McFadden, D., Train, K., Mixed MNL models for discrete response, Jounal of Applied Econometrics, pp.447-470, 2000. ●Mixed Multinomial Logit Modelモデル(以下、MMNL) MMNLというのは、嗜好の異質性・系列相関などMNLの制約を緩和したモデル サンプルnについての確率分布に従うパラメータ・選択肢jに関する特性変数ベクトル、ガンベル分布で表される パラメータβが1つ既に与えられるとしたときの選択確率はロジット型になる βが確率分布的に与えられるとすると、標準選択確率が与えられる(MNLとの違いは積分形が残っていること) 分布の平均値・共分散・適切な分布からβの確率分布を推定、行動を表現 積分形が残りopen formであるのでMNLのように簡単に推定できない ●Rundam Utility Maximizationモデル(以下RUMモデル) RUMモデルは個人の効用が確率変数として捉えて効用を最大化するモデル、MNLやNLモデルなどが含まれる、確定項と確率項で書くことができる パラメータαが与えられると選択肢iの条件付き選択確率は0か1になる αが確率分布で与えられるとすると選択確率が積分系で与えられる。この分布をそれぞれのモデルで定義している MMNLは確定項の一部をガンベル分布に従うIID誤差項と考えていてスケールパラメータλを導入している。MMNLがRUMと同様であるといいたい λを小さくすると選択確率Pは0か1の極端な値に近づく、λを操作することでMMNLとRUMが近似できる λを小さくすると、IID誤差項の影響が無視できるようになり、効用の差の逆転が起こりにくくなる →効用Unjの式の中に2つの確率分布が独立で含まれている、積分が2つ必要? 誤差項について積分が必要とは述べられていない、λが小さければ近似でIID誤差項が無視できるようになる そうでなければ分布系に応じて積分が必要 RUMとMMNLが実質的に等価となるが、普通は等価性を示すことなく、誤差項に分布系がを仮定することをそのままRUMの近似と考えることもある 確定項と確率項の分離を確認するのが困難なので、経験的に等価だろうとぼかして書いてある ●例としてNLと近似 MMNLの効用を、入れ子構造に入ってくる項を分けて書くと、NLモデルと似た構造になる NLの効用関数同様、共通属性の項、入れ子の項、誤差項の3つの項で書ける。 ●推定手法 最尤推定法は尤度Lを対数として最大化してパラメータ計算、しかしプロビットモデル・MMNLのように選択確率に積分系があると計算が困難 オープンフォームなので計算が膨大になるため、シミュレーションで近似的に選択確率を求める パラメータを選択確率分布の中から抽出して選択することの繰り返し計算を行って近似する方法がシミュレーション最尤推定法(MSLE) ●シミュレーション最尤推定法 θ(パラメータβの密度関数の分散や平均を表すパラメータ)によってβをR回抽出→シミュレーション対数尤度を求める P^niの不偏推定量だがlnP^niは不偏推定量ではない。偏りは抽出回数が多いほど減るので、抽出回数は少なくしたい、抽出手法はいろいろある ●抽出方法 ・ランダムドロー法 正規分布・一様分布から変数をランダムに抽出、カバー範囲は広いがドロー回数は多くなる ・ハルトンシークエンス法 一連のドローが負の相関を相関を持つ素数を用いたアルゴリズム、ベースとなる素数で分割を繰り返して選ぶ、準乱数が得られる ●実験結果 6肢車種選択にMMNL適用して確定項だけのMNLと比較、MMNLの方が説明力が高い 確率項を妥当に入れると説明力が上がるということで人口変数を12種類追加 変数が有意であれば選択要素tはmixingを持つと考えられる 人口変数を加えてMNLを推定すると尤度比が上がり、6つの変数がmixingを持つと考えられる これを確定項をしてMMNLに導入して改良MMNLとして再び推定 改良MMNLは正規分布を確率分布を仮定、確率項のパラメータから相関はあると考えられる、尤度も高くなる、MMNLの改良は有効といえる ●質疑・コメント →シミュレーション最尤推定法では期待値と分散の式を入れているのか? 変換の式があって乱数のなんらかの式からパラメータを得ている、100個くらい選び、もう一つも選んでその組み合わせで計算する ショットガンの説明をしてからやればわかりやすかった。IIDのεが無く、パラメータが確率分布をもっている →尤度の改善があまりみられないように見えるが、どうなのか? 誤差項がある程度の分布を持っていて、パラメータも誤差をもっているが、2つの誤差分散が大きく違うならば分けた方が良いだろう →プロビットが理解できているかだろう、多重正規分布で誤差構造を記述するのを理解できているかどうか 交通機関でパラメータがある分布をもっていると考えるのが普通であるし、本質であれば考えるべきだろう ---------------------------------------- ■全体のまとめ Mixed Multinomial Logit Modelは嗜好異質性や係数相関などの制約を全て緩和したモデルであるが、オープンフォームであるために簡単に計算で推定ができない。MMNLモデルはスケールパラメータを操作することによってIID誤差項を無視でき、Rundam Utility Maximizationモデルと選択確率を近似できる。MMNLモデルでは、パラメータの確率分布について乱数を用いて繰り返し抽出して積分するシミュレーション最尤推定法によって推定を行うことができ、実データを用いた実験によってもMMNLの説明力の高さと妥当性が示された。 ----------------------------------------