2013年夏学期第4回論文ゼミ 柳沼秀樹 Optimal strategies: A new assignment model for transit networks ○イントロ 公共交通のネットワーク配分について扱っている 従前は道路ネットワークの均衡配分のものが多い そもそも自動車ドライバーと公共交通利用者の行動原理は違う →公共交通には待ち時間が存在する ・ヒューリスティックな公共交通配分モデル 最短経路に待ち時間を足しこんだだけとか理論背景が不十分 →目的:理論的背景を持った公共交通配分モデルを構築する ○利用者の行動原理 1:pre-route choice トリップ前に経路を選択する 均衡配分など 2:en-route choice  逐次的な経路選択→公共交通と親和性がある (速いほうの公共交通を逐次的に選択するとか) 公共交通選択問題→選択可能な選択肢から最適なものを選択する ○手法レビュー Dial ・最短経路に待ち時間を足した手法     ・先に来た方に乗るという前提    ・公共交通配分の先駆け的研究 Le Clercq  ・Common lines problems 平行する路線から経路を選択        ・複数ラインを組み合わせることで期待時間が減少する 提案手法   上記二つの手法よりも期待旅行時間が小さくなっている       →より最適な経路選択を表現できている ○モデル化 前提条件 1:頻度ベース運行(日本は時刻表ベース) 2:en-route behavior 3:common lines problem 公共交通利用者行動 駅へのアクセス→待つ→乗る→降りる→乗り換える→降りる→イグレス これをネットワークでリンク、ノードで表す ○Common lines problem Chiriqui and Robilland 路線が並行している場合に(複数路線がある)、魅力的な経路集合(atractive set) を選択する問題 利用者は期待費用が最小となるstrategyを選択(Optimal Strategy) ・定式化 一般化費用=乗車時間+期待待ち時間  ※混雑は考慮していない ・第二項がなければ普通の最短経路選択と同じ) ・待ち時間は頻度の逆数として計算       --------- 羽藤 このような公共交通のパフォーマンスの表し方を知っていることは大事 -------- ・通過確率:リンクに含まれるか→そのリンクを通るか、通らないか 確定的に選択するのではなく、確率的に最適なパスを表現している 実例 まったく何も組み合わせを考慮しない場合よりも複数組み合わせた方がいい ことがわかる。 組み合わせが多くなるほど待ち時間は減る⇔組み合わせ過ぎると増える -------- 伊藤 経路があって一本増えると必ず期待時間が減るということ? →パターンによる。ただ、今回は全ての経路を列挙して組み合わせているが 実際には頻度が低く組み合わせで期待時間あまりにも大きくなるなどのときは列挙されない -------- ・計算アルゴリズム 段階1:ほぼダイクストラ法 まず経路を探索し、そのあとリンクをつけ足して費用が大きくなるなら    終わり、小さくなるならoptimal strategyを更新する 段階2:頻度によって割り当てる ・モデルの拡張 混雑を考慮したモデル→非線形最適化問題として定式化を示唆(詳しい関数形は不明) 他の論文で、リンクフローに依存して待ち時間が増加する混雑関数は確認された このような研究は実際には海外のバスの設計などに用いられている 質疑 羽藤 頻度と旅行時間があれば評価できるということ。 神戸ではどのようなことに応用できるか。アウトプットとしては 何が考えられるか。 柳沼 データからバスを列挙することができる。 それを用いてバスルートの設計が可能では。 浦田 OD間の通行状況による制約とかは? 柳沼 頻度を変えることで記述可能だと思う。 乗車時間の長短によっては頻度を上げる方がいいとかがわかるかも 羽藤 途中で降りる行動はアクティビティーモデルで記述できる 藤垣 郊外の密度が低いところでは待ち時間が効くかもしれないが、 路線が並行していないのであまりこのようなことはイメージしてなかった 柳沼 乗車時間に待ち時間を足しこむことで並行していないところでも利用できる 頻度を明示的に入れ込むことで拡張可能 藤垣 頻度が異なる二つの路線について、新しくバスを入れ込んだときに どうなるかというのはできそう。 柳沼 普通に配分すると変わらないが、待ち時間を入れると違いがでてくるかもしれない と思う。 伊藤 待ち時間を分散、共分散などを使ってというのは? クラウドに適用するなら例えば、ポートに車がある、ないとか。 柳沼 待ち時間も確率分布を使っているが、結局逆数という形になる。 分布そのものをつくってという研究はあった。 そこでは次にくるバスの情報が出た場合に待って次のにのるか、今乗るかというのをやっていた。 柳沼 今はOD表がある場合だが、需要変動型にしたらどうなるかは興味がある。 モデルとしてどう定式化できるかは考え中。 中西 実際の行動を考えたときに次に来る電車が、期待値としては小さいが、 今乗るかどうかでかなり迷う。 また待ち時間は駅に着いた時点で割と確定的で、むしろ特に長距離移動などのとき 所要時間の信頼性の方が効いてくるきがする。 柳沼 確かにリンク所要時間の不確実性の方が今の現状に即しているかも。 山崎 最後は結局頻度で配分しているということ? 所要時間などは考慮していない? 柳沼 結局Optimal strategyのときは所要時間は同じなので、最後に頻度で配分している 羽藤 駅の改量のときの乗換時間の取り扱いは? 空間をどうネットワーク表現で表すのか。 柳沼 駅間の乗り換えは今のところ歩きのコストで表していて、新宿 みたいなところの乗換コストはうまく表せていない。 今泉 混雑したときに、混雑を回避して、時間はかかるけどすいた方に行くとかは 表現できないのか 柳沼 最終的に動的に扱い、均衡状態に収束させることで逃げ行動は表現できる。 出水 頻度によって分けるのは単純な気がする。 実際は移動中に時間がかみ合うところにどんどん行くはず。 柳沼 確かにそうである。 ローディングとOptimal strategyはまったく違う。 本当は兼ね合いを見て流していかなければいけない。 誤差を考慮したものがいる。 浦田 待ち行列が十分にあるときを扱っている。 そうでないときは難しい。 例えば飛行機を少し速めにどんどん出した方が、そっちに乗るみたいな話があると思う。 柳沼 時刻表ベースで分かっていればできるが。 頻度を分布にすると研究になるかもしれない。