■配分問題 ・ゾーンAからゾーンBに行くという仮定の下で,どのリンクを流れるのか. ・リンクパフォーマンス関数とODトリップ数を与えて配分を行う. ・利用者均衡状態(全ての旅行者は自分の旅行時間を最小化させる)では使われていな い経路の旅行時間は最短旅行時間より大きくなる. ・どの経路にどれだけの車が流れたら利用者均衡状態になるか. ・与えられている条件(リンクパフォーマンス関数,ODフロー)から満たされるべき条 件(利用者均衡,与えられた条件から得られる制約式)を定式化する. ※リンクとパスの違い:ODを結ぶ経路がパス.パスを構成する部分がリンク. ■数学的問題への定式化 ・変数は,rs間のトリップ数,各リンク上の旅行時間,パスが分かれば全部わかる. ・パス間の旅行時間はパスを構成するリンク上の旅行時間の和で示される. ・リンクフローはそのリンクを通るパスフローの和で示される. ・OD間のフロー数はODを結ぶすべてのパスフロー数の和によって示される.この式を 制約条件とみなすことができる. ・利用されている経路の旅行時間は同じで最小.利用されていない経路はそれより大 きくなる. ・等式制約,非負制約の条件のもと,ネットワーク上の全リンクの旅行時間の和を最 小化する. ■1変数(制約無し) ・停留点(微分値が0)が最小値の候補.停留点のうち,極小値のみが最小値の候補に なる. ・極小値が無数にあるとき,最小値を探すのは難しい.最小値を複数持つ場合もあ る.最小値を満たす解を一意に求めるためには,極小値が1つでそれが最小値である ようなお椀型であればよい. ・関数がお椀型(関数が凸)であるためには, 1.関数上の任意の2点を取ったとき,その内分点の位置が関数よりも上にな る. 2.ある1点の接線をとったときに,それ以外の接戦上の点よりも関数値の方 が大きくなるときも凸になる. のいずれかが必要. ・平べったい形の関数は,2式で内分点と関数値のあいだで等号が成立するので駄 目. ・2式かつ停留点付近で狭義に凸であればよい. ■多変数(制約無し) ・1変数同様,停留点が候補になる.関数が凸で停留点付近で協議に凸ならその停留 点が最小値になる. ・目的関数はリンクパフォーマンス関数なので広義の凸性は保証されている. ・狭義での凸性を確認するためにヘッセ行列を用いる.均衡配分問題ではヘッセ行列 は対角成分以外の要素が0にある対角行列になる. ・行列が正定値であれば狭義に凸であると言える.固有値が0より大きければ正定値 になる.行列は掛け合わせたベクトルを固有値倍すると考えてよい. ■1変数(制約あり) ・まず,どんな制約条件でもいいか考える. ・関数が制約式内で停留点を持たないときは端点が候補になる. ・すべての制約式が連続していればいい.厳密には,制約式が凸集合であればよい. ※凸集合:任意の2点を結ぶ線上の点が制約式内に含まれている. ・制約式は全てg(x)>=bの形で書き下せる.解での微分値と有効な制約式の微分値の 正負は一致している. ・この時,目的関数の微分値は,制約式の微分値と非負制約 ■他変数(等式制約) ・ラグランジュの未定乗数法を用いる. ・制約式にラグランジュ乗数λをかけて目的関数に足し合わせたものがラグランジュ 関数.このときラグランジュ関数を全ての変数x及びラグランジュ乗数λで偏微分し た値が0になるところが最小. ・この式をまとめると1変数の制約あり問題と同じような形になる. ■他変数(不等式制約) ・勾配ベクトル:関数値の微分 ・最小値での目的関数の勾配ベクトルは,最小値での制約式の勾配ベクトルの定数倍 の和で表される.この定数(双対定数)は,制約式が有効な制約式の場合0より大きい 定数,有効でない場合は0になる. ・この式はキュンタッカー条件と呼ばれ,1変数の場合と同じような式になる.ま た,双対定数はラグランジュ乗数と同じ役割を持つ. ■非負制約問題 ・x=0か微分値が0になるところが最小. ・解の右側では必ず右上がりの曲線になる. ■非負制約問題+等式制約問題 ・最終的に4つの式が導かれる(スライド参照). ■配分問題の定式化 ・リンクに関してパスで微分するとダミー変数のみが残る. ・リンクフローは各リンクで独立,関数形は右上がりの曲線になる. ・上の4旅行時間を最小化させると,均衡配分の最小化問題を解いた時に満たされる 条件となる. ■ 柳沼: 利用者均衡条件が最初にあって,それを数学的にできるかどうかを後半で示してい る.数学的に等価なので,この式を使えば解けるということが分かった.最終的に一 致するということが今回のキモ.これを知ったうえで本を読むといい. 羽藤: 一番強い仮定は何か. 今泉: リンクの仮定.リンクに依存関係がないという仮定がないとヘッセ行列が使えない. 実際はリンク間に相関があるが,その過程を置くことで最適化できる. 伊藤: 均衡問題をどう最適化に持っていくか.1次元と多次元の関係が分かりやすかった.1 つの式に落とし込めるということが良かった. 羽藤: 最適化問題は他の人だとどう適用できるか. 伊藤: 歩行者もフロー,物流もフロー.均衡という概念は非常に大事. 羽藤: 需要の配分では総旅行時間の最小化.車線数を歩行者にあけても渋滞が起こらない等 伊藤: 工学系の最適化問題の授業をとったことがあるが,ロジスティックスとかはまさにそ れ. 羽藤: 都市における制約条件を考えることが大事. 山崎: リンクフローが独立という仮定が直観と合わない.どうすればいいか. 柳沼: ひとまず解ける状態にするために.実は相互作用を入れた問題もある.その第1段階 としてみてもらえれば. 羽藤: ほとんどのことは出来ていて,ベンチマークとしては出ている.シンプルな仮定のも とで状態を記述できるということが大事で,完璧を求めすぎるのは...そこを改善 していくことも解き方としては課題.そのためには基本的なことの理解が必要. 藤垣: uがcminに合流するところが素晴らしい.関数の形の議論で,リンクパフォーマンス 関数の形は合理的だが,公共交通として考えると,経済学的にオペレーション側のコ ストなどを考えると初めは少し下がってまた上がるのではないかということが考えら れるのでは. 羽藤: 供給側のモデルは何か. 今泉: リンクコストによる需要制御. 羽藤: 物流企業が立地してトラックが多く走り,ボロくなるということが考えられる.需要 を集約するうえでどう集約させればいいと思うか. 柳沼: 集約には企業側にはメリットがある.分散させると移動コストがかかる.一方で道路 からすると集約させると道路が壊れやすくなる.そのトレードオフは考えられそう. 浦田: 配置問題としてフランスでやっていた. 池田: 経済では仮定を置いたらそれ以上を議論しない気がする.都市では仮定の置き方が議 論になる. 羽藤: JRとかはflow independentだが,実際はflow dependent.遅延に投資することがフ ローに影響を与える.しかし,手法の問題として言われていて,オペレーションをや る人がいない.計算できるか,リスクを計れるかがいえないと駄目.制限の中で計算 して精度を高めていくことが大事で粘っていかないといけないと思っている.評価で きるツールがない.こうなったらこうなるという話までしかできないので,荒っぽい 枠で累計していく. 浦田: 均衡配分はwordropの第一原則を置いているが,そもそもその仮定が強い.それをBPR 関数でコストとフローの問題を単純に設定していくことで解けるようにしたのは凄い と感じた.最終的な結果として評価できているから利用者均衡は今でも使われてい る. 羽藤: プランナーは一旦引いて理解する必要がある. 伊藤: 均衡的な仮定は計算方法を踏まえるとまた違った見方が出てくる気がする. 羽藤: シミュレーションは都市工的で物語風. 藤垣: 実務者としてブライスのパラドックスとかを説明する時にシミュレーションがあると 便利. 柳沼: 現状は当たればいいという感じ. 大山: 単純にすごい分かりやすかった.仮定がきちんと計算結果として出たのが面白いと感 じた. 羽藤: 事前復興とか考えたときに,Daganzoみたいなのは有効. 山崎: 修論では何らかの仮定を置かなければならない.自分の中で折り合いのつく仮定を置 けるか. 羽藤: 問題の立て方をきちんと置くと,よく受け取ってもらえる.解いている方は通常は解 けるように置く. 池田: 先週と比べて劇的に分かりやすく,具体例もあったので参考になった. 羽藤: 自分で手計算した結果を入れると分かりやすくなる. 藤垣: 基礎的なものの綺麗さ・大切さを感じた.自分で基礎的なことをやるといろいろ言わ れるが,まずは基礎的なことを通すのは大事だなと感じる. 児玉: 分かりやすかった.避難のやつも面白かった.陸前高田を考えると,国道から坂の方 に逃げる時に,需要者側と供給者側を考えるといいと感じた. 羽藤: 需要と供給の協調を考えすぎると, 和泉: 最適化の流れが分かりやすかった.均衡配分を歩行者とかで考えたときにはもっと細 かい条件があるので,そういうときには使えないのかと考えた. 柳沼: 歩行者にも適用できる.ノードとリンクの考え方は応用が利く.改札と入口をノード と置いた流動の記述は出来た. 伊藤: やはり解析的なアプローチはあまり好きでないと感じた.不確実性とかも議論でき る,足していく方式の方が最近の傾向にあっている気がする. 羽藤: 記述すべき現象に対することにかしをとられているのか,もうすこし理論モデルとは こういうものだということについて深めていくといいと感じた. 芝原: 問題の立て方が大事という話があったが,設計要件とかの立て方はだいたい似てて, でも形が違うのがよくて,理論的にこの形というものが一意によいというものが出て くるとつまらなくなってしまう. 伊藤: プランニングについても厳密解である必要はないと思う.やりやすいアプローチとか もあるし,一意に出た解も厳密とは限らない. 児玉: ジャンプが積み重ねになるというのはわからない.設計条件とかはアルゴリズム的な 解き方があると思うが,問題の立て方はまた別で,価値が何処にあるか. 羽藤: 主体的な公共性→手続き的な公共性→理由的な公共性.建築では理由的な話からから 手続き的な話に移りつつある. 若林: いつもMCの最適化について考えているが,立場によっていくつか最適化するものが あってどれを最適化するべきなのか.本当にそれを最適化するのが良いのか分からな いことが多い. 羽藤: まずは書くこと.それぞれの最適化すべきものについて式を書いてみる.書かないと 結局分からないまま終わってしまう. 柳沼: 今日は盛り上がったなというのが正直な感想.最適化みたいな話は嫌いな人もいると 思うが,最適化は数理なので誰がやっても同じだし透明性が高い.1回読んでみて納 得してもらえるといいと思う. 羽藤: URBAN TRANSPORTATION RESEARCHについて基礎・物の見方について身に着けている人 はあまりにも少ないので,学ぶ必要はある. 今泉: 先週いろいろな人からいただいたアドバイスを基に,全体的な形を意識しながらスラ イドを作ることができた. 浦田: カルロスとかの話も実際に話してみると実務に落とし込めたりする.勉強だけだとど んどんどツボにはまっていくし手だけでも..バランスを考えてプレゼンができるよ うになるといいと感じた.