フォンノイマン/モルゲンシュテルン解とは3人以上の協力ゲームに関して提案された最初の解。集合として、安全な配分の集合なので安定集合と呼ばれる。これまでの協力ゲームの解の概念はすべてこの理論から生まれたものである
ゲーム(N,v)が与えられたとき,配分の集合Aの部分集合Kが以下の2つの性質を満たすとき、Kをフォンノイマンモルゲンシュテルン解(または安定集合)という。
(1)内部安定性
配分xと配分yがKに属するとき,xはyを支配せずyはxを支配しない
(2)外部支配性(外部安定性)
Kに属さない任意の配分は、Kに属する少なくとも1つの配分によって支配される。
フォンノイマン/モルゲンシュテルン解は次の考え方によって、2種類に区別することができる。
・対象解(客観解)
提携合理性という行動基準に基づいて行動し,提携形成に成功すれば利得6を得,失敗すれば利得が0になる.
・差別解
提携形成をめぐる駆け引きから下りて,自ら中立を宣言し,ある一定の利得で満足する.或いは,あるプレーヤーが他のプレーヤーから差別的立場に立たされて,提携形成から排除され,ある一定の利得に固定されている状態
定和3人ゲームのフォンノイマン/モルゲンシュテルン解は1つの客観解と無限の差別解から成り立っている。
非定和3人ゲームにおいて、一人のプレイヤーの利得は常に減少し、他の2人のプレイヤーの利得は常に非減少であるような曲線のこと。交渉曲線上の配分の集合Kは内部安定性を満たしている。
また、交渉曲線上以外の任意の点は、その点を支配する点が交渉曲線上に存在するから、Kは外部支配性を満たしている。
よって、Kは安定集合である。
このような曲線は無限に引くことができる。したがって、安定集合は無限にある。無限にある交渉曲線上から3人のプレイヤーの間に成立している安定な行動基準によって、ある特定の交渉曲線が定まると考えられる。
フォン・ノイマン/モルゲンシュテルンはゲームの解を定義するにあたって、提携合理性に基づいて、配分の間の支配関係を定義し、それによって、内部安定性と外部支配性をみたす配分の集合として解を定義した。
ところが、当初考えた客観解の他に、差別解という全く異なるタイプの解が導かれた。このようなことは彼らにとっても予想外のことであったようで、厳密な数学的手続きによってこのような結論に到達したことは意義深いことである。
このようにして得られたゲームの解とは安定な行動基準を意味する。行動基準とはプレイヤー間の社会秩序や社会組織あるいは社会習慣規範などを意味する。客観解や差別解のような異なるタイプの解が存在するということは,それを導く安定な行動基準が存在し,それがプレイヤーに受け入れられるということである。
フォンノイマンやモルゲンシュテルンは差別解を導いたからといって、差別解を薦めているわけでも、現実は差別解のようになっているとも言っているわけではない。彼らの理論は規範的理論でも、記述的理論でもなく、起こり得る可能性のあることを発見する理論であったということである。このような意味でゲーム理論は発見理論であり、であるが故に規範理論にも記述理論にもなりえる。
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