・チェーンストアパラドクス再考
小売店が市場に参入してくる状況を想定する.1度ならば協調的行動をとった方が利得が大きいことが予想される.しかし,何度もそれを許すことは,チェーン店としての牙城を危ぶませるものである
同じゲームでも,1度きりなのか,大きな流れの中での1度なのかによって,プレイヤーが選択する行動は異なってくるに違いない.
同一のゲームが繰り返される場合について考えてみる
・囚人のジレンマの2回繰り返しゲーム
逆戻り推論法で考えると、最後のゲームについては,1回きりのゲームと同じように考え,支配戦略を取る
有限回であるという共通認識がある限り同じことが起こる
有限ならば繰り返してもチェーンストアパラドクス
囚人のジレンマの均衡利得はパレート最適ではないが,囚人のジレンマ的状況が繰り返されるとプレーヤ間に暗黙の協調が生まれ,協調的行動がとられ,パレート最適な利得ベクトルが実現することが観察されている
「無限に繰り返す」という状況下で行う意思決定を考えることで,より現実的な考察が可能になるのではないだろうか?
無限繰り返しゲームにおける行動戦略のうち、いくつか行動パターンを考える
・支配戦略固定型
・トリガー戦略
・反射戦略
・仏の顔も三度まで戦略
無限繰り返しゲームは逆戻り推論法が使えなくなる!!
一回限りの場合には必ずしもパレート最適な利得が得られるとは限らないゲームでも無限回繰り返すことにより、パレート最適な利得を実現する戦略が存在することがフォーク定理とよばれる定理によって証明されている。
無限繰り返しゲームΓの成分ゲームGはn人のプレイヤーからなり、かつ、Gにおいて各プレイヤーのもつ純戦略は有限とする。このとき、次の条件が満たされているものとする。
(1)プレイヤーは将来の利得をあまり大きく割り引かない
(2)戦略Siはユークリッド空間におけるコンパクトな部分集合である
(3)利得関数FiはS=S1×S2×…×Sn上の連続な実数値関数である
(4)成分ゲームGにおいて、混合戦略の範囲で考えたときの個人合理性的集合はn次元である。
このとき、利得ベクトルxを個人合理的集合の任意の点とすると、xiをプレイヤーiの平均利得とする部分ゲーム完全均衡点が存在する
または、均衡ゲームのある均衡利得をパレート支配する点をyとしたとき、すべてのプレイヤーの平均利得をyiとするような部分ゲーム完全均衡点が存在する
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