研究室TOP講座2016理論談話会2016

概要

都市生活学・ネットワーク行動学研究グループで,夏学期の間,理論談話会を行っています.毎週2本,各1時間ずつの発表を行い,広く研究室外の方とも議論して理解を深めていきます.

日時:原則毎週水曜日18:00~,場所:工学部1号館409号室

日程


発表者担当論文
4月27日(水) 18:00-19:30 前田 都市変容の確率過程
19:30-21:00 三木 An exact algorithm for the multi-trip vehicle routing and scheduling problem of pickup and delivery of customers to the airport
5月6日(金)18:00-19:00 福山 離散連続モデルに関するレビュー
19:00-20:00 近松 Continum theory for pedestrian traffic flow: Local route choice modelling and itsu implications
5月11日(水)18:00-19:00 吉野 A binary decision diagram based approach for mining frequent subsequences
19:00-20:00庄司 Congestion theory and transport investment
5月18日(水)18:00-19:00大山 経路選択モデルのレビュー
19:00-20:00三木 Dynamic ridesharing : Is there a role for dedicated drivers?
6月22日(水)18:00-19:00前田 -
19:00-20:00近松 -
6月29日(水)18:00-19:00庄司 -
19:00-20:00三木 -
7月1日(金)18:00-19:00前田 -
19:00-20:00福山 -
7月8日(金)18:00-19:00庄司 -
19:00-20:00近松 -
7月15日(金)18:00-19:00三木 -
19:00-20:00吉野 -
7月22日(金)18:00-19:00庄司 -
19:00-20:00近松 -

発表

実施済みの回について,発表概要と資料・議事録をまとめています.

#1-1

都市変容の確率過程

ミクロな個人の土地利用選択がマクロな都市全体の状態にどのような影響を及ぼしているのかを、個人の選択による効用最大化モデルと物理統計学、確率過程の知識を用いて最終的に関数の最小化問題に帰着させることで明らかにした.本の前半の内容ということもあり、まずは2種類の土地利用選択を扱い二項ロジットモデルで表し、単純化しているが、本書においては最終的には多項選択として取り扱うことを目標としている.
(青木 義次(2009),都市変容の確率過程―個人の自由選択による都市秩序形成,大学教育出版)

発表資料
議事録

#1-2

An exact algorithm for the multi-trip vehicle routing and scheduling problem of pickup and delivery of customers to the airport

一般に,複数車両のルーティング問題(Multi-Vehicle Routing Problem)は有向リンクijを車両kが通るかを示す0-1変数Xijkを決定変数とする大規模整数計画問題として定式化される.この場合,決定変数の組合せ数が莫大となり厳密に解くのは困難となる.これに対し,車両容量が小さく目的地ノードが1つなどの限られた場合には可能なルート数を小さく抑えられることを示した上で,あるルートk(trip chain k)が選択されるかどうかを示す0-1変数Xkを決定変数とし,MVRPを集合分割問題として定式化し厳密に解くアルゴリズムを提案する.
(Jiafu Tang, Yang Yu, Jia Li(2015):Transportation Research Part E, Vol. 73, pp. 114-132)

発表資料
議事録

#2-1

離散連続モデルのレビュー

離散・連続モデルについて,福田・力石(2013)をベースに,概要と主なモデルを紹介する.離散・連続モデルは,離散選択と連続量の選択が部分的に共通な要因で関連付けられた状況を記述するモデルであり,資源制約条件付でミクロ経済理論と整合的な構造型モデル,統計的な現象記述を主眼においた誘導型モデル,これらの折衷型に類別できる.従来は単数選択のみが扱えたが,複数の離散選択に関する連続量選択が同時に行えるモデルが近年提案され,表現の自由度が増している.誘導型はTobitモデル及びこの派生形により主に構成される.構造型の複数選択モデルとしてMDCEVモデルがあり,GEV型やProbit型なども提案されている.
(福田大輔,力石真(2013):土木学会論文集D3(土木計画学),Vol. 69, No. 5, pp. 497-510)

発表資料
議事録

#2-2

Continum theory for pedestrian traffic flow: Local route choice modelling and itsu implications

HOOGENDOORN(2015)の歩行者流モデルに関する論文.歩行者流モデルはMicroscopicなものとMacroscopicなものに大別されるが,Microなものは計算性の問題からMacroなものも実用性が高い.ただし,Macroな歩行者流モデルは自己組織化といった経験的な歩行者特性を表現できていない問題がある.そこで,歩行者流のポテンシャルを記述するGlobal value functionに,歩行者密度による価値関数変化をLocal value functionとして加え,この関数更新することで,計算性を担保しながらもっともらしい歩行者流シミュレーションを可能とした.
(Serge P. Hoogendoorn, Femke van Wageningen-Kessels, Winnie Daamen, Dorine C. Duives, Majid Sarvi(2015):Transportation Research Part C, Vol. 59, pp. 183-197)

発表資料
議事録

#3-1

A binary decision diagram based approach for mining frequent subsequences

近年,Webアクセス情報やDNA配列等の大規模系列データから必要となる情報を抽出するデータマイニングの研究が盛んになっている.データをコンパクトに表現し高速に処理することは,系列データマイニングにおける重要な技術であり,これまでにPrefixspan(Pei et al., 2004)等の様々なアプローチが開発されてきたが,長い系列を扱う際には計算コストが膨大になるという問題があった.本論文で開発されたSeqBDD(Sequence binary decision diagrams:系列二分決定グラフ)は組合せ集合を表現するためのデータ圧縮表現であるBDDとZDDをベースに,系列表現が可能になるような構造に見直したものであり,特に類似性の高い系列や長い系列を扱う場合にデータ圧縮効率が優れることが確認された.
(Loekito, E., Baily, J. and Pei, J.(2010): Knowledge and Information Systems, Vol. 24, No. 2, pp. 235-268)

発表資料
議事録

#3-2

Continum theory for pedestrian traffic flow: Local route choice modelling and itsu implications

混雑対策として従来は容量拡大等の施策がとられてきたが,交通現象は複雑であり,正しい効果が得られないことが問題であった.本論文では,ボトルネック混雑を考慮した動学的な出発時刻選択モデルを定式化している.さらに,時間帯で変動する混雑税を課すことで,個人の到着時刻は変えずに待ち行列を解消することができることを示している.
(Vickrey, William S.(1969):The American Economic Review, Vol. 59, No.2, pp. 251-260)

発表資料
議事録

#4-1

経路選択モデルのレビュー

経路選択には選択肢集合の生成という大きな課題があり,既往の研究は選択肢集合を明示的に扱うものかそうでないかで大別できる.前者は出発前に経路を選択するPre-trip型モデルに該当し,選択肢集合の生成手法として確定的手法・確率的手法などさまざまに提案されている.また経路相関・重複の記述も経路選択モデルにおける大きな課題であり,CNLやPCL,MXL,MNP等の誤差相関を扱うモデルや,PSL,C-logitのような重複を扱うモデルも提案されてきている.選択肢集合を明示的に列挙しないアプローチは,Dial(1971)や佐佐木(1965)を嚆矢とするローディングアルゴリズムから出発してロジットモデルとの等価性が後続研究により証明されてきた.近年ではRLモデルによる意思決定の動学性や,Network-GEV型モデルによる相関構造の記述も可能になるなど,新たな展開が見られている.
発表資料
議事録

#4-2

Dynamic ridesharing : Is there a role for dedicated drivers?

ライドシェアサービスが定着するには,導入期に多くの参加者から信頼を得ることが有効である.特に,車に乗せてもらう側であるライダーのマッチング成功率を高めるために,サービス提供側が専属ドライバーを雇う方法が考えられる.そこで,あるマッチング成功率を達成するのに必要なドライバーの人数・オペレーションコストを評価すべく,マッチングと専属ドライバーのルーティングを同時に行う最適化問題を定式化した.解法としてメタヒューリスティクスを用いた.参加者の数・ODの分布パターン・移動時間の調整幅を変えながら数値計算を行い,ODパターンによってサービスの効率性やその変化の仕方が大きく異なることを明らかにした.
(Alan Lee, Martin Savelsbergh(2015):Transportation Research Part B, Vol. 81, pp. 483-497.)

発表資料
議事録