Daly, A., Bierlaire, M., A general and operational representation of Genera-lized Extreme Value models, Transportation Research PartB, vol.40, pp.285-305, 2006. 「GEVモデルの一般的表現」 ●GEVモデルとは? ・GEVモデル モデル分布。McFadden(1978(により証明される。 ・ν-GEV関数が満たすべき性質は4つ。 ・しかしながら、G関数を発見的に見つけるのは難しく、課題とされてきた。 ●本研究の目的 GEVモデルを一般化し、発展可能な表現を提案すること。 @GEV-inheritanceの証明。一般化 AGEV-network表現。直感的に複雑な相関構造の記述が可能。 ●理論的枠組みの構築 @GEV-inheritanceの証明 ・ほかのGEC関数から新しいGEV関数を得る。 ・これらの証明の3つのステップに分けて導出する。 ・既存のG関数を乗じていくことで、新しいG関数が得られる。 AGEVネットワーク ・グラフ理論。 ・サイクリックをもたないと仮定。 ・ノードの部分集合(先行者をもたない集合)。 ・Rの集合の定義…先行者をもたない集合:root ・C…後続者をもたないJノード集合(すなわち最終的な選択);choice set ・その他…nest 質疑1*********************************************************************** 羽藤:GEVネットワークとは?→ノードとリンクを使うことでネットワークを表現。 羽藤:ルートは複数表現できるのか?→できる。 ネストはチョイスセットのあるまとまりを示す。Rは、アークijはそれ毎にパラメータをもつ。一番下が最終的なチョイスセットとして出力される。 リンクも経路も最終的なチョイスセットなので、最終的なチョイスセットがよくわからない。 *********************************************************************** ・新しい定理。(帰納的に) ・チョイスセットにおけるG関数 ・ネットワークの任意のノードにおいて、G関数が定まる(スライド10参照)。このモデルはMcFaddenのGEV理論、および効用最大化に従っている。 ・有限でからでなく、サイクリック経路を持たない。 →モデルにそう直感的な構造を適切に表現するようなネットワーク構造をデザインすること。 ・ネットワーク表現は、この理論を用いて増殖可能。 ●具体例 ・チョイスセットの定義。それによって最大効用を定義できる。 ・それゆえ、リンクの持つα(遷移確率)を掛け合わせて、ネストも表現することができる。 ・最後に段階的に、ルートにおけるG関数・選択確率などが求められる。 ●まとめ ・GEV-inheritance定理の証明とGEV-network表現 ・自分でネットワーク構造を定義することで、直感的な構造に従ったネットワークをつくりだす自由を与えた。 質疑2*********************************************************************** 羽藤:世帯構成者での配分問題がこれでわかるのではないか。夫の車を利用する確率。この経路でこのリンク。 車が全時間あったら、車を使う夫と妻の時間の配分。同じように記述できる。 斉藤:家庭内とか人の集合とかが常に変化している。その集合自体が変化している中で、(平日使う人の集合と休日使う人の集合とか)どうかくか。 羽藤:選択肢集合が多いときにどう考えるか? 斉藤:個人に枠を割り当てることに近い。集合が膨大になった時にどうするか。 羽藤:ポートの対象になる人は限定される。限定することは、GEVモデルをかく、ということ。 原:推定できるかどうか不明だが、定式化は可能。全集団をひとつのネットワークで考えられないか? 羽藤:家族の話とシェアの話はこれでかける。アロケーションパラメータの設定の仕方を工夫する。 あと、リアルなネットワークとして(選択構造ではなくて)かける。ルート(フリンジパーキングとか) マルコフのサイクリックがないという場合と同様。 羽藤:αをどうやって決めるのか?安定するのか? 原:一度扱ったことがあるが、全くt値が有意にならなかった。 植村:夫、妻(運転権)どちらが運転できるのか?権限を与える。それで構造を作れば、妻と夫の関係性がわかるのではないかと考えた。 原:最終的なチョイスセットとしてモーダルチョイスが出てくる。 國分:保育園に行く期間は車を使わなければならない。けど、その時々によって交渉可能。仕事が完全に決まるわけではない。 羽藤:長く観測していると、ある人が動かして、うまく回るということがわかってくるのではないだろうか? 國分:奥さん、夫みたいな肩書ではなく、「個人」として考えることが大事。 羽藤:世帯にどれだけ共通作業があり、どうアロケートしているのか?それが、built environmentみたいな話でどう変化するのか? 原:都合がつく方が迎えに行く、などの行動がとられている。やる人が決まっていない。 國分:義務的作業は、どっちがやったら幸せか、個人と相手との関係性による。 羽藤:相手の効用最大化を考えて、行動するということ。またその逆の行動も起こる。その関係性が知りたい。 とりあえず、time-useの条件で時間的な余裕が異なるので、家族の関係がbuilt environmentで変わってくるのではないか? 原:埋め合わせみたいな行動はよく見られる。 羽藤:研究室のメンテナンスは誰か決まった人がやっている。働く人は働く。そういう話もまたある。 羽藤:東京と郊外、家族の形でアロケーションとかは異なる。 *********************************************************************** ===================================================================== まとめ: GEVモデルとはMcFadden(1987)が導出したモデル系であり、MNL、NL、CNL等のランダム効用理論に由来するモデル系の全体を定義したものであり、これらの系は4条件を満たすG関数によって定義づけられる。しかしながら、新しい構造をもつモデルを作る際のG関数の導出に関して、有効な研究がなされていないため、ここではGEVモデルを一般化し、発展可能な表現を提案することを試みた。理論的枠組みについて筆者らは、@GEV-inheritanceの証明、AGEV-network表現の2つを提案し、GEVモデルを一般化し、直感的に複雑な相関構造の記述を可能にしている。この提案において特記すべきことはGEVモデルを直感的に構築することが可能となった点である。筆者らは、モデラーのすべきこととして、@モデルの相関構造を適切に表現するようなネットワーク構造をデザインし、AこのネットワークをGEV-heritance理論を用いて増殖させることで、常にGEVモデルを生み出すことが可能であると述べている。