------------------------------------------ 池田さんパート Manski, C.F.: Identification of Endogeneous Social Effects: The Reflection Problem, Review of Economic Studies, Vol.60, pp.531-542, 1993. ------------------------------------------ 社会的相互作用における内生効果についての研究 ■社会的相互作用 個人の態度・行動が他者から影響を受ける現象 ミクロな個人行動の単純な総和をとることは不適切. ローカルインタラクション:相互作用が及ぶ相手を少人数に特定 グローバルインタラクション:個人が属する準拠集団の全構成員から平均的に影響を受ける. ■社会的相互作用の識別問題 見かけ上の相互作用と真の相互作用をどう区別できるか →被災地の集団移転とかで応用できそう 例)犯罪発生率には凝集現象(見かけの相互作用)が存在するが,真の相互作用とどう区別するのか. ■線形モデル 内生効果:個人の行動傾向が集団の平均的な行動結果に依存して決定(個人の成績は集団の成績に依存) 外生効果:個人の行動傾向が集団の平均的な行動属性に依存して決定(個人の成績は構成員の社会属性に依存) 相関効果:互いに似た個人属性を持っているため,同様の社会的環境にあるため受ける影響(個人の成績は家庭環境や同じ先生に教わっているなどが影響している) 藤垣:転校生が受ける場合,受ける影響は 柳沼:相関効果は同じような集団であるという意識.内生効果と外生効果は集団の結果や属性に影響を受けている. 社会的相互作用の相乗効果 個人の成績が準拠集団の平均的な成績に影響を受ける場合,補習授業は,対象学生の成績が伸びる直接的な効果と,平均点が上がることで多額性の成績も上がる間接効果が得られる. ■モデルの定式化 個人の行動は自身の属性以外に準拠集団の平均的な行動と準拠集団の平均的な特性から影響を受ける. βが0でないとき,内生効果が存在する.γが0でないとき外生効果が存在する. 2つの社会的相互作用は識別可能か→合成されたパラメータは推定できるが,識別して推定することはできない.また,個人属性の期待値が準拠集団について線形で表されるとき社会的相互作用パラメータは推定できない. モデルの前提:準拠集団が既知,準拠集団の平均的な行動・属性を正しく認識 → 現実にはありえない ■サンプル サンプル内で内生効果(個人の行動の加重平均に依存)が存在することを仮定したモデル. 2段階の推定E(y|x) ■非線形内生効果モデル 非線形な内生効果モデルで最も一般的なモデルである2項選択モデルを仮定. 社会的な影響にはタイムラグがある.具体的にどういうラグで社会的相互作用が影響しているかについては議論がある. ■需要分析 市場の総需要から個人の需要がどのような影響を受けるか 市場は市場価格を通してのみ個人の需要に影響を与える. 市場xにおける価格p(x)はxの総需要と供給状況によって決定すると仮定 ■質疑 柳沼: ローカルとグローバルの境界はどうとらえるか. 羽藤: ローカルはijで直接表現できる.グローバルは集計値から影響を受ける.グローバルの場合,集計される期間がある. 柳沼: 分かりやすくいうと顔が見えるか見えないかといった問題がある. 柳沼: 凝集効果がない場合もある. 羽藤: 凝集効果の分布の観測が難しいからあまり議論されていない. 大山: 日産の打ち合わせで,慣れてくると使うようになる,最初のうちはみんな使うので使うといった効果がある. 羽藤: 市場で最初に試す人がいて,真似する人がいて増えていく.それは一定のカーブで表される. 羽藤: 修論のテーマは. 池田: 延岡で考えた場合は,住民参加を通して町に対する態度が変わって社会に影響を与えるといったことがある. 大山: 相関効果は単純に属性のようなもので考えればいいのか. 柳沼: 誤差項の話.相関効果は誤差項に影響している. 柳沼: セルフセレクションみたいな話があって,準拠集団の選択と2段階で考える話があるが詰められていない. 羽藤: 式で書いたほうがいい.延岡の準拠集団が何か,行動にどう影響するか.愛着とは一体何なのか.駅をどう使うか.根本的な疑問は. 池田: 人の行動は何によって決まっているのか. 羽藤: 交通はbehaviorで書き表せるので書ければ修論の精度が高まる. 藤垣: 最後のデマンドモデルの需要関数で,E(y|x)が入った式と社会的相互作用の導出はどう結び付くのか. 池田: 他の要素が入っていてより複雑な場合を表している.それの特殊な場合が初めに説明したモデル. 羽藤: リンクコスト関数は渋滞を内生化しているので,計算アルゴリズムの中に含まれている. 芝原: カルロスのアンケートを通じて分析するみたいな話が合ったが,陸前高田ではアンケートではわからなくて行動ベースで考える必要があって,内生効果みたいなものは効くように思える.準拠集団は無意識に認識しているものが大きい気がして,それをどう決めていくのかが難しい. 羽藤: 社会的にどうセグメントしていくのかが難しい.都市計画分野では準拠集団や社会的相互作用のようなものを意識して考える必要がある. 柳沼: 相関効果みたいなものを考えると似た傾向にあることが大事.○○商店街のようなくくりや,属性でセグメントするのも考えられる. 芝原: 神戸とかだと準拠集団作用のようなものは考えられる. 柳沼: 準拠集団同士が高め合うという話はありそう. 伊藤: ダイナミクスが興味深い.渋滞や鉄道混雑で,均衡については繰り返しみたいな概念があって,居住地はタイムラグが長く,混雑は短いようにタイムラグの設定の仕方が重要なように思う. 池田: 論文の中では数年だったり,数日だったり色々あるとしか書かれていない.