2012年の修士研究座談会

2012年の修士研究のまとめ

戸叶洋道


▲施餓鬼供養/盆踊りでかき氷たくさんつくりました。(愛媛県松野町目黒地区)

羽藤:修士研究のテーマってどやって決まったんだっけ。

戸叶:最初とは違いますよね。駐車はM1の頃やっていて、それはカーシェアリン
グの研究の中でスペースのシェアもあるようねみたいな話から興味を持っていて、
でもその頃は歩行空間はあんまり考えてなかったですね。欧州調査が大きくて、
M1のときに同期のみんなで歩行と駐車とLRTが一体となって設計された都市
空間を目の当たりにみて、そこに魅力を感じた。どうやってこいう都市を定量的
に評価して設計すればいいかと考え、都市空間を記述できるモデルを考えるよう
になった。

羽藤:ストラスブールの郊外でジダンみたいな小僧どもがサッカーしてたよね。
そこからLRTでオムドフェール広場にだんだん近づいて、中は歩行者空間がほど
よいスケールで拡がっていた。都市とか交通みたいな話に論理的に迫って行こ
うとしたとき、同じ体験してるとそれを手がかりに実感と論理的な思考を組み
合わせた議論がはじめてできる。そこがおもしろいと思うんだよね。にしても
モデル、モデルした研究って都市工の学生さんは過剰に嫌がるよね(笑)

戸叶:最初難しそうだなと思ったんですけど、最初のゼミでロジットの展開をやっ
て、それがきれいで感動した(笑)。数式アレルギーは別になかったので、プロ
グラミングは研究室のコードがJavaが多くて、斉藤がJava、山田さんはCで、僕
もCをやろうとしたんですけど(笑)、までもCライクなRへのとっつきがよかっ
たので、悪くはなかった。M2の冬まではそういう感じでやってましたね。
SD-SUEはJavaで勉強しながらやって、アルゴリズムは、列挙を分解できるように
一度使った選択肢の経路コストをあげることで工夫したりしましたね。

メモリー8GBだと詰まってしまって、6時間くらいなんですけど、リンク数が3万
リンク、ODペアは削って4万で、外側を中ゾーンで40。中を150にしたんですけ
ど。設定を変えるとODデータとネットワークデータとプログラミングを変えて、
検証するのに6時間かかった。現実的な値に近づけて、政策を評価できるのに追
い込むところが大変でした。


▲一条家縁の興津で神輿をかつぎました(高知県四万十町)


羽藤:プログラミングはだいたいソースの改良から入るから、研究室のレガシー
ってJavaが多いからなあ。欧州調査はどうだった?

戸叶:欧州調査は、研究的にもためになったっていうか、都市を勉強している学
生としては有意意義だった。逆にいえば、自分の目でみたものが研究につながる
ことはあまりないので、そこはおもしろいですよね。そこからは、最初に一次元
都市で式展開していくにしても共通のイメージがあったから議論しやすいし、他
のM1や先生と一緒に共通のものを観たので、一次元都市の構造のひらめきが出
たんじゃないかと思います。実はそれまでは、駐車行動のモデリングだけを単純
にしようと思っていた。閃くまでは、欧州調査には行っていたけど、ネットワー
クモデルとは結び付いてなかった。Transportation ResearchのYang Hai(2012)
のpaperを読んで、自分のモデルでも空間のことを記述できると閃いてつながっ
た。

羽藤:paperの読み方もいろいろあって、いいpaperはじっくり読んだ方がいいん
だよね。Yang Haiはシンプルな容量制約付きの解法をいろんなシステムデザイン
の研究で使いこなしているから、戸叶の関心を都市モデルとして記述する際に、
参考になると思ったんだよな。んでも、、あの辺りから、夏ごろオマエサボって
オレキレ気味だったりな(笑)。

戸叶:えーと、、(笑)、まあ、夏ごろに取り組んでいたのは、単純なモデルだっ
たから、手計算でやっていて、通勤需要のモデルじゃないというところに新規性
があったんですが、それはそれまでの行動モデルのパラメータではなくて、希望
到着時刻がないのでそこをどうモデリングするかという話だった。その頃は、そ
の行動原理をどうモデリングするかに集中しました。Yang Haiのpaperから参考
文献をあたると昔のものほどシンプルで、いろんな論文に共通項はあることがわ
かった。

羽藤:モデルの感覚って身につけるにはなんだかんだ手計算が一番いいよね。そ
いや戸叶とはノートに書いた計算結果みながら議論したな(笑)。

戸叶:最適化だから何かの変数と別の変数がトレードオフでバランスをとったの
が最適解なんですよね。頭の中で条件がトレードオフするっていう感覚をもてた。
式を見ただけだと思わなかった。式を手で書くと設定によっては、単調増加になっ
てしまう。その理由が何と何でつり合いをとってるのかという感覚を持てた。そ
こかがなんていうか面白かった。

羽藤:わかる(笑)、で、結論は?

戸叶:単純なところでいうと、数値が出たというのが嬉しかったです。自分が考
察できるような結果が出たんですよね。自分のつくったプログラム、データ、ネッ
トワークで結果が出た、そこが一番うれしかった。駐車料金の上に凸の山。最適
解が一番きれいに出た。もっと安くした方が売上上がるよ(笑)ってのが出たじゃ
ないですか。あれはおもしろかった。駐車場はDBの中ではリンク表現している
んですけど、山があるという原則が、理論解とつながったところが嬉しかったで
す。理論解が現実を反映させているかが心配で、机上の空論ではないけど、そこ
が確認できた。段階ごとにやっていたのが全てがつながった瞬間でした(笑)。


▲遊子の石積み/四万十川でみんなで泳ぎました。

羽藤:ネットワークモデルで計算するのと行動モデルで推定するのはぜんぜん都
市に対する理解の仕方が違うと思うんだよね。nomotheticとideographicって
思想の違いもあるとは思うんだけど、戸叶の場合はデータ収集から推定、配分ま
でやったから、ある意味、都市を動的なものとして見る、その見方を獲得するた
めにやったような感じだな。しかしそもそも、よく国際研からうちにきたよね。

戸叶:ていうか、正直よくわからない印象ですよね。羽藤先生はフランクな先生
なんですけど、何をやっているかはよくわかんなくて(笑)。までも交通まわり
の駅の話や東京2050でやった渋谷の将来計画とかも含めて、羽藤先生の仕事観て
いると、マッシブなものはおもしろいと思うけれど、、、僕が選んだ都市開発は
敷地ベースなものだからスケールとしてもう少し小さい。だけどその中にも移
動の規範があるんじゃないか、歩行空間を考えるのは楽しいし、それは都市開発
でも重要だと思う。海外の都市だと、たとえばアメリカの郊外の都市開発は一か
ら創っていく。そこではバランスが重要だと思うんですよね。ディベロッパーと
しては、周りの交通と一体となった、敷地の大きさじゃなくて、幅がある広い仕
事がしたい。

羽藤:若いころ都市でこんなことやりたいと思いついても、20年くらい経つと、
現実は大変でっていう人が殆どになってしまうんだけど、僕はずっと拘り続けて
もらいたいなあと思う。都市的な空間として敷地の可能性を幅広く捉えた仕事が
できるといいですね。あと、後輩に、研究の進め方で重要なのってなんだろ?

戸叶:モデルって、数字ばっかしでもダメだし、空想ばっかしでもダメでバラン
スがとれていた方がいいのかなと思います。実際の都市、簡単な計算、大規模な
計算、観測、そういうバランスが重要だと思います。最初は意味がわかんないこ
とでも、後で意味がつながることがある。とりあえず、式を書くとわかる。やっ
てみるといいよ。


▲イサムノグチ美術館/チリのSantiago国際空港にて(火山が噴火してたいへんでした)


羽藤:しかし、戸叶とはいろんな都市一緒に旅したなあ、、

戸叶:尾鷲、京都、高知、愛媛、札幌、東北、横浜、渋谷、ビルバオ、ストラス、
ナント、パリ、ニューヨークのハイライン、チリ、あちこち先生と一緒に行かせ
てもらって、でもどこがいいかっていうと欧州調査がやっぱり一番楽しかった。
短時間のうちにいろんな都市をいっきに対比して見れたのは本当によかった。
あと、地元の人、愛媛、尾鷲なんかも違うおもしろさがあったし、先生が牡蠣好
きだからどこ行っても牡蠣というか、パリとNYのCentral Stationのダイニン
グで食った牡蠣美味かった。あれで牡蠣好きになった(笑)。あと、高知のカツ
オは全然ちがった。ベストオブメシ。野原やきですね。
ありがとうございました(笑)



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