1．ポワソン過程の定義
■指数分布
指数分布の重要な性質
1）無記憶性
t時間待ったあとの待ち時間sも、最初の待ち時間sと確率は同じ。
2）指数的競争
独立な指数分布に従う2つの時間S,Tについて、S<Tとなる確率は、それぞれの指数分布のパラメータλ、μを用いて表現できる。
これを一般化すれば、n個の時間についても、i番目の時間が最小になる確率がパラメータによって求められる。

□これは何に使えるか？
柳沼：ハイパーパスはまさにこれ。配分の計算のとき。どのリンクにどのくらいの車両を載せるか。配分比としてローディングでつかう。
羽藤：車ベースでみて誰が乗っているのかによって頻度そのものは変わってくる。稼働率そのものはこれを使って評価することもできるのでは。シェアリングが1日で回るなかで、あるポートに最初についた車を使うとすれば、早く着く確率は指数的競争に従って変わる。
伊藤：満車になるのと空車になるのでどちらが速いかもわかる。
斎藤：シェアリングの場合、前に使う人がいる。単に空の車がやってくるというわけではない。
羽藤：複数台でやっている場合はこれで評価するのかと思った。

指数分布の和
各確率変数が指数分布に従うとき、この和はガンマ分布に従う。
ここでは発生間隔を確率変数tiとし、その計数過程（tまでの発生事象回数）をポワソン過程と呼ぶ。
ポワソン過程N(s)は平均λsのポワソン分布に従う。

■ポワソン過程の定義
(1) N(0)＝０
(２) N(t+s)-N(s)=Poisson(λt）
(３) N(t)は独立増分である。

2．ポワソン過程の特徴
■ポワソン分布は二項分布の近似
極限を求めるとわかる。

■複合ポワソン過程
到着回数・人数、前にどれだけ到着したかは将来に影響しないとし、
事象が発生した時の発生量をポワソン過程と関連付けて足し合わせたもの。

■シンニングとスーパーポジション
複合ポワソン過程における発生量Yによってポワソン過程を分割したものも、パラメータλPの独立なポワソン過程であり、その確率の和は1。
１つのポワソン過程を独立同分布な列Yを用いて２つ以上のポワソン過程に分割することをシンニングといい、逆に独立なポワソン過程の和をスーパーポジションという。

□質疑
伊藤：これは何人、じゃなくて男か女か、でできないのか？
今泉：できる。実際には分布から得られる確率で与えている。
羽藤：陸前高田のオンデマンドバス。需要をまとめあって発生させたいという話もある。
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伊藤：公共交通ならそう、京浜東北線と山手線でポワソン過程は足し合わせることができる。
斎藤：λが共通であるのはどうなのか。分布の形は変わらないけど、パラメータの値は変わるのではないか。
中西：全部を扱ってるのがλ。全部でみたときに京浜東北線の確率はP1のように出してλPとして重みを扱っているのではないか。

■ポワソン過程と条件付き確率
到着時間Tを独立な一様分布に従う区間に割り当てるとき、ポワソン過程の到着時刻は区間[0,t]にランダムにn本のダーツを刺した時の位置の分布であり、到着回数の階乗を、時刻の到着回数乗で割った値になる。

3．ポワソン過程の応用
■空間上のポワソン過程
シンニングの際のYを一様分布に従う確率変数Uで置き換えることで、連続空間へと拡張を行なう。
シンニングのときと同様にuをそれぞれ独立なポワソン過程だとする。
確率密度関数は幅で表されないとある点を取る確率が０となってしまうので点ではなく、幅を取る確率として考える。
帯の中にあるuiを同一の値だとすると、帯同士の点の集合は互いに独立となる。
このときある値u1が帯ｋにある確率をP（u1 in belt=K）とする。
一様分布の確率密度関数に投影し、確率を計算すると、帯の幅が確率にとなりポワソン過程にしたがう。

さらに縦に分割する。
縦と横で割られたひとつの格子にはいる点の数を考え、この長方形の面積×λがポワソン過程に従う。

■ポワソン過程の応用
幅の広い道路の交通流モデルとして適用する。
それぞれの車に独立同分布な速度を与え、同じレーンに走っている車は同じ速度とする。
このとき速度Vで走っている車の数はポワソン過程に従う。
スーパーポジションの考え方を用いるとさらに一定長さ間隔ごとの車の総数が求められる。

□質疑
伊藤：周南市の真中に百貨店がある。縦軸に頻度、横軸に百貨店からの距離としてやればダイレクトに使えそう。
若林：速度で分けているけど、空間でわけることはできないのか。PTでは拡大係数とかを用いているけど、時間帯ごとに出せそう。
羽藤：従前の拡大係数のとりかたとこれとでどう違うかがわかると面白い。データフュージョンなんかにも使える。
羽藤；交通の話はこの段階の話が結構弱かったりする。変数のところはちゃんと抑える必要がある。
浦田：前の段階の無記憶性というところをどうとるかが難しい。街路も避難も相関がある中で協調とかそういうことを面白いと捉えてやってるところもある。無記憶性が何に対してあてはまりがいいのか、というのがあると面白い。
伊藤：街路も人を通っている人の間隔を見ることで街路上のプログラムなどがわかることもある。無記憶性を仮定するのはつらい面もある。