・情報は行動を確定化させる
・情報を得たプレイヤーや他のプレイヤーの利得を変化させる
・情報を得ることによって、利得は上昇することも減少することもある
・情報の需要価値=【その情報がある場合の獲得可能な最大利得】-【その情報がない場合の獲得可能な最大利得】
・偶然手番のないゼロ和2人ゲームにおいては,情報の需要価値は常に非負.
自然がA,Bの選択肢を持つ非ゼロ和対称2人ゲームを考える
(1)無情報の場合
プレイヤー1,2は最善をつくした場合、または友情原理による均衡利得はパレート最適となる
(2)個人情報をもつ場合
・プレイヤー2のみが自然の結果について情報を持つ
・プレイヤー1はプレイヤー2が情報を持っていることを知っている
・プレイヤー2は自分が情報を持っていることを1が知っていることを知っている
つまり、情報構造についての共通認識がある
・このようなとき、プレイヤー1は場合によっては情報に「ただ乗り」ができる。すなわち、情報はそれをもたないプレイヤーに対し外部効果を及ぼす
(3)プレイヤー2が秘密情報を得る場合
・プレイヤー2は自然の情報を持っている
・プレイヤー1はそれを知らない.1が知らないことを2は知っている
情報構造に共通認識が存在しない。このような場合、プレイヤー2は常に利得を増加させることができる。これが秘密情報の特性である。
(4)公開情報のゲーム
・それぞれのプレイヤーが自然についての情報を得ている場合の情報構造を公開情報、あるいは共有情報とよぶ
・プレイヤー2の情報構造が個人情報から公開情報に変化することはプレイヤー2のみがもっている情報構造からプレイヤー1も情報をもつ構造に変化することである。これはプレイヤー1の情報が精緻化したことを意味する。よって、プレイヤー1にとっては利得の増加として表される
・一方でプレイヤー2にとっては利得が増加するか減少するかは場合による
・非ゼロ和対称2人ゲームの2人のプレイヤー以外のもう一人のプレイヤーとして、自然の選択の結果を知ることができる情報エージェントの存在を考える
エージェントは2人のプレイヤーに情報を伝達することができる立場にあり,自分の利得が最大になるように行動する.
簡単な例として、エージェントは契約したプレイヤーに情報を正しく伝達するとして、次の4つの純戦略がある.
・だれにも情報を伝達しない
・プレイヤー1にのみ情報を伝達する
・プレイヤー2にのみ情報を伝達する
・情報を公開する
エージェントは4つの情報構造における部分ゲーム完全均衡点を自由に実現可能であり、その利得行列を誘導可能行列という。そのため、情報を知ることによってプレイヤーが損する場合、情報を公開するぞという脅しも成立する.
エージェントにとっての情報の価値とは誘導可能な利得の和の上限と下限の差であり、この価値を念頭において、プレイヤーと交渉する。
エージェントにとっての情報の価値vはエージェントによる誘導可能集合をXとすると、次の式で定義できる
v={sup(x1 + x2) : (x1, x2)∈X} - inf{x1 : x1∈X1} - inf{x2 : x2∈X2}
一般の有限非協力n人ゲームにおいて、戦略的行動をとる情報エージェントの存在を想定して、誘導可能集合を求め、想定されたエージェントにとっての情報の価値をこの非協力ゲームにおける情報の価値と定義する
エージェントの戦略sによって与えられる情報構造をもつ非協力ゲームを誘導ゲームΓ(s)とよぶ。そして、誘導ゲームが一井の部分ゲーム完全均衡点を持つような戦略sが存在するとき、その均衡点における均衡利得N(s)をエージェントの戦略sによる誘導可能な均衡利得と呼ぶ。このような誘導可能な均衡利得N(s)の凸包が誘導可能集合である。
まとめると、情報の受け手にとって情報価値が情報の需要価値,エージェントにとっての価値が情報の戦略価値である
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