2020年の研究座談会
ランドスケープデザインの世界へ
松岡央真(M2)
▲同期のみんなと,松野にて.
羽藤:卒業旅行で忙しいとこ,ごめん.では振り返りのインタビューをはじめま す.最初に卒論から修士でのテーマの転換についてだけど. 松岡:卒論では,行動データをつかって三次元経路選択モデルと推定をやってい た.歩行者行動モデルの研究は好きではあったので,そこに興味があったけど, 観測にに興味がもてなかった.むしろ実際の空間と人間の関係を,短期間で形に するということで設計がおもしろい作業ではないかと思い始めた.設計は,M1の ときに復興デザインをとって,建築や都市工たちが設計や計画を勉強している人 たちと一緒にスタジオ課題に取り組んでみて,具体的に線を引という作業がした いとそのとき感じたのが,就職で設計会社を選んだ直接的なきっかけになります. 羽藤:卒論と夏学期が終わったときに松岡と話していて,やっぱり建築の基礎を とらせたほうがいいだろうというのがあって,設計だとやっぱり建築とでは差が ついてしまうから,そっちの講義を学部からとるようにといったことは覚えてい ます. 松岡:まず建築の講義とってと羽藤さんからいわれて,そんなの無理だろという のもあって,笑.でもやってくなかで,社会基盤の授業でも取り組みはするけど, 素材や構造計算,そいうのがテストでできるとか,そう単純なことじゃなくて, うまくいえませんが,建築と土木の基礎を修士2年まで通してつまみ食いじゃな くて2つをちゃんと全部学べたのが自分の強みになるのではないかと,今は思っ ています. 羽藤:設計をやるということだから,修論じゃなくて修士設計をということで取 り組んだけどどうでしたか. 松岡:テーマは最初府中しか決まってなくて,自分でも何をやっていったらいい かわかっていなかった.材料や植生の話でぶれていた.歴史研究っていうくくり から,少しづつ方向性見えてきた.研究としてまとめる上でよかった作業は,夏 すぎくらいに,羽藤さんからLandscape and Urban Planning(というジャーナル) をちゃんとレビュー ろといわれて,最近の研究動向がわかった.そのことは府 中の大規模敷地と特有の地形を扱っていくかを決めていくうえで意味があったと 思う.研究の世界で,ランドスケープという研究の世界の中で,グリーンインフ ラはどう位置づけられていて,施工物ではなくて,あくまで概念として生態系と エコサービスシステムの両側面から成り立っていた.その両方から研究がどのよ うに成り立っているか.あるいは,石川さんの流域圏研究のように,いかに体系 化といっていいかわからないけれど,地形や水資源機構の捉え方が語られていて, 少しづつ,理解が深くなっていった.そのあたりが印象に残っていますね. 羽藤:研究というのは抽象化や具体,叙述のバリエーションの宝庫.実践と同じ ように研究の世界の中で,もがきながら考えた世界観が拡がっていて,実践家の いうリサーチとは別次元の世界.僕自身は,研究と実践が未分化だった時代にま だ自分がいるような感覚もあるけれど,笑. 松岡:ランドスケープの設計をやろうというとき,設計ありきで手をつけようと すると,構造がない,筋が通らないし理屈がない,そいうときがある.建築でも 意匠だけ美しくても構造や機能の理屈を欠いた建築は好きではない.悩んでいた とき,参加した講演会で青木淳さんが,ファサードが構造として意味があってな お美しいということを話していたことを覚えている.この話を都市やランドスケー プにもってきたとき,果たしてそれは何か?機能と美しさ,交通も呼応している 抽象のひとつ.水資源もそう.ひとつづつ,そいうことをもっと明確にしていけ たらいいなと思う. 羽藤:交通は都市を考える上でひとつの抽象だろうね.でもそれで終わらせるん じゃなくて,具体を考えてもらいたかった.ちゃんと研究で考えるところから出 発して,設計を形を考えてどこまでできたかを確認する作業が大切だと思ったん だよね. 松岡:修士設計は,府中崖線はけ下の大規模敷地が昔は農地だった.大規模敷地 で工場が計画されて,その工場が,現在になると徐々に役割をたたんでいく必要 ,工場として次の利用のされ方を考えていく必要がある.東京では最も東の水田 地帯っていう,現代も豊かに残されていく風景を保全すべきIntegrityとして捉 える一方で,ブルックリンなんかで生かされいる工場不動産として資源性に着目 するなら,多摩川中流域のハケ下の大規模敷地計画が遅かったこともあって,当時 設計された広い建屋の空間を生かして,新しい空間を提案するために,中に箱を 内挿して,工場と労働空間を設計したというのが修士設計になります.▲修士設計に取り組みました. 羽藤:研究から設計の筋が浮かびあがってきたのは,楽しかったよね. 松岡:設計はやればやるほど,よくなる.自信にもなる,それは間違いない.模 型のひとつひとつ,図面の描き方も柱のつくりこみかたも,それぞれ具体的に描 けるようになっていく.作業を重ねれば,重ねるほどよくなる.設計をやりたい と思ったときは,箱や動線計画をつめるところが自分の得意なところだった.こ ういうとあれだけど,槇さんやSANNAがしっくりきていたし,スタジオ課題でも そいうところを講評会でほめられて,そいう感じだと思ってきた.夏のスタジオ だったと思うけれど,エスキースで,具体的な空間としての表現が弱いねという 講評をもらって,建築の人たちがどういうことを考えてきたがわかるようになっ てきた.そこをちゃんと踏まえて設計できるようにならないといけないとなって, 今回の修正設計では鉄骨が古びていて錆びた感じを,むしろいかに生かしていく のか,それが水田と隣接するということで,どういう空間が形成されるのか.は 白型が好きだった.修士設計では,材の質感をいかにだせるかまで考えるように なっていた.自分に自信がないというのもるので,建築士の資格をとるんだけど, 4年の実経験が必要になるから次は4年後になる.4年間勉強して,空間設計を通 じて,自分の思想を強めていくことで,ちゃんとしなくちゃいけない.これから4 年間が大切だと思う.* 羽藤:将来に向けての不安とはあったりしますかね. 松岡:まだ迷っている.今まで設計をやろうとしたときも,単に好きでやってい るので,得意でやってるわけではない.たとえば勉強ができるみたいなことから 考えていったときに,設計はそいうことに当てはまらないいうことなんだけど,, でも,いくら向いてることでも,何日も徹夜するみたいなことを通低させること はできない.結局最後は人一倍の努力をしないといけない.そこでどうするか. 出来てきて好きになる.できないのになんでやるんだろう.みたいなときはしん どいけど耐えないといけないじゃないですか.時間は長い.それに耐えられるか. 先生もよくいうけど,論文を読む,本を日常的に読む,常に勉強するみたいなこ とを学生のときは時間はあるから勉強するから,時間がなくなると勉強できなく なってしまう,けれど.僕は勉強しないといけない.実質建築は一年半やったか んじ.修士なら6年やってる.僕の4倍やってるから,それを埋められるくらいの 勉強をしないといけない. 羽藤:なんで,そんな馬鹿なことをとか,そんな回り道を,みたいな道を若いと きに選ぶことは難しい.出会いも大きいと思いますが. 松岡:卒論はじめるまえに,羽藤さんが誘ってくれて,東京2050+で小林さんと 一緒にレーザーカッターで東京の地形を順番にきってつくった.当時そういう方 法論は当たり前じゃなかった.地形を丁寧に作って,100年くらいの間にできた 鉄道ネットワークをオーバレイした.展示会場には.浅子さんがいて,美大のキュ レーションやってる人たち,空間を仕事にしている人と出会った.あの経験がな ければ,設計を本気でやっている人との出会いがなかったら,こういう仕事を選 ぶことはなかったかもしれない. 羽藤:松岡は,私の好きな社会基盤の府中の説明がよかったんだけど覚えていま すかね.専門を学ぶ前の世界観がとても本来的で,印象に残っています. 松岡:研究室で,羽藤研を選ぶときに,社会基盤をえらぶときに,空間と人間の 関係性を考え続けたい,そいう仕事につきたいと思った.かかわりかた,空間と 人間のかかわりかた,それはなんだろうと思った.一番あらわれているのが,空 間設計が一番それを深く議論しているのではないかと思った.それを4年間通じ て考え続けられた.いつも私の好きな社会基盤の話を羽藤さんから言われるんで すが,笑,府中のケヤキ並木を紹介したんですが,そこが,自分はそのときは無 意識に選んでた.でも,歴史があって,神社の動線から府中の駅前の商業空間が ひとつになっていて,交通量を制限することで,歩行者が回遊することが成立し ているというようなことを述べた.今考えても,そいうことが土木とか建築を, 勉強する前に感じられていたということをこれからも大切ににしていきたい.そ いう場所は好きだったということがアイデンティティになっていく,忘れないよ うにしたい. 羽藤:知らないことを知らないときどうするかみたいな話を,僕の講義で,デッ ドゾーンの話をしたと思うけれど,何もしらないときの行為や感覚,態度に,た ぶんその人となりが出る.そのままではいられないけれど. 松岡:後悔しないことが大切.常に自分はすべてを知っているわけではないこと を自覚すること.どういう道に進むべきか,自分がいい答えはなんだろうと考え がちだけど,自分はしらないことがたくさんある.未熟さを知りながら,努力を 続けるしかないのかなと思います.ありがとうございました.