コアはいかなる提携にも拒否されない配分の集合であった。しかし、コアが空の場合はどのように話し合いをして、交渉を成立させるのかというのが最小コアや仁へ繋がる動機である。
利得ベクトルxに対して提携Sの要求を考える。要求e(x;S)=v(S)-∑xi
Sの要求eが正:Sはxに対して不満。Sの要求eが負:Sはxに対して剰余
要求が大きいほど、不満は大きい
ここで、要求eを使って、コアを再定義できる
コアC={x ; x∈A*, e(x;S)≦0, ∀S⊂N}
ここで、コアが空の場合、条件をεに緩和することで、納得する
⇒εコア
εコアC={x ; x∈A*, e(x;S)≦ε, ∀S⊂N}
最小コアとは空でないεコアの中でεが最小のもの。これは最大不満を最小化するものと解釈できる。
最小コアは必ずしもただ1つの準配分からなるとは限らない。そこで、最小コアをさらに縮小することを考えたのが辞書式中心である。
最小コアがただ1点でない場合、その最小コアにおいて、一定の利得を得ているプレイヤーの利得を固定し、そのプレイヤーを除いた残りのプレイヤーの間のゲームを考えて、その最小コアを求め、それがいまだ1点でない場合には、その中で一定の利得を得ているプレイヤーを除いて、残りのプレイヤーからなるゲームの最小コアを求める、というアルゴリズムを繰り返すことによってただ一つの準配分に到達したときの準配分が辞書式中心である。
合理的ゲーム(N,v)において、辞書式中心は必ず存在し、ただ一つの準配分からなることが定理で示されている。また、辞書式中心は以降に出てくる準仁に一致し、ゼロ単調なゲームでは辞書式中心は配分であり、仁に一致する。
本来、辞書式中心は仁を求めるためのアルゴリズムとして考えられたためである。
仁の導出のために、要求ベクトルというものを考える。これは提携Sの配分xに対する要求e(x;S)を大きい順に並べたベクトルであり、
Θ(x)=(θ1(x), ......, θk(x))
次に、利得ベクトルxとyに対して、その要求ベクトルΘ(x), Θ(y)において、辞書式順序で小さい利得ベクトルの方が受容的であると考えられる。
準配分の集合をA*、配分の集合をA、準仁をNu*(v)、仁をNu(v)として、準仁・仁を次のように定義する。
いかなる準配分よりも受容的な準配分の集合を準仁という。すなわち
Nu*(v)={x∈A* : Θ(x)≦Θ(y), ∀y⊂A*}
いかなる配分よりも受容的な配分の集合を仁という。すなわち
Nu(v)={x∈A : Θ(x)≦Θ(y), ∀y⊂A}
仁の性質
・ゲームが合理的であれば仁(準仁)はただ一つの配分からなる集合
・ゼロ単調ゲームでは準仁と仁は一致
・準仁は辞書的中心に一致
・仁は最小コアの極限であり、仁はコアの一種である
・仁は全体と部分の整合性をもち、縮小ゲーム性がある
仁の公理系
・準仁は無名性、利得測定法からの独立性、仁型縮小ゲームによる整合性をみたす
・仁はゼロ単調ゲームでは無名性、利得測定法からの独立性、仁型縮小ゲームによる整合性をみたす
・相対仁(分裂仁)
・比例仁
・平均仁(弱仁)
・平均差仁
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