Vickrey,W.S., Congestion Theory and Transport Investment, The American Economic Review, Vol.59, pp.251-260, 1969 ●はじめに ・渋滞に対して道路の容量を拡大するだけではなく、ソフトな施策などを導入できないか。 ・本論では渋滞のメカニズムを定式化し、その対策についての評価を行う。 ●渋滞のコスト ・遅れ ・アクシデント ●ボトルネックでの渋滞の定式化 ・想定するシチュエーション  ・一様分布する。  ・通勤者は均一な時間価値をもつ。  ・ボトルネック容量が120台/分まで広がれば渋滞は起こらないが、下回ると発生。 ・渋滞抜け時刻変化に対する渋滞待ち時間の変化  ・渋滞抜ける時刻が変化する。(9時に抜けたい人。8:30に抜ければ渋滞待ちが30分で済むとか。)  ・グラフは、始業時間をピークにして傾きが変化する。 ・モデルの注意点  ・ボトルネックがあるかないかが重要。  ・一様分布を考慮しなおす。 ・通行に課金することで渋滞を緩和することを考える。 ●課金によるコスト削減 ・課金方法は簡単に計算できる。 ・課金体系の傾きによって、課金が異なる。 例えば始業時間ぴったりがピークとなる到着時刻に対する課金体系。面積が課金による収益となる。 ・渋滞列がなくなるということ→皆が付きたい時間に付けているわけではない。 単位時間あたりに来ている人を減らしている。丁度の時間に着きたい時間に行く人が多く課金される。 ●2つのコスト @渋滞につかまる上に定時に付けていないという2つのコストがかかっている。 A課金をすることにより渋滞につかまっている時間がなくなる。(waiting in queue) Bボトルネック容量を拡大すると、到着時間が適正に近づく。(displaced arribal) ・渋滞待ちのコスト(=課金の収益) ・到着時刻ずれのコスト。ボトルネック容量によって変わる。 2つのコストを考慮して、全体のコストを考える。 例:車線数を増やした場合、課金をした場合。 ・以上のことから、最も課金による政策がよいのではないだろうか。 ●課題とまとめ ・容量を増加させる効果、課金の効果などを定量的に評価できた。 ・課金は需要に合わせて調整できる。 ・その人の時間価値の違いによって、自分で支払額を調整することができる。 質疑**************************************************************************** ・その時代にこういう課金体系が考えられたのか(伊藤) →理論的にシンプルな論文である。 ・弾力的に価格を決める。ロードプライシングは経済学の分野では非常に古典的な分野。 ・オークションやってた人が、ロードプライシングの研究をやっている可能性はある。 ・瀧口のマイクロシミュレーションでのボトルネック容量というのは?→課金ということはあまり。最終的にゾーン間の移動の時に使うのか?→セル型の課金で評価できるのではないだろうか。 ・駐車場に適用するとどうなるのか?→混雑時間は料金が上がるということ。→適用できるのでは? ・待ち時間についての論文は相当多くて、そのほかの容量を設定した場合の待ち時間の定式化を少し考えた方がいい。入力と出力の確率を時間に応じて設定したりすればよいのでは、など。 **************************************************************************** ============================================================================ まとめ: 道路の容量を拡大するようなハード面の渋滞対策が間違った効果を生むことがある。本論ではこの問題に対して渋滞のメカニズムを定式化し、その対策―ハード的な容量増加やソフトな課金対策―等について評価を行うことを提案している。渋滞に関して2つのコスト(渋滞待ちのコスト、到着時刻のずれのコスト)を挙げ,これら2つのコストを渋滞待ち時間と渋滞抜け時刻のグラフから算出することで、課金方法について分析を行った.ボトルネックでの渋滞のメカニズム、容量を増加させる効果、課金の効果などを定量的に評価することを試みている。