約条件のもとで関数を最大化するという問題の置き方.価格の置き方の違いだと思う. 増橋:計算規模? >問題の立て方の問題.単純にシナリオの予測ができればいいなら均衡を仮定しなくてもいい.均衡を仮定して社会的な余剰や厚生という政策分析までやるなら経済理論に立脚しないといけない. 羽藤c:複雑なものを複雑に記述しちゃうと、結局よくわからないみたいなことがあるので、均衡を仮定して一意に決まる解を通じて、政策の効果やその他の政策との関係がよりストレートに理解できるみたいな説明か。。。 黛:店舗の立地と個人の立地と財の配送の設計を考えるときに,土地利用交通モデルだと需要側がどこに立地するかというときに空間的な制約はほぼないので,サーチするコストが無視されている.eコマースに近い. >他者の影響を内生的に扱っている.近隣の質が立地の効用・利得に入っているのが重要だと思う. 浦田c:ゾーンという単位は入っているけど,距離という変数は入っていないということですかね?誤差とか情報の不完全性という形で,空間変数を考慮しているんですかね. >距離という変数は入っていない. 黛:所有する不動産どうしの距離が関わる意思決定はありそう.同じゾーンに自分の不動産が増えると嬉しいみたいな. >時間が入っていないのですでに自分がどれくらい土地を持っているかは入っていない.式7で多少は考慮できている. 浦田:この後実際に適用した論文だとゾーンはどれくらいの大きさか. >1kmメッシュよりは大きい.首都圏の中ゾーンくらい 浦田:ゾーンが大きくなってくると距離はあまり関係なくなってきそう. 羽藤c:こういう複雑なのは、望月さんが先週説明してくれた自動微分使うと効果ありそうだね。リンクごとで非集計的にやってみると楽しそう =============== 小島パート =============== 小島:読んでみたが経済に関する知識が足りず,追いついていない. 羽藤c:ざーっと過去ゼミのを読んでみるとわかってくるかも。空間経済学は定式化も独特だからね。 羽藤c:日本語ではチューネンっていうね。 羽藤c:立地問題はリモート化で大きく都市構造が変化するので、クルーグマンがノーベル賞とって以降、土地取引データの蓄積をもあり、最近ふたたび注目されています。 小林:この論文は何をしたい論文か. >独立国の理論は現代では限界があるので,独占的競争の理論を組み合わせて独立国の議論を現代版にしようと試みている. 小林:章構成は? >3章では財として工業系の財も考える.4章は企業が都市からの逸脱を望まないような均衡条件を考える.5章は実際に解く. 小林:一番初めに論文の構成スライドを追加するといい.日本語の教科書を参照するといい. 近藤:3章はvon Thünenのモデルを参考に現代にfitしたモデルを提案しているということであってますか?2章がもともとのモデルってことですよね. >そうです.チューネンのモデルを現代版にした. 羽藤:こっちも結構いいよ.http://bin.t.u-tokyo.ac.jp/rzemi17/file/1-4.pdf 国際に関心ある人はぜひ!!http://bin.t.u-tokyo.ac.jp/summercamp2017/ 人口移動だから前田さんは近いと思うよ。 羽藤:この分野は日本が頑張っている.土木分野における土地利用交通モデルのマクロな枠組みの基礎で,教養として知っておいた方がいい.これを常識にして立地論,都市開発,国土論の議論ができるといい.