羽藤>これはどこが一番面白かった? 前田>民間デベか政府かで結果が変わるところ 羽藤>少し意外で面白い.前田さんの研究はこれをベースにするといいと思っている.31ページのNW図は八幡浜や三崎に見えてくる.こういう感じで書けるかを意識してほしい.鉄道は自動走行のネットワークでもいい.その場合にどういう問題を考慮する必要がある.最近だと,鉄道はコロナの影響を受けるので,混雑効果で居住地が変わるというのはこのモデルで書けますか? 前田>鉄道の選択確率が混雑に応じて減少するという事? 羽藤>そう.それはかける? 前田>自動車は混雑に比例してコストが大きくなっているので,鉄道もそういう項を加えると良い. 羽藤>自動走行を高齢者向けに入れるというのは伊方町でやる予定.鉄道じゃなくても,自動走行レーンを代わりに入れるというのもあり得る.これも電磁誘導線を入れるなどコストはかかる.前田さんはこのモデルをベースに,これを推定するにはどういうデータを取ったらいいかを意識すると良い. 出原>モデルのところで言うと,MPECを定式化するのが良いところで,前田さんが飛ばしてた,交通量や効用水準を求めるために相補性の式をバーっと書いて,全部を考えるためにG(z)という均衡制約を無理やり書いて,最適化問題を作っている.この発想が面白いと思う反面,NWが複雑な時に本当に解けるかはやってみないと分からない. 羽藤>出原の問題をこれくらい単純化すると? 出原>この問題は土地じゃなく住宅の需要と供給の問題なので,その違いはあるが,土地を供給するという形に書き換えることはできる気がするが,この手の定式化の前提は勤務地を所与で,きゅじゅうちと勤務地を一対一で対応させてコストを考えているので,これはコロナの時代で使えるかは微妙. 羽藤>出原の問題だとできる.目的地選択を入れるから.前田さんも出原のやってる問題を理解するといい.災害のときは勤務地を変える人が多い.勤務地所与ではない問題が一次産業の場合もあるので,ここを外的に与えるのか,モデルで出すのか. 飯塚>略. 石井>駅町の設計でも使えそうだが,NWが単純なのでどれくらい複雑な問題にできるかは検討が必要. 羽藤>月田,小川もこういう風に考えてもいいが,マルチスケール. 鈴木>CBDを所与としてるところとかNWを単純化してるところが実際の分析ではどうなんだろうという感想. 前田>そうですかね.数値研究の計算がどうなってるかとかは書いてないのでわからないが,計算できるんだったら違う形のNWを組んでやってみることもできるのでは? 鈴木>CBDは一つじゃなくてもいい? 前田>そうかな?多分一つじゃなくても大丈夫.最初の方は一つじゃない想定だった. 鈴木>通勤先が人よっていくつかあって,NWがもう少し複雑でも大丈夫ってことですね. 出原>勤務地までの通勤時間を使っているだけなので,勤務地が複数あっても,どの勤務地に行くかの期待コストという形で代替すればいい.住民の効用関数が,勤務地までの期待コストと,家賃と,敷地面積なので,そのほかの選択要因がwpに吸収されてるので,ここを前田さんの問題では,八幡浜の商業施設に近いとかいろんな変数は入れられる気がした. 月田>これは,鉄道事業者と開発事業者が同じという話ですよね.身近な例だと田都では,住宅開発にはいろんな主体がいると思うが,それは式に入れられるか? 前田>そうすると,別の会社が開発してる住宅の収益は入らないが,その分で増える交通量の収益は入る,という形で入れられると思う. 羽藤>現実には,地方だと自治体が全部やるが,民間が先に開発してしまうと,そっちに流れるという事もある.あまり複雑にするのもよくないが良い指摘. 浦田>地方だと人口減少で開発者がいない問題があるので,公共交通やバス網の整備に誰が参入するんだという問題があるので,住宅開発とセットにすると収益が上がっていいという研究だが,無秩序に開発させてもよくないし,人が入ってくると都市の形がどう変わるかという問題につながる.作ることに税金は投入すればいいが,運用していくことに公共交通はコストがかかるので,動補助すればいいかという決定の問題がある. 羽藤>自動走行で考えているのは,上下分離で,インフラの管理と,路線の運用権を分離するという事をやっている.事前復興で住宅整備して運用してもらうときに,地元のタクシー会社にやってもらうか,県交通にやってもらうかなどを実際は悩んでいる.抽象度を上げるとこういう問題もこのモデルに似ている. 原>あるサービスをするとき,誰と誰が組むかというのが注目されていて,コストシェアリングの問題と呼ばれる.政府と民間以外にも,企業と鉄道事業者が組むというのもある.神戸で三菱重工とJRが組んで,三菱重工用の路線を作った例や,スタジアムに向かう線を引く例など.住宅開発以外にも,その線を使う利用者,企業とコストシェアリングするというのがある.あと,前スイスで,泊まったらメトロの3日間の無料カードをもらえた.観光客はコストを払うのではなく,移動してお金を落としてもらう方が良いという発想だと思う.広い枠組みで考えると面白い考え方がある. 羽藤>レマン湖沿いだけで人の流れが閉ざされると,中心市街地がもうからないので,ただにしているはず. 原>道後の周辺も公共交通無料で良いのではないかという議論をしたこともある. 羽藤>インセンティブで人が幸せになるとは思わないが,人の動きが変わるというのは事実.不当に利益を得ている人がいて,もらうべき人がもらってないことで町がうまく回っていないことがあるので,前田さんの研究でもそういうことが浮かび上がると良い. 出原>細かい変数やパラメータをどう用意するか,決めるかが改めて読むと分からないところがあった.